米国株の成長と高配当を両方とも狙う「iシェアーズ 米国連続増配株ETF」、新NISAの成長投資枠で

2024年4月9日(火)10時36分 サーチナ

ブラックロック・ジャパンの村田雅氏(写真)に、新たに上場した「iシェアーズ 米国連続増配株ETF」(コード:2014)の商品特性と魅力について聞いた。

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 新NISAのスタートに合わせて、その投資対象の1つであるETF(上場投資信託)への関心も高まっている。世界のETF市場は、2023年12月末現在で1万2,000本以上が上場され、純資産残高は11兆5,000億ドル(約1,623兆円)を超えている。東証ETFは313本で約75兆円と、世界のETF市場に比べるとまだ小さく、これからの成長余力が大きいといえる。世界のETF市場で最大の30%を超えるシェアを持つブラックロック(「iシェアーズ」ブランド)は、東証上場のETFでも存在感がある。2024年1月に米国株ETF2本と外国債券ETF1本の3銘柄を新規上場させ、合計37本のETFを提供することになった。ブラックロック・ジャパンの村田雅氏(写真)に、新たに上場した「iシェアーズ 米国連続増配株ETF」(コード:2014)の商品特性と魅力について聞いた。

 ——当ファンドが着目する「連続増配株(5年以上連続して増配している)」とは、どのようなタイプの企業が多いのでしょうか?

 第一に株主還元に積極的に取り組んでいる企業です。その上で、長期に配当を増配できる成長力を持った企業ということができます。安定的な収益が期待できる成熟企業で高い配当を支払っている企業に投資する「iシェアーズ 米国高配当株ETF」とは違って、成長余力があるという大きな特徴があります。「iシェアーズ 米国連続増配株 ETF」は、増配し続けている成長実績に加え、今後もその成長を維持できる成長力があるという点が大きな魅力だと思います。

 2024年3月1日時点のポートフォリオでは、金融、ヘルスケア、情報技術(IT)の3業種でポートフォリオの50%超を占めています。ポストコロナの中で、新しい市場ニーズに応えて柔軟な経営戦略を実行した企業が多く含まれています。一般的な高配当ETFで選好されやすいエネルギーや生活必需品などという景気循環銘柄の組み入れ比率は低く抑えられ、景気敏感銘柄であるITや一般消費財・サービスなどの組み入れ比率が高くなっています。

 また、当ファンドがベンチマークとする「Morningstar米国配当成長株式指数」は、5年以上増配を続けている企業を対象としています。より長期の配当実績に着目した指数に比べて、新しい銘柄が組み入れられやすく、市場のトレンドを捉えやすいという特徴もあります。

 ——当ファンド参照指数は「配当性向が75%未満」、また、「予想配当利回りが上位10%以内の銘柄は除外」という条件があります。この理由は?

 今後の増配余力が十分にあることを重視するためです。配当性向が75%を超えている企業は、現在の配当水準が目いっぱいという見方ができますので、今後の増配期待が薄くなります。また、配当利回りが高い企業には成熟企業が多く、今後の増配につながる成長性を考えると魅力的とは言えない部分があります。当ファンドは、配当による利回りの魅力を得ながら、投資企業の成長による値上がり益も同時に狙うという、両方の果実を狙える商品となっています。

 また、配当利回りに注目した投資では、その配当が企業の収益を原資として支払われているのか、その配当水準は持続性があるのかなど、決算の損益計算書(PL)や貸借対照表(BS)を精査して調査・分析する必要があります。個人投資家がこのように投資先企業を全て精査するには大変な負担がかかりますが、このETFに投資すれば、常に、参照指数のモニタリング要件をクリアしている企業にのみ投資し続けることが出来ます。この運用にかかるコストは年0.121%程度(税込み)という水準に抑えています。

 ——その他、ポートフォリオの特徴はありますか?

