プロ仕様の堺包丁を一般向けに開発。G7大阪・堺貿易大臣会合における記念品に選定されるまで。20年後たった5人になる鍛冶師減少に歯止めをかけるべく4代目社長が試みる「伝統産業への科学的アプローチ」とは。

2024年1月18日(木)8時40分 PR TIMES STORY

株式会社高橋楠は、「世界中の食文化を、料理の力で前進させる」をビジョンに、「世界中で、よりよい料理を志向する人の最高のパートナーになる」をミッションに日々邁進しています。堺打刃物は、鍛冶・刃付・柄付の分業制で成り立っている伝統産業ですしかし、ここ数十年でこの構造は崩れつつあり、20年後には包丁の土台を作る鍛冶師が5人になる可能性があります。私たちは、鍛冶師の減少に歯止めをかけるべく、これまで主としてプロ向けであった堺包丁を、一般向けに開発しました。クラウドファンディングサイトMakuakeにて目標対比589%を達成した後、堺市が選定する堺キッチンの商品に選定され、この度G7大阪・堺貿易大臣会合における記念品に選定されました。

海外からの需要は高まる一方、聞こえてくる堺打刃物衰退の足跡

現在の堺打刃物業界は、海外からのニーズで活況に沸いています。しかしながら、20年後、堺の鍛冶師は何人いるかと考えると、堺打刃物の衰退が迫っていると感じています。

数十年前は30人以上存在した堺の鍛冶職人も現在は10数人に減少しています。そして、20年後は5人程度になっているのではないか、というのが私たちの見方です。

私たちはこの状況を打破すべく、若手の職人の育成に寄与していきたいと考えています。

若手職人を増やすには資金が必要。一般向けの商品開発で認知度を高める試み

当たり前の話ですが、職人を増やすには資金が必要です。堺打刃物は今のやり方で600年やってきました。しかしここにきて、分業体制が崩れつつあり、また、職人の減少に歯止めがかかりません。他方、海外からの人気で需要は膨れ上がり、供給が全く追いついていない状況です。海外からのニーズに応え、世界の堺包丁にするのはもちろんなのですが、私たちとしては、一般の方にもっと訴求した商品開発をしたかった。それが遅かれ早かれ、世界への認知度を上げるときにも寄与すると考えたからです。

新商品の開発に着手。包丁で味が変わるということを知ってほしい。

プロの料理人は堺包丁を愛用するというのは有名な話です。

なぜでしょうか。

プロの料理人の方は、食材を切ったら、口に入れた食材をすぐに口から出します。それは、その包丁で切ることによって、料理人の方が選んだ食材の風味が口の中で拡がるか確認しているからです。ただ切れる包丁では、口の中で風味は広がりません。

プロの料理人は旨味も去ることながら、風味も大事にしています。堺包丁は、切れ味の良い包丁だから食材が持つ風味が最大限口の中に広がるのです。

私たちは、一般の方に、「プロの方が使うイメージの強い堺の包丁をもっと身近に感じて欲しい」との思いで、今回の商品を開発しました。堺包丁で、可能な限り価格を下げて、高品質の商品をご用意させて頂いたつもりです。

私たちの包丁は、食材の細胞を極力壊さない切れ味を追究しています。細胞を極力壊さずに、食材を切ることが出来るので、肉・野菜・魚・果物の食材の旨味を最大限引き出すことが出来ます。そして堺の包丁職人もそのことを知っているので、風味や旨味を壊さない包丁を追求しています。堺の職人が一日に製作できる包丁は一人あたり10~20本程度です。

魚市場の方が堺の包丁を好んで使うのは、魚の筋を切ったり骨を落としたりする際に、ストレスなく切ることが出来るというのが大きいとよく聞きます。

切れ味と研ぎやすさを兼ね備えた包丁は職人技の極み

1年待ちの職人が作る至極の包丁。切れ味の良さと研ぎ易さの両方を兼ね備えた一品です。一般的には「切れ味」と「研ぎやすさ」は相反します。硬い包丁を作ればよく切れますが切れなくなったときに研ぎにくい。研ぎやすい包丁を作ろうとすると柔らかくなり、そうなると切れ味がなくなる。この相反する事象の両方を兼ね備えた包丁をつくることを常に主眼に置いています。

柄は抗菌作用がありまな板にも使われている青森ヒバを使用。口輪は従来の水牛やプラスチックではなく、キッチンによく使われている人工大理石を使用しています。ステンレスですので錆びにくい仕様になっています。

