相場展望1月27日号 米国株: 新政権発足1週間で新関税発表なく、株高・ドル安・金利低下へ 日本株: 海外短期筋の主導で日経平均は年初から大幅下落⇒大幅上昇 格言「節分天井」を忘れないように

2025年1月27日(月)9時20分 財経新聞

■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
 1)1/23、NYダウ+408ドル高、44,565ドル
 2)1/24、NYダウ▲140ドル安、44,424ドル

【前回は】相場展望1月23日号 米国株: トランプ氏の大統領就任ご祝儀相場が、いつまで続くのか注目 日本株: 大幅上昇でボックス圏の天井に接近

●2.米国株:トランプ大統領就任の1週間で新たな関税発表がなく、株高・ドル安・金利低下へ
 1)トランプ氏の新たな関税発表がなく、株式高・ドル安と地合いが改善
  ・トランプ氏は米国ファーストの関税政策で、カナダ・メキシコに25%、中国に追加10%、日本・欧州などに10〜20%の関税引上げを主張していた。その適用時期も、大統領就任日の1/20ごろと見られていた。
  ・しかし、1/20から1週間経過したが、関税発表はない。
  ・この状況を受けて、米国株高・米国ドル安・米国金利低下に転換した。
            1/17    1/24   変動幅
    NYダウ    43,487ドル 44,424  +937ドル高
    日経平均    38,457円  39,931  +1,480円高
    ドル・円   156.30円/ドル 155.92  +0.38円のドル安・円高
    10年物金利  4.627%   4.625  ▲0.002%の金利低下
    02年物金利  4.283%   4.266  ▲0.017%の金利低下

 2)関税引上げの緊迫感が後退
  ・カナダ・メキシコに対する25%関税適用時期を遅らせて2/1から実施と説明があったが、言いっ放しの状況にある。なお、カナダに対しては米国の51番目の州になれば、関税は課されないと主張。
  ・中国に10%の追加関税引上げや、日本・欧州などに対する10〜20%の関税適用に関しては沈黙したままの状況が続いている。

 3)今週のFOMCや主要指標に警戒感
  ・米国連邦公開市場委員会(FOMC)は1/28〜29の会合。
    ・金利据え置きと予想。
  ・米国総合購買担当者景況指数(PMI)。
    ・1月に続き低水準を予想。

●3.トランプ米国大統領、3/4に上下両院合同会議で演説(ロイター)
 1)大統領は演説で、向こう1年のアジェンダと目標を表明すると見られる。

●4.トランプ氏、不法移民の送還拒否したコロンビアに報復関税25%を課すと表明(毎日新聞)
 1)コロンビア政府当局者の米国入国を禁止。

●5.米国失業保険の申請件数は小幅増、継続受給者はおよそ3年ぶりに高水準(ブルームバーグ)
 1)新規申請は22.3万件にやや増加、コロナ禍前の平均近辺にとどまる。
 2)継続受給者数は189.9万人に増加、再就職が困難な状況を示唆。

●6.トランプ氏、ダボス会議演説、「関税避けたければ米国で生産」、利下げも要求(ロイター)
●7.トランプ氏、サウジに原油値下げ要求へ、1兆ドルの投資も要請(ロイター)
●8.WTO事務局長、トランプ関税による貿易戦争は、世界経済に「壊滅的」影響(ロイター)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
 1)1/23、上海総合+16高、3,230
 2)1/24、上海総合+22高、3,252

■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
 1)1/23、日経平均+312円高、39,958円
 2)1/24、日経平均▲26円安、39,931円

●2.日本株:海外短期筋の主導で日経平均は年初から大幅下落⇒大幅上昇
        格言「節分天井」を忘れないように

 1)海外短期筋の主導で日経平均は年初から大幅下落⇒その後、大幅上昇
  ・日経平均と投資主体別売買状況
    期日           1/6〜10   1/14〜17   1/20〜24
    日経平均         ▲704円安   ▲739    +1,480円高  
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    海外投資家(現物・先物) ▲4,882億円売 ▲9,725     ー
    証券会社(自己)     ▲7,800億円売 ▲6,144     ー
    年金基金         ▲5,319億円売 ▲1,300     ー
    個人(現金・信用)    +7,277億円買 +4,513     ー
    事業法人(自己株式など) +3,257億円買 +2,057     ー

  ・海外投資家の中でも短期筋が先物を売り浴びせ、証券会社(自己部門)が追従して売ったことを要因として、日経平均は年初〜1/17までの2週間の下落は▲1,443円と大幅安となった。

  ・海外短期筋は日経平均のボックッス圏での値動きを見て先物主導で売り買いを行っている。つまり、日経平均の下値38,000円近辺から買い上がり、上値40,000円近辺で利益確定売りに転じている。以上のようなことが、海外短期筋の売買行動の最近の習性となっている。

  ・加えて、その海外短期筋の行動に、証券会社(自己部門)が追随している。

  ・気を付けたいのは、年金基金が2週間連続で売り方に回っていることだ。年金基金は長期的な運用を指向しているだけに、現在の日経平均が高い水準にあると見て、益出しの売りをしている可能性があるため、動向に注意したい。

 2)日経平均は先週38,000円近辺まで下落、海外短期筋の先物買い主導で大幅反発
  ・1/20〜24で日経平均は+1,480円高。
   1/06〜17までの下落幅▲1,443円安を一気に取り戻した。
  ・1/20〜24投資主体別売買状況の発表を待って、買い方の手口を明らかにしたい。
  ・いずれにしても、海外短期筋が日経平均38,000円近辺までの下落したのを見て、薄商いの中、買い上がったと思われる。

 3)格言「節分天井」を忘れないように
  ・日経平均が38,000円〜40,000円のボックス圏で推移してきた。そういう観点から、売られやすい高値水準にある。
  ・トランプ大統領の追加関税方針で警戒してきたが、大統領就任後いまだに関税引上げに動いていない。そのため、警戒緩和が薄れて(1)米国株高(2)ドル安(3)金利低下している。日経平均も恩恵を受けて40,000円超に上昇する可能性があるが、その場合は飛び降りるケースも念頭に置いておきたい。
  ・格言に「節分天井」という言葉があり、忘れないようにしたい。

●3.日銀、追加利上げし+0.5%にする方針、米国新政権発足で市場の混乱回避(時事通信)
 1)現行の+0.25%から+0.50%に引上げる。2008年10月以来となる約17年ぶりの高水準。
 2)今年の春闘では昨年に続いて大幅な賃上げが期待できることに加え、トランプ米国政権発足後も金融市場の混乱が回避されたことを受け、利上げに踏み切る。

●4.日銀の利上げ、大手企業の50%超がマイナスの影響=NHK調査(NHK)
●5.トランプ政権の関税懸念で、日本企業3割が「マイナス回答」(NHK)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
 ・2587 サントリー    業績好調
 ・7269 スズキ      業績好調
 ・9706 日本空港ビル   業績好調

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