「定刻の5分前」では100点とはいえない…日本一のヘッドハンターが教える「面接会場に到着すべき正しい時間」

2024年4月4日(木)8時15分 プレジデント社

「定刻の5分前」では100点とはいえない(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/deepblue4you

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面接会場には何分前に到着するのが理想的なのか。ヘッドハンターの半沢健さんの書籍『無敵の内定戦術』(発売:講談社、発行:日刊現代)より、採用面接の必勝戦略について紹介する——。

■相手の立場に立って配慮することが重要


個々の候補者にとっては「この1回」であっても、人事担当や面接官には何百回、何千回と繰り返されているのです。


中でも「候補者が来る、ドアをノックし、迎え入れる」というのは、そうした方たちにとって日々繰り返し行っているルーティン中のルーティンです。


それだけに、個々人の違いには特に敏感になっており、面接会場への到着から入室への流れはあらかじめ「相手の立場」に立って配慮しないと、思わぬマイナス評価を受けることになりかねません。


そこで、会場への到着→受付のタイミング、様々なご意見があると思いますが、これはずばり、開始の「7分前」が正解だと考えています。


それより早くても、遅くてもいけません。


遅刻などは論外として、開始時間ジャストに会場到着でも、受付をし、入室する頃にはゆうに4〜5分を過ぎてしまうでしょう。


■定刻通りだと100点の印象にはならない


この時間は、皆さんにとっての時間的ハンデになるだけでなく、迎える担当者の方々の貴重な時間を“待つ”ことで空費させることにほかなりません。


その場の面接官の立場に立って考えれば、オンタイムで面接開始が当然のこと。


2〜3分前になっても受付から連絡がないと、「あれ、まだ来ないの?」という不安な気持ちになるのは、容易に想像がつくはずです。


少しでもそうした気持ちを抱かせたまま、面接において一番重要な冒頭へ入っていくのは、この上もないアゲンストだということはおわかりになるでしょう。


ならば、5分前ではどうか? 普通に考えれば、それでいいようにも思いますが、到着→受付ののち定刻通りにドアをノックするというのは、待つ側としてはやはり100点の印象にはなりません。


写真=iStock.com/deepblue4you
「定刻の5分前」では100点とはいえない(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/deepblue4you

■早すぎても印象が悪い


面接官の立場に立てば、オンタイムで面接自体がスタートするのが当たり前であり、そのためには2分前にノックをし、入室後に名前を言い、あいさつをして椅子にかけ、目を見合わせて、ジャスト! という流れをつくる必要があります。


だからこその「7分前」であり、それで初めて完璧な印象とともに、自分自身も落ち着いた気持ちでスムーズに冒頭へ進めるのです。


では、いっそ15分前に会場へ到着するというのはどうでしょう?


残念ながら、やはり×。


それでは、受付からの連絡に「え? もう来たの?」ということになってしまい、他の面接の予定もびっしりで多忙な担当者の方々を無用に“せかす”結果となります。


■建物周辺で時間をつぶす


遅刻やジャストの到着よりはましだとしても、印象がマイナスになるのは避けられません。


正しいのは、会場のある建物周辺に30分〜15分前には着き、周辺の公園のベンチなどで落ち着いた気持ちで待機をし、ぴったり「7分前」に到着→受付をするという流れです。


写真=iStock.com/mapo
建物周辺で時間をつぶす(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/mapo

そのためにはもちろん、万が一の交通トラブルも考えに入れたタイミングで出発する必要がありますし、駅から会場のある建物への時間も十分な余裕を見ておくべきでしょう。


今はスマホのマップで目的地への時間が簡単に計れますが、いざという時ほど道に迷うことは多いもの。


できれば、事前に下見をして時間も計っておくとベストです。


特に、都心のオフィス街の場合は1ブロックが想像以上に広いため、あわてて走らなければならないことなどないように——建物に入っても、そこからエレベーターなどで会場まで時には数分かかるという点も見越したうえでの、ジャスト「7分前」なのです。


繰り返しになりますが、相手の立場に立てば「待つ」ことも「せかされる」ことも気持ちのいいものではありません。


私自身、キャンディデイト様とお会いする際は、約束の時間に対してどのタイミングで来られるかをチェックし、それをもとに時間の感覚をアドバイスしています。


「7分前」というルールの大切さを、皆さんにはわかっていただけましたでしょうか?


