老化を防ぎ、血圧を下げる…「103歳で大往生」まで元気だった経営者が60歳から毎朝欠かさなかった飲み物
2025年3月27日(木)16時15分 プレジデント社
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Choreograph
※本稿は、市川歩美『味わい深くてためになる 教養としてのチョコレート』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
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■「チョコレートは健康によくない」は過去の話
「チョコレートは健康によくない」というイメージが一般的だった時代は、過ぎ去りつつあります。
近年ではその逆転現象で、健康のためにチョコレートを購入する人が増えています。私のまわりにも「おやつは、健康のためにカカオ分の高いダークチョコレートを選んでいる」という人が少なくありません。
さて、「どんなチョコレートが健康にいいの?」と聞かれることがよくあります。
もしあなたが、スーパーフードともいわれるカカオの健康効果に期待するなら、まずはカカオの割合が多いダークチョコレートを選んでください。
基準は、チョコレートのパッケージに書かれた数字です。包装紙やパッケージの一部に「カカオ72%」「カカオ80%」などと記されており、その数字が大きいほど、カカオが多く使われているということです。
おすすめは、カカオの割合が70%以上とされる「ハイカカオチョコレート」と呼ばれるタイプです。その人気は近年高まっており、スーパーやコンビニでもすぐに見つかります。
◆カカオ分70%以上のダークチョコレート(ハイカカオチョコレート)
カカオ含有量が多い、純粋な板チョコレートを選んでみましょう。甘いチョコレートやお菓子は、美味しくて幸せな気持ちになりますが、糖分を多く摂取することにもなります。
また、本書でも詳しく説明していますが、ポリフェノールを摂りたい場合は、ホワイトチョコレートではなくダークチョコレートを選んでください。
ホワイトチョコレートは、カカオの成分のうちカカオバター(油脂)のみを使用しているため、ポリフェノールはほとんど含まれていません。
ホワイトチョコレートって、クリーミーで美味しいですよね。私も好きですが、健康効果を求めるときはダークチョコレートを食べましょう。
■カカオたっぷりのおすすめドリンク
チョコレートはおもしろいもので、温度によって固形にも液体にもなります。カカオの健康効果を期待したい方は、私が愛飲している、こんなドリンクをおすすめします。
◆ハイカカオチョコレートで作るチョコレートドリンク
じつは、私は液体のチョコレートが大好きで、チョコレートドリンク愛好家でもあります。チョコレートドリンクは美味しいだけでなく、カカオ分の高いダークチョコレートを使えば、ポリフェノールをたっぷり摂取できるのです。
私は仕事柄、多くの板チョコレートを味わいますが、その風味をより深く理解するために、ドリンクにして飲むこともあります。ドリンクにすると、風味がすぐに口の中で広がるため、味がわかりやすいのです。
写真=iStock.com/fcafotodigital
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◆ココア
カカオ分の高いチョコレートで作るドリンクだけでなく、ココアもぜひ!
ココアはカカオバターをほとんど取り除いたカカオの成分です。脂肪分を控えたいとき、私はよく飲むようにしています。
1924年に創業した日本のチョコレート原料メーカー「大東カカオ」の創業者である故・竹内(たけうち)政治(まさはる)さんは、60歳から毎朝ココアをご自身で作って飲んでおられ、103歳でお亡くなりになるまで、大変お元気だったことで有名でした。
■いきなりの「ハイカカオ」は禁物!
チョコレートはカカオ分が高くなるほど、健康によいとされています。でも「良薬は口に苦し」というように、やはり苦味も強くなってしまうんですよね。
この本を読んで「健康のためだから……」などと言いつつ、苦さを我慢して食べる人もいるかもしれません。
でもみなさん、いきなり無理しないでくださいね。ハイカカオチョコレートにあまり挑戦したことがない方は、まずは、カカオ分60%台のチョコレートから味わってみるのもよいと思います。
少しずつ苦味に慣れてきたら、カカオの割合を上げてみてください。しばらくすると、ビターな味が好きになり「今ではカカオ70%以上が定番になりました」というような声を、よく耳にします。
あとは、固形のチョコレートをドリンクメーカーなどに入れ、温かいミルクとともにチョコレートドリンクにすると、マイルドになって美味しいですよ。
■老化を防いでくれる「カカオポリフェノール」
「ポリフェノール」と聞くと、赤ワインや緑茶をイメージする方が多いと思います。でも、じつはチョコレートの原材料、カカオ豆にも豊富に含まれているのです。
カカオ豆に含まれるポリフェノールの健康効果は、近年、日本でも広く知られるようになってきました。
では、カカオポリフェノールは私たちに、どのような健康効果をもたらしてくれるのでしょうか?
