【アイデアを生みだす技術】なぜ、多くの人は「アイデアに自信が持てない」のか?

2024年3月17日(日)6時0分 ダイヤモンドオンライン

【アイデアを生みだす技術】なぜ、多くの人は「アイデアに自信が持てない」のか?

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価値観が多様化し、先行き不透明な「正解のない時代」には、試行錯誤しながら新しい事にチャレンジしていく姿勢や行動が求められる。そのために必要になってくるのが、新しいものを生みだすためのアイデアだ。しかし、アイデアに対して苦手意識を持つビジネスパーソンは多い。ブランドコンサルティングファーム株式会社Que取締役で、コピーライター/クリエイティブディレクターとして受賞歴多数の仁藤安久氏の最新刊『言葉でアイデアをつくる。 問題解決スキルがアップ思考と技術』は、個人&チームの両面からアイデア力を高める方法を紹介している点が、類書にはない魅力となっている。本連載では、同書から一部を抜粋して、ビジネスの現場で役立つアイデアの技術について、基本のキからわかりやすく解説していく。ぜひ、最後までお付き合いください。

Photo: Adobe Stock

世の中には創造的ではない人は、いない

 いまだから自信を持って言えますが、そもそも世の中には創造的ではない人なんていません。幼児の創造教育のひとつであるレッジョ・エミリアアプローチの中では「子どもは100の言葉を持っている、しかし、そのうち99は奪われる」と言われています。

 たしかに、子どもは無邪気で、そして、常に本質的です。子どもが持っているような発想のまま大人になれれば「アイデアの芽」をたくさん出せるはずです。

 しかし、99が奪われる、と言われているように、

「ゼロから生みださなければいけない」「ホームラン級の革新的なアイデアでなければいけない」「正しくなければいけない」

 という思い込みを年齢を重ねていく中で身にまとい、自らのアイデアにブレーキをかけているのです。

 私が、テレビ東京系の『シナぷしゅ』という赤ちゃんや幼児向け番組でコーナー企画を行っているのは、人間が誰しも持っている創造力をどう伸ばすのか、ということに関心があるからです。

アイデアが生まれる環境を変える必要がある

 では、大人に対しては、何ができるでしょうか。

 先述したように「アイデアを出すことに自信がある人は手を挙げてください」という質問を投げかけると、ほとんど手が挙がりません。このような現状は、変えなければいけないと思っています。

 では、どうすればいいのでしょうか。

 心持ちを変えましょう、というだけでは足りません。アイデアを生みだす「環境」を変える必要があるのです。

 私は「自分は創造的ではない」という思い込みは、家庭や学校、職場などにおいて、周囲からの影響でつくられたものだと考えています。

 ですから、変えるべきは「環境」です。一人ひとりが幼少期からやり直すわけにもいかないので、せめて目の前のアイデアを生みだす環境を変えましょう。

日本では「間違えてはいけない」という思い込みが強い

 課題の解決に向かう最初の閃きとも言える「アイデアの芽」は、とても脆いものです。それを、「つまらない」と否定することはとても簡単です。

 しかし、芽は摘むものではなく大事に育てるものだ、と個人はもちろん、チームや会社、そして社会全体が思えたら、いまの環境は変わるはずです。

 組織行動学のエイミー・エドモンドソンが1999年に提唱した心理的安全性は、「チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」と定義されていています。メンバー同士の関係性で「このチーム内では、メンバーの発言や指摘によって人間関係の悪化を招くことがないという安心感が共有されている」ことが重要だと言われています。Googleが、「生産性が高いチームは心理的安全性が高い」との研究結果を発表したことでも注目されました。

 特に、日本においては「間違えてはいけない」という思い込みが強いように思えます。

 だからこそ、チームでアイデアをつくり、いいアイデアに発展させていくには、リーダーの役割が大事になってきます。心理的安全性を確保して、メンバー一人ひとりのアイデアを意味のあるものだとフィードバックして、誰もが創造的な人間だと思えるようにすること。

 環境づくりで、まずはアイデアのブレーキを外しましょう。

(※本稿は『言葉でアイデアをつくる。 問題解決スキルがアップ思考と技術』の一部を抜粋・編集したものです)

仁藤 安久 (にとう・やすひさ)
株式会社Que 取締役
クリエイティブディレクター/コピーライター

1979年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業。同大学院政策・メディア研究科修士課程修了。
2004年電通入社。コピーライターおよびコミュニケーション・デザイナーとして、日本サッカー協会、日本オリンピック委員会、三越伊勢丹、森ビルなどを担当。
2012〜13年電通サマーインターン講師、2014〜16年電通サマーインターン座長。新卒採用戦略にも携わりクリエイティブ教育やアイデア教育など教育メソッド開発を行う。
2017年に電通を退社し、ブランドコンサルティングファームである株式会社Que設立に参画。広告やブランドコンサルティングに加えて、スタートアップ企業のサポート、施設・新商品開発、まちづくり、人事・教育への広告クリエイティブの応用を実践している。
2018年から東京理科大学オープンカレッジ「アイデアを生み出すための技術」講師を担当。主な仕事として、マザーハウス、日本コカ・コーラの檸檬堂、ノーリツ、鶴屋百貨店、QUESTROなど。
受賞歴はカンヌライオンズ 金賞、ロンドン国際広告賞 金賞、アドフェスト 金賞、キッズデザイン賞、文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品など。2024年3月に初の著書『言葉でアイデアをつくる。 問題解決スキルがアップ思考と技術』を刊行する。

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