【投資のギモンQ&A】まわりで新NISAをやっている人がほとんどいません。友人が始めたらやろうかと思いますが、それでもいいでしょうか?

2024年4月21日(日)6時0分 ダイヤモンドオンライン

【投資のギモンQ&A】まわりで新NISAをやっている人がほとんどいません。友人が始めたらやろうかと思いますが、それでもいいでしょうか?

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コロナ禍による在宅勤務や生活スタイルの変化などにより、若い人たちの間でつみたてNISA口座を開設する動きが急増。2024年からは新NISAがスタートした。『新NISAはこの9本から選びなさい』(中野晴啓著、ダイヤモンド社)の内容から一部を抜粋・公開してきた本連載。その特別編として、なかのアセットマネジメント代表取締役社長の中野晴啓さんに「投資に関する素朴な疑問や、新NISAを使って具体的にどうお金を増やしていったらいいのか」について、Q&A方式で答えていただいた。新NISAを使って投資や資産形成を始めてみたいという人に向けて、そのポイントをわかりやすく紹介していく。(構成:鈴木雅光、撮影:石郷友仁)

Photo: Adobe Stock

——20代の社会人です。まわりで新NISAをやっている人がほとんどいないので、始めたほうがいいのか不安になります。友人が始めたらやろうかと思いますが、それでもいいでしょうか?

中野晴啓氏:なかのアセットマネジメント 代表取締役社長

中野晴啓 とっととやるべきでしょう。以上。しかし、このように言われても納得いかないと思いますから、その理由について説明してあげます。

 おそらく1億2000万人の日本人が全員、NISAで資産形成をするとは、私も全く思っていません。

 でも、3人に1人くらいの割合でNISAを使うようになったら、日本人の皆がNISAで資産形成を始めたというムードになるでしょうね。

 日本人は世界的に見ても同調圧力に弱い人たちだと、私は思っています。他人と同じじゃないと、何か気持ち悪い感じがしてしまう。だから、他の人と同じ行動パターンを取っておけば、大きく間違うことはないと考えてしまいがちです。

預貯金にお金を置いておく限り、お金の実質的な価値が目減りし続ける

 でも、将来を考えたときに、本当にそれでいいのでしょうか。おそらく、これから少なくとも年2%程度で物価が上昇いていく一方、金利はそう簡単に上がらないでしょう。

 ということは、預貯金にお金を置いておく限り、いつまでもお金の実質的な価値が目減りし続けることになります。

 よく考えてみてください。25歳のあなたが定年を迎える65歳の日本は、どうなるでしょうか。40年後の話です。現在、定年は60歳で、雇用延長によって65歳という会社が多いと思いますが、恐らく40年後の日本企業は、65歳定年、70歳定年が当たり前になっているでしょう。

 仮に65歳定年だとすると、25歳のあなたにとっては40年後の話です。今が2024年だから、40年後というのは2065年です。2065年の日本は、人口が相当程度減っているはずです。

2060年には、人口が9614万8000人にまで減少

 国立社会保障・人口問題研究所が令和5年で推計した、出生中位・死亡中位の人口は、2024年時点で1億2384万4000人ですが、2060年には1億人を割りこみ、9614万8000人にまで減少する見通しです。

 なんと2024年比で22.36%も減少してしまうのです。これが世の中のさまざまなところに影響を及ぼさないわけがありません。

 当然、日本の経済活力はどんどん落ちていくでしょう。そのために今、日本は一所懸命に、生産性を上げるための方法を考えているわけですが、それがうまくいかなかったら、日本経済はどんどんダメになっていきます。

 さらに問題なのは年齢別の人口比です。2024年現在、15歳から64歳までの「生産年齢人口」が、全人口に占める割合は、59.3%です。0〜14歳が11.2%、65歳以上が29.4%です。

2060年には、1.39人で1人の高齢者を支える時代に

 0〜14歳は仕事に従事していないので、ここでは考慮せず、15歳から64歳までの働いて稼ぎ、社会保障負担を担っている人と、年金などを受け取る、いわゆる社会保障の果実を受け取っている人の割合を見ると2024年時点では、2人で1人の高齢者を支えているのですが、2060年になると、1.39人で1人の高齢者を支える時代になります。

 これが意味するのは、生産年齢人口の社会保障負担が重くなる一方、65歳以上の高齢者も相応に負担が重くなる時代が来るということです。

 そういう未来がほぼ明確になっているのに、まわりの友人・知人に聞いてもNISAをやっていないから、自分もやらないという理由にはならないはずです。

 まずは自分が行動する。その行動をまわりの人たちに見せることで、NISAが世の中全体に広まっていく。こうした動きの先鞭をつけられる人間になれば、よろしいのではないでしょうか。

【答え】 まわりの友人・知人たちが新NISAをやっていないからと、自分もやらないというのは理由にはならない。数十年後の老後に備える意味でも、いまから資産形成に舵を切るという行動を起こしたほうがいい。

中野 晴啓(なかの・はるひろ)
なかのアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
1987年明治大学商学部卒業。セゾングループの金融子会社にて債券ポートフォリオを中心に資金運用業務に従事した後、2006年セゾン投信株式会社を設立。2007年4月代表取締役社長、2020年6月代表取締役会長CEOに就任、2023年6月に退任。
2023年9月1日なかのアセットマネジメントを設立。
全国各地で講演やセミナーを行い、社会を元気にする活動とともに、積み立てによる資産形成を広く説き「つみたて王子」と呼ばれる。公益社団法人経済同友会幹事他、投資信託協会副会長、金融審議会市場ワーキング・グループ委員等を歴任。
著書に『最新版 つみたてNISAはこの9本から選びなさい』(ダイヤモンド社)他多数。
なかのアセットマネジメント:https://nakano-am.co.jp/

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