101歳現役「化粧品販売員」の「歳をとっても元気に働ける」仕事の習慣

2024年11月1日(金)6時0分 ダイヤモンドオンライン

101歳現役「化粧品販売員」の「歳をとっても元気に働ける」仕事の習慣

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職場に行くだけで疲れ果て、週末は寝ているだけで終わってしまう。体力が回復する間もなくまた月曜日……。人生100年時代、こんなストレスフルな日々がずっと続くのかと、不安になっている人も多いのではないだろうか。そんなときは、先人の知恵に力を借りてみよう。101歳、現役の化粧品販売員として活躍している堀野智子(トモコ)さんは、累計売上高は約1億3000万円で、「最高齢のビューティーアドバイザー」としてギネス世界記録に認定された。佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官)が「堀野氏の技法は、ヒュミント(人間による情報収集活動)にも応用できる」と絶賛したことでも話題である(日刊ゲンダイ・週末オススメ本ミシュラン)。本連載では、キャリア61年のトモコさんが、年をとるほど働くのが楽しくなる50の知恵を初公開した『101歳、現役の化粧品販売員 トモコさんの一生楽しく働く教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋し、日常生活に活かせるエッセンスを紹介する。第4回目のテーマは「健康年齢を維持するための習慣術」だ。(文/川代紗生、ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)

Photo: Adobe Stock

「夜9時前にはお風呂に入らない」意外なワケ

 ポーラの化粧品販売員として、101歳になった今も現役で働いているという堀野智子さんは、「夜9時前にはお風呂に入らない」というマイルールがあるという。

 その理由はなんと、「この時間までは、お客様から注文の電話が入る可能性があるから」だそうだ。

 堀野さんがセールスレディの仕事をはじめたのは、1962年、39歳のとき。

「子育てしながら、自由に自分らしく働ける」ことに魅力を感じて飛び込み営業の仕事をはじめたところ、堀野さんの肌に合っており、以来、現在まで61年ものキャリアを積み重ねてきたそうだ。2007年、87歳のときには、累計売上1億円を突破した。

 終身雇用制度は崩壊しつつある、という声もある「人生100年時代」。100歳まで元気に楽しく働き続けるためにはどうすればいいか、不安になっている現役世代も多いだろう。

 終戦直後に結婚・出産を経験し、大正、昭和、平成、令和と4つの時代を生き抜いてきた堀野智子さんからそのヒントを学んでみたい。

20年間、売上目標を達成し続ける秘訣

 堀野さんは、「月10万円以上」という売上目標を、20年間も達成し続けているという。「堀野さんから買いたい」というお客様も多く、現在も毎日2時間半程度は仕事の時間に当てているそうだ。

お昼ご飯が終わったら仕事の時間になります。
この時間にたいていお客様から電話があったり、私のほうからお電話したりするので、これが「お仕事タイム」になるというわけです。
お客様からの注文をノートに書き留めたり、お客様に送って欲しい商品の連絡を営業所にしたりということも、この時間内にすませるようにしています。(P.189-190)

 お風呂に入る時間、仕事をやる時間にかぎらず、堀野さんは毎日のやるべきことや段取りを明確に決め、それを一つひとつきっちりこなしていく、という習慣を若い頃からずっと続けているそうだ。

『101歳、現役の化粧品販売員 トモコさんの一生楽しく働く教え』P.186

365日続けているモーニングルーティン

 本書のなかで私がとくに驚いたのは、堀野さんが毎朝続けている朝の習慣だ。

 それが、外出する予定があろうとなかろうと、「毎朝必ずお化粧をする」というものである。

 ポーラのセールスレディという立場上、肌がきれいでないと説得力がない。だから、しっかり時間をかけて肌のお手入れをし、朝にはきっちりメイクをし、夜にはていねいにスキンケアをしてから寝るのが日課なのだそうだ。

朝は必ずお化粧します。人に会う予定のある日かどうかは関係ありません。
お客様がお見えにならないとも限りませんからね。ファンデーションをつけておしろいをはたき、口紅もつけます。これらを、骨折をして入院していた期間を除いて365日、欠かしたことがありません。(P.186)

 これには本当にびっくりしてしまった。男性にはもしかすると想像しづらいかもしれないが、毎朝1時間もかけてスキンケアをし、メイクをするというのは本当に手間がかかる作業なのだ。

 私はリモートワークが中心になって以降、人に会う機会がほとんどないため、ノーメイクで過ごすのが当たり前になってしまった。101歳になった現在もそれを続けているなんて、驚きだ。

 しかし、よくよく考えると、朝きちんとした洋服に着替え、身なりを整えるという生活の切り替えスイッチがないことによって、日々をだらだらと過ごしてしまっているような気もする。

 そこで、本書を読んでから1週間、堀野さんのように、「人に会う予定があろうとなかろうと、必ず身なりを整える」という習慣を実践してみることにした。

「決断疲れ」を防ぐルーティンの力

 試してみて意外だったのは、「その日1日の仕事のパフォーマンスが上がった」ことだった。

 はじめは、今まで自由だった時間を身だしなみに使わなくてはならないということが億劫に感じられたのだが、いざ続けてみると、化粧をしているあいだに1日のスケジュールを組み立てたり、効率の良い作業のやり方を考えたりと、頭の整理に役立ってくれたのである。

 人間は日々、膨大な数の意思決定をしているという。朝、目が覚めたら何をするか。カーテンを開けるか、開けないか。何を食べるか、それとも何も食べないか。化粧をするか、しないか。着替えるか、着替えないか。仕事をどんな順番でするか、メールの返信をどう書くか。

 このような決断の数が増えれば増えるほど、「決断疲れ」が生じやすくなり、結果として、意思決定の質が低くなるそうだ。

 私たちは日々、小さな意思決定を何度も繰り返すことで、知らず知らずのうちに精神的なエネルギーを消耗してしまっている。

 堀野さんのように、朝のルーティンをしっかり確立することによって、こういった小さな意思決定を減らすことができる。精神的なリソースをより重要なことに集中させられるわけだ。

「決断の省エネ」が大きな違いを生む

 堀野さんの驚くべき長寿と現役生活を支えているのは、日々のルーティンの徹底ぶりだ。「毎朝必ず化粧をする」だけでなく、彼女は3度の食事の時間や内容、さらにはご飯の量も、毎回150グラムと決めているという。

 堀野さんは、本書でこう綴っている。

若いころから、その日にやるべきことを、時系列に沿って組み立てるようにしてきました。何時に〇〇をやって、その次に△△をする、その次は□□……という具合に、頭の中で段取りを考えて実行するんです。(中略)
今は家で過ごすことが多いので、他の人から見たら、「
何時にやったっていいじゃない」と思うくらいのことなのかもしれません。でも、私にはスケジュールを決めて、その通りにやっていくことが大事なんです。
そうすることで張り合いが生まれ、「やるべきこと」を終えるたびに達成感を味わうことができるからです。(P.190)

 私自身、堀野さん流のルーティンを実践することで、「決断の省エネ効果」を強く実感した。

「どのように過ごすか」を事前に決めておくことで、日々の膨大な意思決定からくる疲労が軽減され、その分集中力を保つことができるようになったのだ。

 堀野さんが続けてきた「長寿のコツ」は、決して特別なことではないかもしれない。しかし、彼女はそれを101歳になるまで続けてきた。日々の小さな決断や行動は、長い目で見れば大きな違いを生む。

 現役で楽しく働き続けている堀野さんの知恵。あなたも、気になったものからちょっとずつ実践し、日々の生活に取り入れてみてはいかがだろうか。

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