【スポーツメンタル】チームの人間関係はスポーツの結果に影響する?

2023年8月1日(火)11時10分 ココカラネクスト

 スポーツチームの成果は、単に選手たちの技術やフィジカルだけでなく、リーダーシップに起因する人間関係にも影響します。特に、「変革的リーダーシップ」は心理的なニーズと価値観に対して深く関与し、彼らの潜在能力を最大限に引き出すことができるとして注目されています。このリーダーシップは人間関係にどのように機能するのでしょうか? この記事では、変革的リーダーシップの人間関係に与える特徴と人間関係がチームの結果に与える効果、そして人間関係の改善に繋げるための方法について詳しく解説します。

【関連記事】【スポーツメンタル】瞑想って脳科学的に効いているの?科学的な裏付けを解説

変革的リーダーシップとは

変革的リーダーシップとは、メンバーの精神面に信念や価値観を訴えかけ、変革を起こすことでチームをより良い方向へ導くスキルのことです。 従来の体制や組織の構成ではなし得ることのできない目標に直面した時に、現状を打開する力を持ちます。 変革的リーダーシップは、スポーツの分野だけでなく、ニーズや取り巻く環境が目まぐるしく変化する経営の現場でも必要とされるスキルの一つです。 スポーツも経営と同様、チームやプレイヤーを取り巻く環境や目標が変化しやすいものであり、変革的リーダーシップの重要性を痛感するという方も多いのではないでしょうか。

■変革的リーダーシップを持つ人の特徴
変革的リーダーシップを持つ人の特徴には人間関係に影響を与える以下のようなものがあげられます。

視野が広い
組織全体のビジョンを明確に把握しており、達成に必要な戦略や人材など広範で多角的な視野を持っていることが多いです。また、現在の状況における視野だけでなく将来の可能性や機会についてもある程度の予想しながら行動していることもあるようです。

高いコミュニケーション能力
チームのメンバーに対して意思を素直に伝えることができる能力を持っています。現在の課題や目標、共有したい価値観などを齟齬なく伝達することが変革に繋がります。

クリエイティブな発想を評価する
チームのメンバーが新しいアイデアを思いつき、創造的な解決策を見つけることを奨励します。変革的リーダーシップを持つ人は、こうした行動が問題解決のための新しいアプローチや視点の探求につながるということを理解しているためです。

チームの目指すべき人物像を体現している
変革的リーダーは、自身が模範となり、価値観を身を持って示します。自身の行動と態度で、チームメンバーにどのように行動すべきか指針を与えるのです。

変革的リーダーシップでチームのパフォーマンスを向上させる方法

変革的リーダーシップでチームのパフォーマンスを向上させるためには具体的に以下のような方法が挙げられます。

ビジョンの共有
「リーダー」と認識されるポジションにいる、監督やキャプテンは、チーム全体が追求すべき目標やビジョンを明確に示し、選手たちが共有することで変革を促すことができるようになります。具体的な目標やビジョンには、シーズン全体の成績などの具体的な目標や、特定の試合に向けた戦略などが挙げられます。共通の新式を持つことで、チーム全体が一体感を持ち、共通の目標に向かって努力するための基盤となります。

個々のメンバーへ個別対応
変革型リーダーシップを持っている人は、メンバー個人レベルの体調や課題を認識し個別に考慮することができます。例えば、コーチや監督であれば、各選手の特性、能力、目標を理解し、それに基づいた指導をプランニングします。これにより、選手たちは自分が大切にされていると感じ、自己効力感を高め、パフォーマンスを向上させることができます。 自己効力感について詳しく知りたい方はSelf-efficacy(自己効力感)は怪我の回復に関係する?をご覧ください。

メンバーの成長・成功のための支援
チームのメンバーが自己の課題を超え、成長し、成功を達成するための環境を提供することで変革が生じやすくなることがあります。リーダーは、選手たちが困難を乗り越え、自己を超えて成長するための支援を提供します。これは、選手たちが困難な状況に直面したときに、適切なアドバイスや支援を提供することを含むことができます。

変革的リーダーシップでチームのパフォーマンスの成績を向上させられる?

変革的リーダーシップを持つ人の存在は、チームの人間関係をより良い形へ導く要因となりえます。 しかし、実際にチームの 特に、集団でプレーする競技のスポーツ選手やアスリートにとって特に気になる点なのではないでしょうか。 スペインのラモン・リュイ大学のMach氏らの研究※によると、変革的リーダーシップを持つ人の存在はパフォーマンスに影響を与えることがわかったそうです。この研究ではスペインの「バスケットボール」「ハンドボール」「ローラーホッケー」「室内サッカー」のトッププロアスリート690人を対象に調査を行いました。標本集団を通して母集団の特性を推察するブートストラップ法 などを用いて分析したところ、コーチのリーダーシップについての共通認識が高いチームでは、チームのパフォーマンスに与える影響が強くなることが見つかったそうです。

変革的リーダーシップとは

変革的リーダーシップを身につけるためには、鮮明なビジョンを持ち、それをチームに伝える能力が必要です。また、個々のメンバーのニーズを理解し、それぞれが最高のパフォーマンスを発揮できるよう支援することが重要です。また、自身が学び続け、模範となることで、チームメンバーに対しても学びと成長の重要性を示します。

※参照論文・https://iaap-journals.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/apps.12342

[文:スポーツメンタルコーチ鈴木颯人のメンタルコラム]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会
代表理事 鈴木颯人

1983年、イギリス生まれの東京育ち。7歳から野球を始め、高校は強豪校にスポーツ推薦で入学するも、結果を出せず挫折。大学卒業後の社会人生活では、多忙から心と体のバランスを崩し、休職を経験。
こうした生い立ちをもとに、脳と心の仕組みを学び、勝負所で力を発揮させるメソッド、スポーツメンタルコーチングを提唱。
プロアマ・有名無名を問わず、多くの競技のスポーツ選手のパフォーマンスを劇的にアップさせている。世界チャンピオン9名、全日本チャンピオン13名、ドラフト指名4名など実績多数。
アスリート以外にも、スポーツをがんばる子どもを持つ親御さんや指導者、先生を対象にした『1人で頑張る方を支えるオンラインコミュニティ・Space』を主催、運営。
『弱いメンタルに劇的に効くアスリートの言葉』『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』など著書8冊累計10万部。

ココカラネクスト

「スポーツ」をもっと詳しく

「スポーツ」のニュース

「スポーツ」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