年商「100億企業」候補は今後3年で2,398社 2023年度は609社誕生 「100億企業」は国内に1万5,159社 年商100億を目指す企業に国が支援開始
2025年4月18日(金)11時17分 PR TIMES
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株式会社帝国データバンクは、保有する企業概要ファイルCOSMOS2(149万社収録)から、2023年度決算(2023年4月期〜2024年3月期)時点で
1.年商100億円以上の企業
2.そのうち同決算で初めて100億円を突破した企業 を抽出、分析した。
また、同決算期を含めた過去3期の年商伸び率から、今後(2024年度決算以降)3年以内で100億円を突破する可能性のある企業も抽出、分析した。
SUMMARY
中小企業の賃上げや価格転嫁、人材確保、高収益化などを実現するため、「年商100億円」をスローガンとした事業拡大を支援する政策がこの春スタートした。 2023年度決算時点で「100億企業」(年商100億円以上の企業)は1万5,159社。このうち、同年度で初めて100億円を突破した企業は609社ある。今後3年以内に突破する可能性のある企業(ネクスト100億)は2,398社。成長志向の中小企業が牽引する日本経済の底上げが期待される。
トヨタ自動車など「100億企業」は1万5,159社
2023年度決算(2023年4月期〜2024年3月期、単体)時点で「100億企業」(年商100億円以上の企業)は、全国に1万5,159社あることが判明した。これは国内企業約149万社の1%にあたり、出現率は企業の100社に1社に相当する。前年度(1万4,569社)と比べ590社増加した。[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/43465/1062/43465-1062-9ae968974d16ba05982dbc74830aa9dd-1497x520.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
年商規模別に見ると、「100-200億円未満」が7,093社(構成比46.8%)と最も多く、「1,000億円以上」は1,688社(同11.1%)あることも判明した。なお、100億企業のうち産業競争力強化法で定義される「中堅企業」は5,082社(構成比33.5%)、大企業は886社(同5.8%)が該当している。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/43465/1062/43465-1062-70aef00944d0b66ade0bc2ecdff83449-1577x615.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
業種別に見ると、伊藤忠商事など「卸売業」が4,236社と最も多く、次いでトヨタ自動車など「製造業」が4,007社などとなっている。また、業種内の全企業に占める割合(※出現率)でみると、同じく「卸売業」の2.60%が最も高く、次いで「製造業」の2.57%となっている。
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/43465/1062/43465-1062-b9839def85dbbccc0b6f1f327a7c29c2-1539x586.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
代表者年齢別に見ると、「60歳代」が最も多く4,830社(出現率1.66%)。数は少ないながら、「30歳代」は173社(同0.63%)、「30歳未満」は8社(同0.43%)あることが判明した。
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都道府県別に見ると、最も多いのは「東京都」の6,124社となり、100億企業の約4割が「東京都」に集中している。次いで「大阪府」1,663社、「愛知県」1,062社と大都市圏が続く。
出現率(各都道府県内の全企業数に占める割合)で見ても概ね政令指定都市が高いが、地方圏では「富山県」0.71%、「石川県」0.69%、「長野県」「愛媛県」0.68%などが上位となっている。
2023年度決算で初めて「100億企業」となったのは609社
100億企業のうち、2023年度決算で初めて年商100億円に到達した企業は、全国で609社。これは100億企業全体の4.0%にあたる。2022年度(641社)と比べると32社減少した。到達に要した年数(2023年度までの業歴)の平均は42.2年となった。[画像6: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/43465/1062/43465-1062-b2f89f24bb6b3eb922e7e65c491f9127-1753x520.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
業種別に見ると、「卸売業」が最も多く、168社が100億企業となった。次いで「製造業」が134社、「サービス業」が104社となっている。突破に要した平均年数を見ると、最も短いのは「不動産業」の22.6年、次いで「その他」の24.9年、「サービス業」の28.7年となり、単価引き上げやマーケティングによるニーズの掘り起こしで売上を伸ばしやすいBtoC業態では、比較的早期に100億企業となる可能性がある。一方で「製造業」は55.7年と最も長く、地道な設備投資など積み上げ型の経営が必要となるようだ。
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代表者年齢別に見ると、「50歳代」と「60歳代」がいずれも147社で最多となった。100億企業全体と比べると50歳代以下の構成比が高い。
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都道府県別に見ると、最多は「東京都」の234社で、「大阪」71社、「愛知」36社と続く。2022年度と比べると総じて減少しているが、「福岡県」(18社→32社)、「広島県」(6社→11社)、「福島県」「香川県」(それぞれ2社→7社)の増加が目立った。
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2024年度は610社、3年以内に2,398社が100億企業へ
2023年度時点で100億企業ではないが、同期以前3期の年商伸び率(平均)から、2024年度以降3期以内に100億企業となる可能性がある企業「ネクスト100億」を抽出すると、国内企業のうち2,398社が該当していることが分かった。1年後(2024年度)は610社、2年後(2025年度)は816社、3年後(2026年度)は972社が新たに100億企業となる可能性を秘めている。業種別で最も多いのは「卸売業」の725社(1年後193社、2年後246社、3年後286社)。次いで「製造業」の592社、「サービス業」の407社となっている。
都道府県別に見ると、「東京都」「大阪府」「愛知県」「神奈川県」の大都市圏では、3年間でそれぞれ100社以上の100億企業が生まれる見込み。「福岡県」(3年で88社)や「北海道」(同71社)の地方圏でも、大都市圏に迫る数が100億企業となりそうだ。
[画像10: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/43465/1062/43465-1062-2e94b83f1bbdb87afe37543d7971765c-1852x854.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
政府はこの春から、地域経済を牽引する100億企業を創出すべく、経営者の意識づけや会社全体のモチベーションアップを目的とした「100億企業宣言」や、これら宣言企業に1社最大5億円の設備投資資金を補助する「成長加速化補助金」といった積極的な政策を展開している。一方で本調査の結果からも分かるとおり、“年商100億円”のハードルや達成までのアプローチは、業種や地域によって大きく異なると考えられる。例えば「製造業」は、100億企業出現率が2.57%と高く、全業種平均の2倍超ではあるが、突破に要する平均年数は55.7年であり、「不動産業」や「サービス業」と比べてより長い時間がかかる。また、全般的に100億企業へと成長した企業の経営者の年齢は50歳代以下の比率が高くなっているといった傾向がある。
これらを踏まえると、中小企業全体への画一的な政策アプローチでは支援効果が発揮できない可能性があり、今回打ち出された政策の成功には、業種や地域、ビジネスモデル、経営者の能力など、多様な企業形態に合わせたきめの細かいサポート体制が求められる。既存事業での販路拡大やM&Aによる事業領域・ドメイン拡大、ロールアップ、海外展開など成長に向けた手法も多様であり、それらを企業の成長過程(フェーズ)にあわせてより効果的なタイミングで実施することも必要だ。
現在年商100億円以上の企業、直近で突破した企業、これから突破できる可能性のある企業の分析を通じて、より良い政策支援の連動が進むことで、100億円企業が牽引する国内経済の持続的成長、賃上げの未来につながると言えよう。