ビジネス用語「ショート」の意味は? 業界別の使い方や類義語も紹介

2024年3月29日(金)13時50分 All About

ビジネス用語の「ショート」。皆さんは正しい意味をご存じですか。今回は、「ショート」の意味や使い方、言い換え表現などを、具体的な例文とともに、現役フリーアナウンサーの新保友映が解説します。

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「資金がショートする」などビジネスシーンで使われる用語「ショート」。使う場面や、業界によってさまざまな意味を持つ言葉です。今回は、「ショート」の意味や使い方、言い換え表現などを、具体的な例文とともに、現役フリーアナウンサーの新保友映が解説します。

ビジネス用語「ショート」の意味とは

ビジネスの場面で「ショート」と言う場合、多くは物資や資金が不足していることや、期間が短いことなどを意味します。「ショートする」といった形で使われるほか、「資金ショート」や「ショートノーティス」などの複合語としても使われる言葉です。
・日常生活での「ショート」の意味
「ショート」は英語の「short(ショート)」に由来する言葉で、ビジネスの場面に限らず日常生活でもよく使われます。英語では「短い、背が低い、足りない、簡潔な」などの意味があり、日本語で「ショート」と言う場合も、こうした英語の意味と同じように使われることが多い言葉です。例えば、「ショートカット」は短い髪形や近道を指しますし、「ショートスリーパー」は睡眠時間が短い人のことを指します。

【業界別】「ショート」の使い方

主にビジネスにおいて、「ショート」は以下のような意味で使われる場合もあります。
・金融業界「資金ショート」
企業経営などにおいて使われる言葉に「資金ショート」があります。これは、事業を運用するための資金が不足している状態を意味するもので、売り上げが急激に減少したり、想定外の多額な出費が発生したりして、一定期間、支出が収入を上回った場合などに生じます。
売り上げから経費などを差し引いた利益がマイナスになる「赤字」や、会社が抱える負債が資産の総額を上回る「債務超過」と似た言葉ですが、赤字や債務超過は、すぐに事業が立ち行かなくなるものではなく経営戦略次第では立て直しが可能なのに対して、「資金ショート」は事業に必要な支払いができない状態に陥ることを意味し、迅速な資金調達ができなければ倒産の危険があるという点で違いがあります。
【例文】
・資金ショートに陥らないためには、資金繰りの状況を正確に把握しておく必要がある。
また、金融業界で使われる「ショート」は、「売り」の取引も意味します。「売り」といっても、単純に株を売る場合などはショートとは言わず、信用取引や外国為替証拠金取引(FX)など、担保をもとに行われる取引で使われる言葉です。実際には保有していない株券や通貨を売りに出した状態のことで、「ショートポジション」「空売り」「売り持ち」とも言います。反対に買いの状態のことは「ロング/ロングポジション」といいます。
【例文】
・彼女はショートを保有しているので、株価が下落することに期待を寄せている。
・IT業界やコンサル業界「ショートノーティス」
「ショートノーティス」は、「short(短い)」に、英語の「notice(通知)」を合わせた言葉で、納期が短いことや、締め切り直前であることを意味します。急な仕事の依頼・発注などをする際に、時間がないことを伝えるために使われます。
【例文】
・ショートノーティスで恐縮ですが、今週中に納品をお願いいたします。
・動詞としての「ショート」
ショートは基本的に形容詞として使われることが多い言葉ですが、動詞として使われる場合は「期間などを短くする、省略する」といったことを意味します。
【例文】
・進捗(しんちょく)を考えると、スケジュールをショートさせた方がよいだろう。
また、英語の「short」には動詞として「(電気)を短絡させる、短絡する」という意味があります。短絡というのは、電気が普通の回路を外れて負荷を経由せずに一度に大量に流れることで、「ショート」という場合、短絡そのものを表すほかに、人気アニメの主題歌の歌詞に「思考回路はショート寸前」とあるように、比喩的に使われることもあります。
【例文】
・ブレーカーは、ショートが発生したとき即座に電気を切り火災を防ぐ役割がある。
・考えすぎて頭がショートしそうだ。

ビジネス用語「ショート」の類義語

時間的な短さや、資金・物資が足りないことを表す「ショート」という言葉。最後に、「ショート」の類語や言い換え表現をご紹介します。
・タイト
「タイト」は英語の「tight(タイト)」に由来する言葉です。「タイトスケジュール」などと言うように予定が詰まっていて余裕がないことや、予算がひっ迫して厳しいことを意味します。資金繰りなどに関して使う場合、「ショート」が足りていないことを表すのに対して、「タイト」は厳しいものの不足しているわけではない場合にも使われますので、ニュアンスに少し違いがあります。
【例文】
・今月はスケジュールがタイトなので、来月以降で調整します。
・今回は予算がタイトなので、規模を縮小して展開しよう。
・不足
英語の「short」の意味にも「不足」があるように、「不足」はそのまま「ショート」の言い換え表現として使うことができます。ただし、「短い」という意味で「ショート」を使う場合や、「ショートノーティス」などの複合語として使う場合には適しませんので注意が必要です。
【例文】
・資金が不足しているので、追加の調達が必要です。
・レス
「レス」は英語の「less(〜より少ない、下回る)」に由来する言葉で、「ボーダーレス」や「カフェインレス」などのように他の外来語について「〜がない」という意味を表します。ただ、ビジネスの場面での「レス」は「response(レスポンス)」を省略した言葉として「返事」や「反応」の意味で使われることが多く、「レスする」という場合、「足りなくなる」ではなく「返事をする」という意味になるので注意が必要です。
「less(レス)」の意味は「ショート」と通じるところがあり、類語と言えるかもしれませんが、ビジネスシーンでの「ショートする」を「レスする」と言い換えると混乱を招くので控えた方がよいでしょう。

まとめ

「ショート」は、時間が短かったり、資金や物資が不足していることを表すビジネス用語で、ひっ迫した状況で使われることも多い言葉です。使う場面によっては全く違った意味を持つこともありますので、この機会に、正しい意味や使い方、言い換え表現などを確認してみてください。
■執筆者プロフィール
新保 友映(しんぼ ともえ)
山口県岩国市出身。青山学院大学卒業後、2003年にアナウンサーとしてニッポン放送に入社。『オールナイトニッポンGOLD』のパーソナリティをはじめ、『ニッポン放送ショウアップナイター』やニュース情報番組、音楽番組など担当。2018年ニッポン放送退社後はフリーアナウンサーとして、ラジオにとどまらず、各種司会、トークショーMC、YouTube、Podcast、話し方講師など幅広く活動。科学でいじめのない世界をつくる「BE A HEROプロジェクト」特任研究員として、子どもたちの授業や大人向け講座の講師も担当している。
(文:新保 友映)

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