世界唯一の【魔法瓶効果ウエットスーツAGT210®︎】にかけた35年

2023年11月25日(土)9時8分 PR TIMES STORY

株式会社サンコーが世界唯一の【魔法瓶効果を持つサーフィン用ウエットスーツ【AGT210®︎】を発売。【より軽く、暖かく、動きやすい】機能の開発にかけた35年間のストーリー

株式会社サンコーは1967年創業。「お客様の全身を採寸して体型に合わせる【カスタムメイド】専業」のサーフィン用ウエットスーツメーカーです。これまで日本サーフィンリーグで多くのチャンピオンを輩出し、 現在もオリンピック出場選手や世界選手権優勝者などから直接ご指名をいただいています。使用目的・シーズンだけでなく、各選手の独自なこだわりにきめ細やかに対応し、より自然な着心地と快適さを届けるものづくりを心がけています。

弊社の最大の特徴は、保温性や動きやすさというウエットスーツに求められる基本機能に、異業種で使用されている特殊技術や日本が誇る最先端繊維などを積極的に取り入れ、世界をリードする性能を生み出すことです。

このストーリーでは、(AG)銀の熱反射と(Titanium)チタンの蓄熱という、異なる金属が持つ特性をウエットスーツに世界で初めて付与することに成功した「#AGT210®︎」の誕生についてお話しします。

始まりは中学時代の親友とウェットスーツ作り。1967年にレジャーダイビングが流行し、株式会社サンコーを設立。

弊社の創業者である佐藤光三は、中学時代の親友、後藤道夫氏(俳優の坂東玉三郎の実兄)に誘われ、1955年に空気ボンベを背負うアクアラングダイビングを始めました。それは全く手探りの遊びで、米軍空軍の軍人に葉山で習ったことが始まりでした。後藤氏は根っからの凝り性で研究肌の方でした。ダイビングの技術、機材、ウエットスーツから水中カメラのハウジングに至るまで、必要なものやそれまでにない全く新しいものを発明して実験する海の遊びの天才でした。

1959年、光三は後藤氏とウエットスーツ作りを真鶴で始め、その後60年代初頭に独立。東京麻布十番でアクアラングサービスとウエットスーツ作りを行うようになりました。当時都会では、六本木界隈の芸能人かその筋の人にしかダイビングは知られていませんでした。一家の収入はもっぱら海女さんへのウエットスーツ行商で得られていたため、春と夏の休みには全国の漁村巡りを行うのが恒例となっていました。

1967年、若大将ブームもありレジャーダイビングが流行し、光三も株式会社サンコーを設立しました。ウエットスーツの基本構造となるラバースポンジ、ジャージ、そして縫い糸が生地の裏側に貫通しない「スクイミシン」が開発され、ウェットスーツに耐久性だけでなくファッション性を加えることで大衆化しサーフィンを始め多くのマリンスポーツが親しまれる時代の一端を担いました。

創業者である光三は工夫のある人で、不便を解消するための発想を形にすることが得意な人でした。
現在カッター会社やミシン業者によって量産され、世界中で使用されているローラーカッターやウエット用ミシンの送りベルトも、実は光三のアイディアで実現したものでした(同業者に「どうして特許を取らなかったんだ!?」と言われては、「そういうことが苦手なんだ」と照れる職人でした)

ウエットスーツを着る目的は海面下での体温を保つこと。また、お客様のニーズに合わせてカスタムメイドにこだわる姿勢を持つことを大切に

ウエットスーツを着る最大の目的は体温を保つこと、すなわち生命維持です。
ウエットスーツ開発以前、九十九里の男子は裸で船の漁に出て、海に潜る際には小尿を我慢するため股間を紐で縛って体温の急激な低下を防いだそうです。体温が下がることはすなわち死に近づくことを意味します。

当社独自の発展には、創業者光三自身が請負職業のダイバーでもあったことも大きく関係しています。ウェットスーツの形状や硬さ、肌触り、動きやすさ、脱ぎ着のしやすさなど、お客様それぞれが異なるニーズを持っていることを当事者として実感、理解していました。また、それに応えるものづくりを実現するための道具がなければ自分で作るという姿勢は、カスタムメイドにこだわり、「今日とは違う新しい明日の価値」を求め続ける弊社の体質の基礎となっています。

ウエットスーツが身近な存在となり、【より軽く、暖かく、動きやすい】機能が開発のテーマとなった

1970〜80年代のサーフィンブームを迎え、ウエットスーツもより身近な存在となりました。そして、よりピュアで大きな理想の波を求めるコアなサーファーが未開の地で新しいポイントを開拓し、どんな寒冷地でも海に入る強者サーファーが出てきました。それに伴いウエットスーツに求められる【より軽く、暖かく、動きやすい】機能が開発のテーマとなりました。

保温性の高さを維持しつつ、着用のストレスなく身体にフィットしたウェットスーツを起案し、(旧)鈴寅様(現:SEKISUIナノコーティング社様)へ依頼

ご存知の通り、ウエットスーツの保温性は生地の厚さと比例します。いわゆる「ミリ数」が大きければ大きいほど、暖かいウエットスーツであることを意味します。

その保温原理は、ウェットスーツの首や手首部分、あるいはファスナーからスーツ内部に侵入した海水が体温で温められ、ラバースポンジが断熱材の役割を果たし保温を果たすというものです。日本では、夏用は3mm、冬用は5mm程度のスポンジ厚が主流となっています。

しかし、本当に優れたウエットスーツは、保温性の高さを維持しつつも着用のストレスなく身体にフィットするものであるべきです。サーファーが海の上で探し求めていた波に誰よりも早く到達し、一瞬のうちに波の力に体を預け、全身が海の波動と一体となる爽快感を味わうこと。そしてその満足感が寒冷の海でも笑顔を生み出し、長時間のパドリングも心地よく、安心して家路を想像することができる。そうしたウエットスーツこそ、弊社が理想としているウエットです。

