今夏の東京は過去最高の暑さ 50年後にはこれが「普通の暑さ」に

2023年10月18日(水)11時10分 ウェザーニュース

2023/10/18 11:01 ウェザーニュース

記録的な猛暑となった今年の夏。8月の東京の日最高気温の月平均は、1875年の統計開始以降で過去最高の34.3℃を記録しました。
観測史上最高の極めて珍しい暑さでしたが、ウェザーニュースの気候テックチームによると、このまま温暖化が進行した場合には50年後の2073年にはこれが“平均的な普通の暑さ”になると予測されています。

8月の気温 温暖化シナリオの「50年後」に匹敵

8月の日ごとの最高気温を平均すると、今年は34.3℃という過去最高の値となりました。真夏日の記録も31日間毎日続きました。
統計の残る1875年以降の月平均値をグラフにすると、年ごとに2〜3℃程度のばらつきがありつつも近年はいっそう高くなっている傾向がわかります。その中でも2023年は特に高い“珍しい暑さ”だったと読み取れます。
1997年以降に引かれた赤色の線はRCP8.5という温暖化シナリオのシミュレーション結果で、温室効果ガスCO2の排出が今後も削減されなかった場合を示しています。今年8月の“珍しい暑さ”は、RCP8.5シナリオの50年後、2073年頃に匹敵するほどの高さだったといえそうです。

50年後に“珍しい暑さ”が起こると、最高気温の月平均が40℃にも?

温暖化が進んでも50年後はこの程度かと安心してはいけません。温暖化シナリオはあくまで「50年後の平均的な暑さ」ですので、50年後にとっての“珍しい暑さ”がやってくるおそれもあるからです。
ウェザーニュースの気候テックチームでは、“現在気候”“2040年頃”“2080年頃”の3つの想定環境について、月平均気温の出現頻度を求めるためのシミュレーション計算を行いました。
“現在気候”を元にしたシミュレーションでは、最高気温の月平均が34.3℃という値は上から0.17%の位置にあたり、頻度に換算すると500年に1回以下となり、“極めて珍しい”といえます。
これが、今から約20年後の“2040年頃”になると上から6.9%で「15年に1回」程度に、“2080年頃”には上から71.7%で「3年のうち2回」程度の“当たり前の暑さ”になってしまうと読み取ることができます。
さらに、“2080年頃”のシミュレーション結果で、今夏と同様の「上から0.17%」の値を見ると40.0℃と計算されています。つまり、2080年頃に今年のように“極めて珍しい暑さ”が訪れると、それは最高気温の月平均が40℃という想像もできないような暑さになるということを示しています。

将来の熱中症リスクを下げるために

今夏の猛暑では体調への影響だけでなく、エアコン利用による電気代増や、農作物価格の高騰など、生活の様々な面への影響を感じた方も多かったかと思います。このまま地球温暖化が進行すると、将来的には今年のような暑さが頻繁に起こりうるため、生活への影響や熱中症のリスクが大きくなることは確実といえます。今年の高温は、今後の気候変動における一つの転換点になるかもしれません。
地球温暖化対策は辛抱がいるものばかりではありません。省エネ製品を利用したり生活環境を見直すことも温暖化の抑制につながります。ひとりひとりの脱炭素のアクションで地球温暖化を抑制していきましょう。

※RCP(Representative Concentration Pathwaysの略):放射強制力。放射強制力とは、CO2をはじめとする温室効果ガスが地球を温める力のこと。温室効果ガスが増えすぎると、太陽の熱が宇宙空間に逃げにくくなり、地球に熱を閉じ込めて地表を温める効果があります。今回は放射強制力が大きいものと小さいものの2つのシミュレーション結果を示しています。RCP8.5は温室効果ガスCO2の排出が今後も削減されなかった場合、RCP2.6は温室効果ガスの削減が進んだ場合。
使用データ:国立環境研究所 CMIP5をベースにしたCDFDM手法による日本域バイアス補正気候シナリオデータ(国内)
使用モデルは4種の平均:GFDL-CM3(米国)、HadGEM2-ES(英国)、MIROC5(日本 国環研/AORI/JAMSTEC)、MRI-CGCM3(日本 気象研)
頻度分布図の使用データ:d4pdf(国内20kmメッシュ)を元にウェザーニュースにて独自補正

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