三井住友トラスト・ホールディングス高倉透社長が、投資家井村氏と対談

2024年4月5日(金)10時26分 サーチナ

 三井住友トラスト・ホールディングス <8309> の高倉透社長と著名投資家の井村氏が対談を行った動画が公開された。冒頭、井村氏は、政策保有株式ゼロ宣言について質問。同宣言は21年5月になされ、同年4月に就任した高倉社長の社長として初めての大仕事。政策保有株式は、かつては取引先との信頼の証となってきたが、今までの関係づくりとは違うステージへ移行すべく、ゼロに向けて取り組むという宣言をしたという。

 3部構成の対談では、最初に同社の強みが紹介され、続いてリスクに関する話題に切り込み、最後は今後のアップサイドについての話が繰り広げられた。

 同社は1924年の創業から今年で100周年。創業時は信託会社で、銀行とは違う生い立ちを持つ。顧客との長期の信任関係を大事にし、その時々の顧客の想いを実現していく姿勢で取り組んできた。また、商業銀行であれば、預金として集めた資金を企業に融資し、金利を受領する収益構造だが、信託銀行は投資家の資金を預かり運用することでの収益源を持つ点も特徴。

 同社グループは三井住友信託銀行を中核とし、三井住友トラスト・アセットマネジメントや日興アセットマネジメントといったアジアでも最大級の資産運用機能を擁する。

 また、日本の家計が保有する資産は、金融資産約2,000兆円の他に約1,000兆円の不動産が存在するといわれており、三井住友トラスト不動産はこのような個人向け不動産ビジネスに取り組んでいる。加えて、住信SBIネット銀行 <7163> を設立し、リアルからもネットからもカバーできる体制を構築している。その他、富裕層の様々なニーズに応えるため、グローバルにウェルス・マネジメントビジネスを取り組むUBSグループともタイアップして、UBS SuMi TRUST ウェルス・マネジメントを設立した。

 資産運用残高は、125兆円で国内ナンバー1。証券代行のシェアも42%でナンバー1と、業界の中での位置付けは高い。貸出金は32兆円の規模だが、資産運用残高だけでなく、資産管理残高も256兆円とケタ違いだ。収益においても資産運用、資産管理、証券代行、不動産といったビジネスからの手数料利益が全体の半分以上を占めている。

 リスク面は、足元の日本株の上昇に伴い、政策保有株式の価格変動をヘッジする目的で保有しているベア投信の評価損が膨らんだことから売却損計上を見込み、23年10月30日に業績予想の下方修正を行ったことだ。当該処理は企業価値の観点で問題はなく、むしろ、政策保有株式の一部の株価リスクをヘッジしつつも、株式の評価益が拡大したことで資本は増加していることを踏まえ、通期の配当方針は据え置いている。

 政策保有株式は、21年5月に簿価で6,000億円あったが、2年間で1,000億円削減した。さらに、今回の中期経営計画では、24年3月期から26年3月期の3年間に簿価でさらに1,500億円の削減目標を設定した。24年3月期の取り組みは加速しており、この目標を達成できそうなペースとなっている。

 また、政策保有株式の取引先の97%が協議のテーブルに着いており、信任関係を維持しながら対話をしっかり進めていく方針の下、削減に向けた取り組みを最大限のスピードで行っているという。

 同社は中期経営計画で、30年までにROE(株主資本利益率)10%以上(23年3月期は6.93%)をありたい姿として掲げ、PBR(株価純資産倍率)1倍、時価総額3兆円以上の早期達成を目指している。現在の環境を踏まえれば、中心となるROE10%という水準を前倒しで実現する必要があり、資産運用、資産管理、不動産、相続などの手数料ビジネスに注力することで、これを通過点にさらに上のROE水準を目指す必要があるとした。

サーチナ

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