マクロファージに狙って届ける新カプセルを開発

2023年11月27日(月)13時46分 PR TIMES

糖鎖の標識を付けてマクロファージに見つかりやすいカプセルに

ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長:片桐崇行)は、免疫細胞であるマクロファージに効率的に届く新たなカプセル技術を構築しました。本技術はマクロファージへ働きかける手段としてさまざまな活用が期待されます。

研究背景: マクロファージの貪食(※1)作用に着目 


 免疫細胞である「マクロファージ」は、「貪食」作用をもち、生体にとって不要なものや有害なものを排除し健やかに保つという、生命活動において重要な働きを担います。そのため、マクロファージにおいて、効率よく成分を届ける技術の開発が進めば、健やかな生体・組織の維持に役立てることができると考えられます。
そこでポーラ化成工業では、“マクロファージに狙って届ける”ための技術を開発いたしました。

※1 細胞が不要なものを自らの中に取り込み、分解すること。食べる様子に似ていることから「貪食」と表現される。

マクロファージの受容体に着目 


 マクロファージには物質表面の分子構造を認識する受容体が数多く存在し、受容体が反応すると異物とみなし貪食します。本研究ではその仕組みを活用し、カプセルに異物と似た標識を付けることとしました。マクロファージがカプセルを異物と認識すれば、マクロファージからカプセルに近づき、成分が効率的に届くのではないかと考えたのです(図1)。着目したのは、「糖鎖」を認識する受容体です。これは、認識の仕組みが単純で、一種類の受容体がさまざまな糖に反応することから、受容体から認識されやすく、かつカプセルへ組み込むのに必要な条件がそろった糖鎖を見つけやすいと考えたためです。
[画像1: https://prtimes.jp/i/92303/54/resize/d92303-54-80245a8ef93336d78aae-0.jpg ]

 また、カプセルの構成要素として組み込むためには、水とも油とも馴染みやすい両親媒性である必要があります。そのため、親水部分の糖と親油部分の脂質を有している「糖脂質」を選択し研究を行いました。

実際にマクロファージに効率的に成分が届くことを確認 


 条件に合う糖鎖を組み込んだ新カプセルについて、実際にマクロファージに効率的に届くか細胞実験で確認しました。培養マクロファージを使った実験の結果、糖鎖ありのカプセルは糖鎖なしに比べ、カプセルに内包していた蛍光色素がマクロファージに多く存在していることが確認されました(補足資料1)。すなわち、糖鎖があることで、効率的にマクロファージにカプセルが届いたと推測できます。
 本技術を活用すると、カプセルに内包する成分を変えることで、マクロファージにさまざまな働きかけを効率的に行うことができると考えられます。ポーラ化成では今後も目的に合わせたカプセル技術の構築に挑戦していきます。


【補足資料】 糖鎖の有無によるカプセルのマクロファージへの認識実験


 蛍光色素を内包したカプセルを培養マクロファージに添加し一定時間培養した後、顕微鏡観察を行いました。蛍光を示した位置がマクロファージと重なれば、カプセルとマクロファージは同じ位置にいると解釈でき、さらに、蛍光強度の違いによってどれだけ多くのカプセルがその位置にいるかが分かります。
この方法で新カプセルと糖鎖を組み込んでいない従来カプセルを比較した結果(図2)、新カプセルではマクロファージに強い蛍光が観察されました。
[画像2: https://prtimes.jp/i/92303/54/resize/d92303-54-ecdf834f3e0c00e46040-1.jpg ]


[画像3: https://prtimes.jp/i/92303/54/resize/d92303-54-ac259c3e541df5960d16-2.jpg ]

 
また定量的な評価として、顕微鏡画像中において、マクロファージ全体の面積に対する、マクロファージとカプセルの蛍光が重なっている部分の面積の割合を測定しました。その結果、糖鎖なしの従来カプセルに比べ、糖鎖ありの新カプセルの方が重なっている面積の割合が増加しており、定量的にも差があることを確認できました(図3)。 
これらの結果は、糖鎖をカプセルに組み込むことで、マクロファージとカプセルが同じ場所にいる比率が向上したことを意味します。

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