 当ファンドの指数は、「5年連続増配」という条件に基づいて投資対象を絞り込んでいます。ポートフォリオを構成する銘柄数は430銘柄程度です。「S&P500」は成長株(グロース)が中心ですが、当ファンドでは成長株と割安株(バリュー)が半々くらいにバランスよく配分されています。

 ——バリュー株とグロース株の両方の特徴があるということですが、そのパフォーマンスの特徴は、どのような時により明確にあらわれますか?

 一般に金利が低下し、景気が拡大する局面ではグロース株が優位とされ、反対に、金利が上昇し、景気が減速する局面ではバリュー株が優位とされます。

 現在は、米国の金利が高止まりし、景気が減速して後退する可能性が指摘される一方で米国の雇用がしっかりとし、賃金も上昇を続けているので、市場の大方の見方になっている景気後退が起こらず、現在の堅調な景気が継続するのではという意見もあり、方向感をつかみづらい相場となっています。

 今後の市場見通しが不透明でよくわからない時には、当ETFのようにグロースとバリューをバランスよく持ったポートフォリオは有効だと思います。景気後退になった場合は、バリュー株を保有している関係で、基準価額が下落したとしても下値は抑えられますし、このまま「S&P500」が史上最高値を更新するような動きになっても、その動きについていくことができます。市場がどっちに動いても、それ相応の動きが期待できるという点で注目できるのではないでしょうか。

 ——組み合わせて愛称が良いファンド群など、具体的な使い方のアドバイスはありますか?

 分散投資の考え方で、異なる動きをする組み合わせとしては、債券ファンドとの相性が良いといえます。たとえば、「iシェアーズ 米国総合債券ETF」(2256)は、米国の国債や投資適格社債など様々な債券に投資するETFです。米国の政策金利はこの2年間で大幅に引き上げられ年5%を超える高い水準になっています。今後は政策金利の引き下げも検討されていますが、金利低下は債券価格の上昇につながりますので、米国債券ファンドは投資タイミングとしても良い時期にあたります。

 金利の上昇がグロース株にとって向かい風になって株式ETFが下落する場合、その分は債券ETFがプラスになって補うことができます。中長期に投資して資産形成をめざす場合には、市場の環境によって異なる動きをする商品の組み合わせが有効です。

 ——米国株ETFに米国債券ETFを組み合わせると、ともに米ドル資産ですから、円高局面に弱いのではないでしょうか?今現在は、日本が政策金利を引き上げる方向にあり、米国は反対に金利を引き下げるタイミングを待っている状況ですから、今後は円高になるとの見通しも聞きますが?

 米国株ETFに米国債券ETFを組み合わせると、ともにドル建て資産であるため、ドル安は円資産からみるとマイナス要因になることは確かです。

 ただ、日本に暮らす私たちは、お給料を日本円でもらい、たとえば、住宅を購入したとしても資産は日本円で保有することになります。日本円のリスクに偏った財産構成になりがちです。世界の基軸通貨である米ドルの資産を持つことで、将来、私たちの日常生活を支える様々な海外製品や資材の価値が対円で大幅に変わってしまうリスクをヘッジする効果もあると思います。

 円高と円安の行方を見極めるのは非常に難しいところがありますから、ドル安への警戒がある場合は、一括で大きな資金を投資せずに、積立投資のように時間を分散して投資することも方法です。今後1年間ではなく、3年、5年という期間をかけて少しずつドル建て資産を積み立てていくということを考えれば、為替リスクについて過度に心配することもないと思います。

 「iシェアーズ 米国連続増配株 ETF」は、米国株の配当の魅力と成長の魅力を両方一緒に手に入れることができる非常に魅力的なETFです。売買単位(10口)は、2,000円台ですので、積立投資でコツコツと資産を増やす投資でのご活用も検討しやすいと思います。新NISAの成長投資枠を使った投資も可能ですので、ぜひ、長期に投資をしていただく資産としてご検討ください。

サーチナ

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