「田中康夫氏を思い出して!」不信任案成立でこんな意見が 斎藤元彦兵庫県知事は出直し選を選ぶのか

2024年9月19日(木)20時28分 J-CASTニュース

兵庫県の斎藤元彦知事によるパワハラ問題で、同県議会が2024年9月19日夕、知事への不信任決議案を全会一致で可決し、斎藤知事は、今後の身の振り方について「しっかりと考えることが大事」などと述べた。

地方自治法では、10日以内に知事が辞職・失職するか、議会を解散するかを選ぶ必要がある。そんな中で、過去に失職を選んだ元長野県知事の田中康夫氏のケースに注目が集まっている。

田中康夫氏は、2002年の出直し選で長野県知事に再選

「議長!この際、動議を提出致します」。県議会最大会派の自民党からこう提案があると、議場から拍手が沸き起こる。

これに対し、斎藤知事は真っすぐ前を見つめ、少しだけうつむいたが、表情は変えなかった。

その後、不信任決議案が審議され、各会派からの賛成討論が次々に行われた。全議員が知事の辞職を求めているだけに、厳しい意見ばかりだ。決議案では、「県政に長期に渡る深刻な停滞と混乱をもたらしたことに対する政治的責任は免れない」などと斎藤知事を断罪し、「来年度予算は新たに県民の信任を得た知事の下で編成されるべきである」と締め括っている。

不信任案の採決が始まると、斎藤知事は、口を結んで硬い表情を浮かべた。全会一致で可決された後、斎藤知事は、記者団に囲まれ、「結果責任として重いと考えています」と初めて自らの責任を認めたものの、県政の改革を進めていきたいと意欲も見せ、辞職などについては明言しなかった。

都道府県議会では、過去に不信任決議案が可決されたケースは、4つある。いずれも、知事が辞職か失職を選んでいる。出直し選に出た2人のうち、再選されたのは、02年当時の田中康夫長野県知事だけだ。

田中氏は当時、自らの脱ダム宣言を巡って県議会と対立し、不信任決議を受け、10日を過ぎて失職する道を選んだ。出直し選が行われ、田中氏は、県民の支持を集めて圧勝している。その後、06年まで知事を務めた。

出直し選でも、支持を集められる見通しは明るくないが...

斎藤知事の問題を受けて、一部のテレビ番組が田中氏のケースを取り上げたほか、X上などでも、比較されて議論になっている。

斎藤知事が県政の改革を続けたいと再三強調していることから、この際は、県民の信を仰ぐべきではないかといった意見が多い。

「長野県知事時代の田中康夫氏を思い出してもらいたい」
「見習って出直し選挙をやりましょう」
「解散を選べば『駄々っ子解散』等の汚名を万世まで残すだけ」

今回の問題で県職員にアンケートを行った丸尾牧県議は、自らのXで9月18日、田中氏が不信任後に再選されたことと比較し、「県議会を解散すると、議会との関係は最悪となり、2回目の不信任決議で、失職は不可避」と指摘した。

斎藤知事がもし解散に踏み切ったとすると、選挙費用は約16億円に上るとされている。田中氏とは違って、神戸新聞が7月に行った世論調査では、斎藤知事の支持は15.2%に留まっており、県議選が行われても再度不信任になる可能性が高く、解散は問題の先延ばしと批判されるのは必至だ。

また、斎藤知事が辞職・失職を選んだとしても、今回は、政策より個人の資質が問われており、出直し選でどれだけ自らが掲げる改革に支持を集められるのか、見通しは必ずしも明るくない。いずれにせよ、斎藤知事は、議会の不信任で厳しい立場に立たされることになった。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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