ソニーがKADOKAWA買収を検討 その狙いは?
2024年11月22日(金)15時42分 財経新聞
ソニーグループが出版大手KADOKAWAの買収を検討しているとの一部報道を受け、KADOKAWAは20日、買収に関して「初期的意向表明を受領」したことを認める発表をした。
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報道を受けて、KADOKAWAの株価が急上昇し、報道があった19日と翌20日の2日間で1300円超も上昇した。
ソニーグループとしてはエンターテイメント部門を強化したいという狙いがあり、原作作品からアニメやゲームまでの一連のコンテンツをつなぎ、作品の作成から配信まで自社で完結させ、効率化を図る。
ゲームに強みのあるソニーと世界的大ヒットアニメ「推しの子」などアニメ部門に強いKADOKAWAがタッグを組み、Netflixに対抗できるようなエンタメ企業へと成長できるのだろうか?
●苦難の続くKADOKAWA
KADOKAWAは、1945年に国文学者・角川源義氏が創業した角川書店がルーツである。2013年に角川グループホールディングスからKADOKAWAに社名を変更。2014年から東証に上場している。
多くの人気アニメの制作や出版を手掛け、スマホ向けゲームや、動画配信プラットホーム「ニコニコ動画」、N高等学校などのオンライン教育や専門学校も運営している。
ただ近年は、2022年に東京五輪を巡る汚職事件で元会長が逮捕され、2024年6月にはランサムウェア攻撃により、取引先や従業員など25万人分の個人情報が流出するなど、悪いニュースが続く。
ランサムウェア攻撃では一部書籍の出荷が停止するなど、システム障害の影響は大きく、株価も20%下落していた。
●メリットが見えにくいとの声も
ソニーはすでにKADOKAWAの株式を2%保有している。
ソニーにとっては、KADOKAWAの漫画やライトノベルなどの出版が魅力的で、買収によってKADOKAWAのクリエーターや技術者を確保できるというメリットもある。
一方で、KADOKAWAにとっては映画やゲーム部門はソニーより弱く、ソニーにとってもそこはメリットになりにくい。
買収報道があった2日後の21日は、株価が一時6%反落するなど、過熱感が先行し、調整売りの場面もあった。
KADOKAWAはここ数年、韓国のIT大手カカオや、中国のIT 大手テンセントなどが買収を狙っているとの噂もあった。
これら外資系による買収よりもソニーに買収される方が、メリットは大きいという見方もある。
ただ、KADOKAWAは独自性が高くクリエイティブな企業文化であり、ソニーの効率性や収益性を重視する文化と相いれるのかという不安もあり、今後の推移を見守りたい。