■小手先でごまかすことはできない


プロフェッショナルとは、ひと言で表現するなら「侮れない人々」ということかもしれません。


それは何の分野においても言えることで、優良企業の経営者、人事担当や面接官の方は、いわば24時間、365日を常に人を見て、評価しているプロ中のプロ。


そうした方たちに対して、小手先でごまかすなどは絶対にできないことです。


例えば、不幸にして交通機関の大幅な遅れなどで遅刻した場合も、その人が1時間前には会場近くに到着するよう、しっかりと準備していたにもかかわらずのことなのか? それとも、平素からギリギリで行動しているクセが、遅れの原因になったのか? そんなことさえ、彼らから見れば事情を説明する当人の目の動き、息遣い、しぐさによって一目瞭然でわかります。


「常在戦場」の姿勢を忘れず、面接の本番ならずとも常に“求められる人材”でいられれば、自ずとプロフェッショナルの方たちのお眼鏡に叶うことになるでしょう。


熱意すなわち真剣であることが相手に伝わるかは、付け焼き刃でどうこうなるものではありません。


■真剣かどうかは目を見ればわかる


最初に挙げた例で言えば、遅刻の弁解をあれこれと並べるのではなく、ひと言はっきりと「遅れまして、大変申し訳ございません」と頭を下げる以外に選択肢はなく、せめても最大限の素直な謝罪の意を伝えるのみ。


万一の場合にきちんとお詫びができる人というのは、見る人が見ればわかります。


以前、ある難関企業の経営者の方から「真剣かどうかは、その人の目を見ればわかります」という教えをいただいたことがありますが、まさに至言。


写真=iStock.com/itakayuki
真剣かどうかは目を見ればわかる(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/itakayuki

皆さんの目はそれだけの輝きと熱さを伝えられているでしょうか?


■最後の最後で大逆転することもある


日本一のヘッドハンターとして、これまで数多くのキャンディデイト様とともに難関企業の内定獲得を果たしてきた私ですが、中にはまさに“奇跡の勝利”とでも呼ぶべき例がいくつかあります。


その典型が、面接官の印象でほぼ不採用だったところ、最後の最後で大逆転をするというパターンで、この章の初めに挙げた“先手必勝”のセオリーとは正反対。箱根駅伝にたとえるなら、レース前半の1区、2区で先頭に差をつけられたのを、最終の10区でアンカーが一気にトップに躍り出るというイメージでしょうか。


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ほぼ不採用だったところ、最後の最後で大逆転(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/Halfpoint

ここで、ある男性のキャンディデイト様の例をお話ししましょう。志望先の企業はM&Aの業界では知られた会社で、当然ながら人気も高く、経験者採用は競争率100倍以上という難関として知られていました。


ご本人はと言えば、前職も同じ業種だったので経歴や専門知識、スキルの面は折り紙付き。転職への熱意も非常に強く、私からの様々な提案に対しても真剣に、素直に取り組んでくれたのですが、誠実さのゆえか少々口下手なところが不安ではありました。


■「社長、待ってください」


案の定、一生懸命に練習はしたものの、社長面接では冒頭で相手の気持ちを掴むことができず、ご本人も内心でそのことをはっきり感じ取ったようです。


そのままの空気で時間はどんどん過ぎていき、残り5分を切ったところで社長から「最後に何か、言っておきたいことはありますか?」と締めのひと言が出た瞬間、“奇跡の逆転劇”は始まったのです。


けっしてうまく話すタイプではない彼が、しっかりした声で「社長、待ってください」と言い、その真剣な表情に社長はハッとします。その後は時間ギリギリまでありったけの熱意を込め、その会社に入りたいという思いを切々と訴え、それを目指して重ねてきた努力を目に涙を浮かべて語り……気迫に満ちた熱弁には、社長も同席した人事担当者も強く引き付けられたようです。