ここでは、医学博士の板倉(いたくら)弘重(ひろしげ)さんの著書『チョコレートの凄い効能』(かんき出版)や『ココア・チョコレート健康法』(近藤和雄・板倉弘重著、ごま書房新社)をはじめ、これまでに読んだ書籍、取材を通じて得た情報をもとに、私の理解をまとめてみたいと思います。
写真=iStock.com/ValentynVolkov
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■脳卒中や老化の一因になる活性酸素を除去してくれる
まずカカオポリフェノールとは、チョコレートの原料となるカカオに由来するポリフェノールです。強い抗酸化作用があります。
抗酸化作用とはわかりやすくいえば、私たちの体を酸化させる「活性酸素」をやっつけてくれる作用です。
私たちの体にとって、酸素は必要不可欠なものです。絶え間なく酸素を吸い込んでいないと、生きていくことができません。しかし、空気を吸って取り入れた酸素のうち、じつは1〜2%が体内で活性酸素に変わります。この活性酸素というのが、病気や老化の原因となるのです。
市川歩美『味わい深くてためになる 教養としてのチョコレート』(三笠書房)
活性酸素は、私たちの体にさまざまな悪影響をもたらします。鉄は酸化するとボロボロになってしまいますが、それと同じように、私たちの体も活性酸素によって酸化すると、血管の状態が悪くなって血液がスムーズに流れなくなります。
これが動脈硬化を引き起こしたり、心筋梗塞や脳卒中の原因になったりして、老化の一因にもなるのだそうです。
ここまで聞くと、活性酸素をやっつけたい、と思いますよね。そんなときに活躍してくれるのが、抗酸化作用のあるビタミンCやビタミンE、そしてポリフェノールです。このポリフェノールがうれしいことに、私たちが愛するチョコレートにも含まれているのです。
■カカオポリフェノールの健康効果
カカオポリフェノールの健康効果をまとめてみます。
◆血圧低下
カカオポリフェノールは血管を広げる働きがあるため、血圧低下の効果が期待できます。
◆動脈硬化の予防(心筋梗塞や脳卒中の予防)
動脈硬化とは、動脈の血管が硬くなるなどして血液がスムーズに流れなくなる状態で、心筋梗塞や脳卒中の原因となります。カカオポリフェノールには、動脈硬化の原因となる「悪玉(LDL)コレステロールの酸化」を防ぐ働きがあることがわかっています。
◆冷え性の改善
カカオポリフェノールは血管を広げる働きがあるので、血流がよくなるとされています。それによって冷え性の改善が期待できます。
◆アレルギーを防ぐ
アレルギー症状には活性酸素が関係していることがわかっていますが、カカオポリフェノールが活性酸素の働きを抑えてくれるため、抗アレルギー効果が期待できることが明らかにされてきています。
ほかにも多くの研究が行なわれ、カカオポリフェノールには、認知症の予防や記憶力の改善、胃炎や胃潰瘍(かいよう)、胃がんの危険因子にもなるピロリ菌の殺菌効果など、多くのうれしい効果が発表されています。カカオポリフェノールがもたらす健康効果については、これからも多くの研究が進むことでしょう。
■効果的に摂取するためのポイント
ここまで読んで、「カカオポリフェノールの効果を得るために、どうやってチョコレートを選べばいいの?」と思った方へ、大事なポイントがあります。
それは、パッケージに記載されたポリフェノールの含有量を確認することです。
カカオ含有量(カカオ70%など)が目安にはなりますが、厳密にはカカオ分とポリフェノール量は必ずしも比例しません。カカオ分のうち、カカオバターが多いチョコレートならば、ポリフェノールの含有量は少なくなるため、カカオ分だけでなく、ポリフェノールの含有量もチェックしましょう。
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市川 歩美(いちかわ・あゆみ)
チョコレートジャーナリスト
大学卒業後、民間放送局に入社し、長年ラジオディレクターとして多数の番組企画・制作を行う。5歳頃から筋金入りのチョコレート好き。90年代にフランス・パリのチョコレートの美味しさに衝撃を受け、本格的なチョコレート愛好家となる。放送局の仕事を離れた後、メディアや企業のオファーをきっかけにチョコレート関連のコーディネーター、ジャーナリストとしての活動をスタート。現在は、日本唯一のプロのチョコレートを主なテーマに掲げるジャーナリスト・コーディネーターとして各種メディアに情報を発信。チョコレートのトレンドと情報の源流を作っている。著書に『チョコレートと日本人』(早川書房)など。
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(チョコレートジャーナリスト 市川 歩美)