法人顧客の「ニーズの裏のニーズ」を知るために押さえたい6つの価値とは?

2024年3月28日(木)4時0分 JBpress

 ビジネスパーソンであれ、企業組織であれ、ビジネスでは「一回切り」「たまたま」「まぐれ」の成功は通用しない。顧客が欲するサービス・商品を「継続的に」「必然的に」「狙い通りに」提供し続けて、初めて「仕事」といえる。つまり、仕事とは「人の心を捉え続けること」であり、それを実現するために必要なのは、顧客の「真のニーズ」を的確に捉えるためのマインドセットと仕組みづくりだ。本連載は、『いつでも、どこでも、何度でも卓越した成果をあげる 再現性の塊』(田尻望著/かんき出版)から、内容の一部を抜粋・再編集。キーエンス出身の経営コンサルタントが体系化した「ニーズの捉え方」の考え方とノウハウの一端を紹介する。

 第2回は、法人顧客の「ニーズの裏のニーズ」を捉えるために知っておくべき「6つの価値」について解説する。

<連載ラインアップ>
■第1回 “仕事ができる人”が捉えている顧客の「ニーズの裏のニーズ」とは?
■第2回 法人顧客の「ニーズの裏のニーズ」を知るために押さえたい6つの価値とは?(本稿)
■第3回 人間関係が悪化し、5人の営業が辞めたことで失われた売上を考える意味とは?
■第4回 「社内コミュニケーションをよくしたい」の裏に隠された重要なニーズとは?(4月11日公開)
■第5回 「絶対に食いっぱぐれることのない」組織になる方法とは?(4月18日公開)
■第6回 40年前から変わらない、キーエンスの“卓越した成果”を再現し続ける秘訣とは(4月25日公開)

※公開予定日は変更になる可能性がございます。この機会にフォロー機能をご利用ください。
<著者フォロー機能のご案内>
●無料会員に登録すれば、本記事の下部にある著者プロフィール欄から著者フォローできます。
●フォローした著者の記事は、マイページから簡単に確認できるようになります。
●会員登録(無料)はこちらから


法人顧客の「ニーズの裏のニーズ」を捉えるために知っておくべき「6つの価値」

 ここまでは、BtoCにおける個人顧客の「ニーズの裏のニーズ」について見てきました。

 次に、企業など法人顧客を対象としたBtoBビジネスにおける「ニーズの裏のニーズ」について考えてみましょう。

 個人顧客と同様に、法人顧客にも「ニーズの裏のニーズ」があり、それを的確に捉えることが、ビジネスの成功につながります。

 まずは「法人顧客が抱える基本的な問題」は何か、すなわち「法人顧客が求める価値」について知る必要があります。

 法人顧客にとっての「価値」の裏側に「ニーズの裏のニーズ」が潜んでいるからです。『付加価値のつくりかた』でもお伝えしましたが、もう一度おさらいしておきましょう。法人顧客(企業)が求める価値には、大きく次の6つがあります。

  1. 生産性のアップ
  2. 財務の改善
  3. CSRの向上
  4. コストダウン
  5. リスクの回避
  6. 付加価値のアップ

 これらが法人顧客にとってどのような価値を持つのか、一つひとつ簡単に説明しておきます。

1. 生産性のアップ

「自社の生産性をアップさせたい」というのは、会社の規模にかかわらず、またどんな業種・業態の会社でも重要度の高い価値です。まさに「価値の王道」と言ってもいいでしょう。中小企業でも大企業でも、製造業でもサービス業でも、すべての企業は「現状より、もっと生産性を上げたい」と望んでいます。

2.財務の改善

 財務の改善も、すべての企業にとって大きな価値になります。財務の改善にはさまざまな方法がありますが、代表的なものは「キャッシュフロー」の改善です。つまり、いつ入金があって、いつ払うのか、そのタイミングをしっかりコントロールできるかが財務の改善につながります。それをうまくコントロールする方法をお客様に提案・提供できれば、それが法人顧客にとっての高い価値となります。

3.CSRの向上

 企業はCSR(企業が果たすべき社会的責任)活動に積極的に取り組み、その取り組みへの姿勢を社内外にアピールすることで「企業イメージの向上」が実現できます。

 重要なのは、企業イメージの向上によって「どんな付加価値が生まれるのか」です。

 CSRへの取り組みが甘いとレピュテーションリスク(風評・悪評の拡大により企業の評価・信用が下がり、損失を被るリスク)が高まり、場合によっては間接的に多額のコストがかかります。CSRに取り組んで企業価値が上がり、いい人材がたくさん集まれば、そうしたコストが削減できます。

4.コストダウン

 コストとは、付加価値を生み出す作業にかかる「時間とお金」です。つまりコストダウンとは、付加価値の量(付加価値金額)はそのままで、作業にかかる時間とお金を減らすことです。

 顧客に対してコストダウンという価値を提供しようと思うなら、まず「顧客にとっての付加価値とは何か」を定義しなければなりません。そのうえで、顧客が時間とお金を大量にかけている作業を抜き出し、その作業の低減化につながる商品やサービスを提案する必要があります。

5.リスクの回避

 リスクの回避とは、「今はまだ発生していないけれど、将来発生するかもしれない損失」を回避することです。企業には「リスクを減らしたい、回避したい」というニーズがあり、そのニーズを叶えるところに価値が生まれます。

6.付加価値のアップ

 付加価値のアップとは、法人顧客にとってのお客様、つまり「クライアント企業にとっての顧客(エンドユーザーなど)」に提供できる付加価値を向上させることです。

 例えば、飲食店コンサル企業は、直接的な顧客である飲食店のことだけでなく、「その店を訪れるお客様に提供できる付加価値は何か?」「その付加価値をもっとアップさせるにはどうしたらいいか?」を考えなくてはなりません。

 それが「付加価値のアップ」という大きな価値になります。

 法人顧客にとって、この6つが重要な価値となります。

 そして、「ニーズの裏のニーズ」は、これら6つに密接に紐づいています。

 よって、もしあなたが法人顧客を相手に仕事をしているなら、必ずこれら6つの価値につながる「ニーズの裏のニーズ」を探り出さなければなりません。

【まとめ3-6】
法人顧客の「ニーズの裏のニーズ」は「生産性のアップ」「財務の改善」「CSRの向上」「コストダウン」「リスクの回避」「付加価値のアップ」に紐づいている。

<連載ラインアップ>
■第1回 “仕事ができる人”が捉えている顧客の「ニーズの裏のニーズ」とは?
■第2回 法人顧客の「ニーズの裏のニーズ」を知るために押さえたい6つの価値とは?(本稿)
■第3回 人間関係が悪化し、5人の営業が辞めたことで失われた売上を考える意味とは?
■第4回 「社内コミュニケーションをよくしたい」の裏に隠された重要なニーズとは?(4月11日公開)
■第5回 「絶対に食いっぱぐれることのない」組織になる方法とは?(4月18日公開)
■第6回 40年前から変わらない、キーエンスの“卓越した成果”を再現し続ける秘訣とは(4月25日公開)

※公開予定日は変更になる可能性がございます。この機会にフォロー機能をご利用ください。
<著者フォロー機能のご案内>
●無料会員に登録すれば、本記事の下部にある著者プロフィール欄から著者フォローできます。
●フォローした著者の記事は、マイページから簡単に確認できるようになります。
●会員登録(無料)はこちらから

筆者:田尻 望

JBpress

「ビジネス」をもっと詳しく

「ビジネス」のニュース

「ビジネス」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