日鉄、USスチールへの巨額投資を提案…買収計画の承認が条件で「100%子会社でなければ」

2025年5月20日(火)12時6分 読売新聞

USスチールの工場

 【ニューヨーク=小林泰裕】トランプ米政権が日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を承認した場合、日鉄がUSスチールに巨額の設備投資を行うと米政府に提案していることがわかった。現行計画の27億ドル(約4000億円)から大幅に増額する。買収承認を巡る米当局の審査期限が迫り、日鉄は米政権に働きかけを強めている。

 日鉄幹部は20日、報道陣の取材に対し、USスチールへの投資の増額を検討していることを認め、「USスチールが生き残るには巨額の投資が必要になる。(投資は)100%子会社でなければ実行できない」と語った。

 ロイター通信は19日、トランプ政権による買収承認を条件に、日鉄がUSスチールに140億ドル(約2兆円)の生産関連の投資を行う方向で検討していると報じた。2028年までに110億ドルを投資し、その後、数年以内に140億ドルまで増額する計画だという。このうち最大40億ドルはこれまでの計画にはなかった製鉄所新設に充てる。トランプ政権が投資の増額を求めたとしている。

 日鉄は23年12月、USスチールを141億ドルで買収すると発表。当初はUSスチールの設備の近代化などに14億ドルを投資する方針だったが、24年8月に27億ドルに増額すると発表した。

 買収計画を巡っては、25年1月にバイデン前大統領が安全保障上の懸念を理由に禁止命令を出した。トランプ米大統領は4月、対米外国投資委員会(CFIUS)に買収の再審査を指示し、審査期限が5月21日に迫っている。

 日鉄によれば、CFIUSが21日までに行う報告を基に、トランプ氏が6月5日までに買収の可否を判断するという。トランプ氏は2月、完全子会社化や過半出資でなければ、日鉄のUSスチールへの出資を認める方針を示したが、日鉄は一貫して完全子会社化を目指している。

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