最良のウエットスーツを作るための基本は、細かな条件を除けば、①全身に完全にフィットしたサイズであること 、②内部への水の侵入が最小限であること、 ③生地が軽く柔らかく暖かいこと 、この三点を極めることにつきます。

1988年8月、遠州灘に台風が近づく中、蒲郡駅に生地をロールで抱え降り立ちました。当時開発され始めた糸の中がマカロニ状の中空糸繊維に、熱を反射するスパッタリングのテストを(旧)鈴寅(現:SEKISUIナノコーティング社様)へ依頼するためです。「なんでこんな日に、わざわざ来るんや」と当時担当の黒木氏が半ば呆れつつも笑顔で迎えてくださりました。その時に、開発担当の鈴木政幸氏を紹介いただき、当時実用化されたものとしては国内に1セットしかなかったスパッタリング加工機を拝見する機会を得ました。

余談となりますが、鈴木氏は全くの学者肌の方で、すでに様々な金属の持つ特性を対象物に付与するスパッタリングの特許を取得しておられました。将来的な夢として、スパッタリング技術による、農業や漁業資材作製時のエネルギーの省資源化、あるいは七変化する被膜光沢のファッショへの応用など、聞いていてワクワクするような話をしてくださったのが印象的でした。

20年以上の開発に要した結果、摩擦に強く、繊維の柔軟性を損なわない金属化加工に成功

熱を内側に反射するウエットスーツがあれば、魔法瓶のように体温が維持される。そう発想したのが、(旧)鈴寅様に、何が何でもテストをお願いしたかった理由です。しかし現実は厳しく、目的としていた「熱を効率よく反射するAG(銀)のコーティング」は、AGの性質上、空気と接触した途端に酸化し、期待した機能がどうしても半減してしまい、一工程でのスパッタリング加工では実現不能であることがわかりました。やむなく、当初のスパッタリングジャージはステンレスを主流とし、2種類の金属の加工については更なる研究を要することとなりました。

その後21世紀に入り、鈴木氏の意思を継ぐ同社の開発者の方々のご尽力の結果、詳細は伏せますが、高度な真空状態の中、二種類の金属それぞれにアルゴンイオンを超高速で激突させることで、ナノ(原子)レベルの小ささの金属が繊維と一対となり、摩耗にも強い結びつきでありながら繊維の柔軟性を損なわない、魔法の金属化加工に成功しました。つまりAG(銀)の特性を損なわないよう酸化しにくい別の金属をAGと同時に皮膜化することで、夢の二層構造が実現したのです。この時点で着想から実に20年以上が経っていました。

ウェットスーツのスポンジの厚みを三割減らしても保温性が保たれる【AGT210®︎(エージーチタン210)誕生】がようやく誕生

しかし、ようやく実現した魔法の繊維をウェットスーツへ応用するには、理想が高ければ高いほど、その障壁も多岐に渡り困難を極めました。

まずコストの問題。装置開発に膨大な費用を要し、装置を稼働させても高電圧の割に加工速度が遅い上、湿度や温度管理が難しく、いわゆる繊維がコゲてしまう現象をどうしても防ぐことができませんでした。繊維はロールで見ると単純そうに見えますが、数万本が編まれた糸のうち一本でも切れていれば不良品となってしまうため、途中でカット、交換するという作業が必要となります。超真空にする巨大な装置を前に、コゲを発見しては交換するという実験を何度も繰り返しました。

しかし、ウエットスーツのスポンジが熱を伝えず、体温が手前で蓄熱される魔法瓶の役割を果たせば、スポンジの厚みを減らしても(薄く軽くしても)、同じ保温力が得られ、圧倒的に動きやすいウェットスーツになるはずだ、という思いはどうしても捨てられず、開発の継続をお願いし続けました。

そしてついに、理想の繊維「高中空構造エアロカプセル®︎」(帝人フロンティア株式会社)と出会い、2022年に量産化の目処が立ち、翌23年正式にAG(銀)とTitanium(チタン)の金属特性を併せ持つ「AGT210®︎」を2023モデルとして発売することとなりました。

この「AGT210®︎」は、理論上ラバースポンジの厚みを三割減らしてもその保温性が保たれます。つまり、従来5mm厚必要だったものが3.5mmに、3mm必要だったものが2.1mmになっても、同じ暖かさのウエットスーツとなります。これはウエットスーツを着たことがある人なら誰にでも分かる、革命的な進歩と言えるでしょう。

【軽く、暖かく、動きやすい】夢のウエットスーツの製造には、20年30年と経験を積んだ熟練の職人技が必要となります。当社工場では、お客様のサイズのデータから、まるで目の前でその方を見たかのように体型を具現化するパタンナーや、まさに水も漏らさない指先の感覚を持つ熟練の貼り手、さらに、創業者光三が開発したミシンを愛し、送りベルトの厚みと速度を完全にコントロールする繊細な技術をもった縫い子たちが、世界最高レベルのカスタムウエットスーツを生み出しています。

AIが進みDX化された工場でも、私たちが理想とするウェットスーツを作るには今後も優れた職人の手が必要

どんなにAIが進みDX化された工場でも、最終的には優れた職人の手がなければ私たちが理想とするウエットスーツは出来ません。また、職人自身が海を愛し、海と共に暮らすことを生きがいとし、その生き様を誇りにしてゆくことは今後も変わらないでしょう。

商品名:BEWET(ビーウエット)SUPERWARM23 / 4.0xX 3.0mm / ¥145,200(税込)https://www.bpd21.com/wetsuits/

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