結果、その方は見事に内定を獲得しました。


ヘッドハンターの立場から、後で私が社長ご本人に聞いたところによると、やはり最後の質問をするまでの流れでは、内定見送りのお気持ちを固めていたとか。


しかし、残り5分に発揮されたすさまじい情熱に圧倒され、「ここまでの強い意志、気持ちの力があれば、絶対に活躍してくれるだろう」と、即座に採用を決めたといいます。


■ピークと最後しか印象に残らない「ピークエンドの法則」


まさに9回二死からの逆転満塁サヨナラホームラン、サッカーなら残り3秒の決勝ゴールというほどの快挙ですが、心理学の面から見るとけっして単なる“ミラクル”ではありません。


先手必勝のところで「初頭効果」のことを説明しましたが、他人に与える印象としては、「ピークエンドの法則」が実証されています。


人間というのは一番楽しかったり、盛り上がったりした瞬間と、あとは最後しか印象に残らない(=他の印象は薄くなる)。


であれば、そのピークとエンドを一つに、最も強いインパクトを最後に与えることで相手の印象をコントロールできる、というのが「ピークエンドの法則」ですが、ここに挙げた例などはまさしくその最高の例と言えるかもしれません。


そして、この法則は(これほど劇的なかたちでなくても)皆さんも次の面接からすぐに応用することができます。


それは、採用側から面接の最後にしばしば発せられる「質問はありますか?」という問いかけへの反応です。


■「給与や福利厚生、休日について尋ねる」は最悪


これに対し、多くの志望者がやりがちなのが給与や福利厚生のこと、休日について尋ねるというパターンで、私などから見れば「最悪」と言えるでしょう。



半沢健『無敵の内定戦術』(発売:講談社、発行:日刊現代)

無難なところでは「特にありません」ですが、それではピークエンドの効果はまったく期待できません。


ここで返すべきは、ずばり「内定をいただいたとして、入社までに準備しておくこと、勉強しておくことはありますか?」という質問です。


多くの志望者が「与えられるもの」しか頭にない受動的な質問を発する中、それとはまったく逆に「与えるもの」を考えた能動的な質問をすれば、面接官は絶対に「ほう!」と驚きますし、それが最後に強い印象を残します。


面接は“先手必勝”と“ピークエンド”の組み合わせを意識し、思うような展開にならなくても最後の最後まで諦めず、逆に「うまくいきそうだ」と思っても絶対に気を抜かないことが肝心です。


例えば面接が終了した瞬間、つい気が緩んでしまい、雑な立ち上がり方で椅子を倒してしまうとか、退出の際にドアをバタン! と乱暴に閉めるとか、廊下に出るやいなやスマホで大声の会話をするなどは、最後の最後に悪い印象を色濃く残すことになり、場合によっては大逆転で不採用という結果を招くこともないとは言えません。


ことわざに「猿も木から落ちる」というのがありますが、それは木から降りる際、もう少しで地面に着くタイミングのことが多い、という話を聞いたことがあります。


真実のほどはわかりませんが、いずれにせよ「木から落ちる猿」にはならないよう、最後まで油断は禁物と自分に言い聞かせましょう。


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半沢 健(はんざわ・けん)
ヘッドハンター、経営者
慶應義塾大学在学中に「就活塾」を立ち上げ。東大生・慶應生・早稲田生を中心に、難関企業を筆頭に数多くの内定に導く。新卒就活時と転職活動時もあわせて、人生で計34社、人気の難関企業中心に内定を獲得。ヘッドハンター業界に参画し、2019年度、“コンサル(M&A)部門MVP”、全国1位のヘッドハンターに選ばれる(日本経済新聞社グループ主催)等、個人表彰多数受賞。TOP株式会社の代表取締役社長兼ヘッドハンターとして、多くの学生やキャンディデイト様のご支援で活躍している。著書に『無敵の内定戦術』(日刊現代)がある。
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(ヘッドハンター、経営者 半沢 健)

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