アウトドアや釣りにも使用できるよう、ペティと三徳には鞘もご用意致しました。

第一回「堺キッチン」の商品に認定。そして数ある候補の中から「G7貿易大臣会合記念品」へ選ばれる

こちらの商品は、より広く一般の方に訴求したいと考え、最適なプラットフォームである、クラウドファンディングのMakuakeを選定しました。結果目標対比589%を達成し、同商品は完売いたしました。

その後、堺市長肝入りのプロジェクトである第一回堺キッチンの商品に認定いただき、その後、時を経て、2023年G7大阪・堺貿易大臣会合にて贈呈される記念品において、堺市が外部有識者による審査を依頼し、数十ある候補の中から、弊社の堺刃物が選定されました。

分業制を見直し、一貫生産の工場を設立。技術の定量化とIT技術で職人育成の期間を短縮する試み

私たちが掲げている一つのテーマが、伝統的手法への科学的アプローチです。堺の職人たちの元には弟子入りする若い方たちも何人かいます。ただ、思っていたより辛い仕事で、意志はあっても残念ながら、長続きしない子たちが多いのが実情です。また、教えても長続きしないことから、弟子をとることを厭う職人さんたちが多いのも、また実情です。私たちは、職人技と呼ばれる伝統産業の肝要な工程は残しながら、可能な限り、生産手法を科学的にアプローチしていきたいと考えています。

実際、堀場製作所様とNEC様と協業し、名鍛冶師の方の技術の定量化にも取り組みました。

また、世界遺産である和食の料理人が愛用しており、600年の歴史がある堺打刃物を発展させ継続させるため、弊社では、職人の育成に取り組むことに致しました。私たちは2023年4月12日に一貫生産の工場を設立致しました。堺打刃物は、鍛冶・刃付け・柄付けの分業制ですが、(柄付け専門の)弊社では、来年春頃から刃付けを開始し、来年秋頃から鍛冶を開始する予定です。この中でもIT技術を使い、職人が一人前になるまでの期間を短縮する取り組みを行います。

伝統と近代化の融合を図り、「三方よし」の未来を目指す

新しいことに取り組むことはいつも挑戦と失敗の連続です。私たちは、先人たちが築いてきた堺刃物の技術をただ純粋に継承したい。疑似品や偽物の堺刃物ではなく、プロの料理人から、何十年何百年と支持されてきた本物の包丁を発展させていきたいと考えています。

私たちは、伝統と近代化を融合させることで、業界内(会社内)のサイクルと市場全体(会社外)のサイクルのそれぞれにおいて、好循環を生み出したいと考えています。業界内では、職人が潤い、次世代の職人の育成が絶えず続く好循環の仕組みを構築します。市場全体では、使い手のフィードバックが作り手に届き、絶えず商品開発が可能で、他社が模倣できないようなものづくりができるよう目指します。 

分業制は、大正・昭和の時代においては最適だったかもしれません。しかし、人の価値観や働き方が大きく変わりゆく現代、業界構造も時代に合わせて変化していくべきだと考えています。たとえば、鍛冶師が刃付けの勉強をしてもいいし、その逆でもいい。伝統の中から良いものは守りつつ、使えるIT技術は駆使する。そうして今の時代に合った先進的なものづくりの在り方を追求し、未来を切り拓いていきたいと考えています。

きれいごとではなく、将来的には、堺市に点在する職人さんたちも潤うような三方よしのWin-Win-Winになる仕組みを構築していきたいと考えています。

選定された商品情報

商品名:一刀斎虎徹 INOX 和ペティ 青森ヒバ八角人工大理石口輪柄青森ヒバ鞘付き

材料:スウェーデン鋼

ハンドル:青森ヒバ八角柄 人工大理石口輪

刃の構造:両刃

刃渡り:140mm

用途:主に野菜や果物の皮むきや飾り切りに用いられます。パティシエの方や家庭用でも小さい食材を切る時にも重宝する一本です。

1年待ちの職人が作る至極の包丁。切れ味の良さと研ぎ易さの両方を兼ね備えた一品です。柄は抗菌作用がありまな板にも使われている青森ヒバを使用。口輪は従来の水牛やプラスチックではなく、キッチンによく使われている人工大理石を使用しています。ステンレスですので錆びにくい仕様になっています。

※専門店で扱う150mm相当のペティナイフになります。


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