社内で「自分の味方を増やすのがうまい人」が知っていること

2024年3月22日(金)6時0分 ダイヤモンドオンライン

社内で「自分の味方を増やすのがうまい人」が知っていること

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「優れたアイデアマン」や「組織で改革や改善を推進していく人」には共通するコミュニケーション法がある。何だかわかるだろうか? それは「すぐに人に話して、どう思う?」と聞きまくることだ。きっとあなたの組織にもそんなタイプの人がいるだろう。このコミュニケーション手法は「壁打ち」と表現されたりする。話題のベストセラー『Deep Skill ディープ・スキル』では、この「壁打ち」の価値や効果が詳しく説明されている。なぜ、優秀な人ほどすぐに“壁打ち”をするのか。ここではその理由と隠れた効果について紹介する。これを知れば、きっとあなたも「壁打ちをやってみたい」という気持ちになるはずだ。(構成:イイダテツヤ)

Photo: Adobe Stock

仕事ができる人は「他者の脳」を借りて成果を出す

 どんな組織にも「優れたアイデアマン」がいるだろう。

 常に新しい企画や改善ポイントを考え、何かと言えば「ちょっと、思いついたんだけど…」「今、考えていることがあるんだけど…」と言って、アイデアや気づきのかけらをすぐに話し出すようなタイプ。

 社内で独特の存在感を放っていて、さまざまな企画を実行したり、組織改革、業務改善などを行なっていく優秀な人材だ。

 この種の人たちはたしかにアイデアや視点が優れている。それは才能と呼ぶべきものかもしれない。

 しかし、彼ら、彼女らの才能とは別に、じつはこうした人たちには共通する「コミュニケーション法」がある。

 それが『Deep Skill ディープ・スキル』でも紹介されている「他者の脳を借りて考える」という方法。

 注意深く観察していると、組織のアイデアマン、改革推進者たちはすべてを一人で考えているわけではない。

 彼ら、彼女らに共通しているのは「すぐに話して、他人を巻き込むこと」。優秀な人ほど、このコミュニケーション(思考法とも言える)に長けている。

 よく優れた経営者は「思いつきをペラペラしゃべって、周りが振り回される」なんて話を聞くだろう。

 相手が経営者だと、振り回される側もたいへんだが、当の経営者自身は話しながら思考を整理したり、周囲の反応を観察したり、多様な意見やさらなるアイデアを収集している。

 まさに、周りを巻き込み、周りの脳を使ってアイデアをバージョンアップさせているのだ。

 こうしたコミュニケーションを本書では「壁打ち」と呼び、次のように定義している。

「相談」のさらに手前、といっても単なる「雑談」とも違う。まだぼんやりとしているけれども、自分の考えていることや、悩んでいることを聞いてもらって、相手に、思いつくままに「感想」「質問」「アイデア」を返してもらう。(P.111)

 これはあらゆる職場、あらゆる立場の人とにとって有効なスキルである。

 そして、なにも「壁打ち」をするネタが斬新なアイデアである必要はない。

 たとえば「自分がちょっと困っていること」があるなら、信頼できる先輩をつかまえて「ちょっと壁打ちしてもらえます?」と始めれば、それでいい。

 これが簡単なようで、なかなかできない人が多い。

 というのも、世の中には「考えはまとまってから話すもの」と思い込んでいる人が大勢いるからだ。

 たしかに、まとまらない話をダラダラして相手の時間を奪うのはよくない。

 しかし、自分で抱え込んでいるより、「壁打ち」してしまった方が早くて、適切で、効果的な場面は多いのも現実だ。

 周りを見渡してみれば、優れた人、仕事ができる人ほど全然まとまってない状態で、どんどんアイデアを話しているだろう。

 反対に、仕事ができない人ほど「まとまってから話そう」と思うあまり、ずっと一人で抱え込み、結局何も進展しないまま時間ばかりが過ぎていっているのではないだろうか。

 自分一人で「ウン、ウン…」と唸りながら考えている人と、どんどん他人を巻き込み、他人の脳を使って考えている人とでは思考のスピードも、クオリティも違ってくるのは当然。

 だからこそ、どんどん「壁打ち」をすべきなのだ。

「壁打ち」が持つ驚くべき効果とは?

 アイデアや課題を誰かと「壁打ち」することで、ブラッシュアップされたり、課題の本質が浮かび上がったりしてくることは多い。

 ただし、本書のメソッドがおもしろいのはここで終わらないところだ。

 本書のメインテーマは「人間心理と組織力学を踏まえて、組織のなかで実行力を発揮すること」にある。

 すなわち、自分のアイデアを組織のなかで実行したり、問題を解決するところに本当の目的がある。

「壁打ち」によって企画がブラッシュアップされる。それはたしかにその通り。しかし、それ以上の効果が「壁打ち」にはあるのだ。

 たとえば、アイデアや課題についてある先輩に「壁打ち」してもらったとしよう。

 すると当然、その先輩は「あいつがこんなアイデアを持っている」とか「こんな課題を抱えている」と知ることになる。

 当たり前と言えば当たり前だが、これが案外あなどれない。

 なぜなら、そのアイデアや課題について、先輩から「こんな情報があるから、確認してみたら」とか「○○さんが、こんなことをやってるって言ってたから、話を聞いてみたら」などと教えてもらえるようになるからだ。

 これがもし、3人の相手に「壁打ち」したなら「情報の入り口」は3倍になる。情報のアンテナが3倍になると表現してもいいだろう。これは非常に大きな効果である。

 さらに、壁打ちしてもらった相手というのは、いわば「アイデアを一緒に考えた仲間」であり「協力者」だ。組織のなかで新規事業の提案をしたり、業務の改善提案をするとき、後押ししてくれる心強い味方になってくれるのだ。

アイデアが“生煮え”の段階から、関係部署のキーパーソンなどと「壁打ち」をすることによって、いざ起案したときに、彼らを“一緒に考えた仲間”として「味方」につけることができるということです。(P.117)

 もちろん、それを目的に「壁打ちしてください」と擦り寄っていくのは、あまりに見え透いていて感心できない。「したたかさ」を超えて「狡猾なヤツ」「油断ならない人」と思われてしまう。

 そこは注意が必要だが、実際に「壁打ち」してもらうことが“事前の根回し”となっていることは少なくない。

 他人の脳を巻き込み、情報のアンテナを増やし、味方にもなってもらえる。今すぐにでも取り入れたいコミュニケーション法ではないだろうか。

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