きっかけは、ビジネスの場での雑談。全国規模のお城イベントのパイオニア「お城EXPO」が誕生し、日本各地での開催を展開するまで

2023年11月27日(月)14時0分 PR TIMES STORY

毎年12月に横浜みなとみらいで開催されている「お城EXPO」(理事長:小和田哲男)は、「これがなくちゃ年を越せない!」との声が上がるほど、お城ファンにとって恒例の年末一大イベントです。全国規模のお城イベントの前例がない中、2016年に「お城ファンの理想のお城イベント」を目指して誕生し、お城ファンの熱い支持を受け、地方開催も行うなど、今や日本最大級のお城イベントとなっています。

今回は「お城EXPO」誕生のストーリーと未来への展望をご紹介します。

「お城EXPO」は、毎年12月にパシフィコ横浜で開催される日本最大級のお城イベント

2016年に初開催した「お城EXPO」は2023年12月で8回目を迎えます(「お城EXPO 2022」) 

「お城EXPO」は、毎年12月にパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催される日本最大級のお城イベントです。専門家や著名人による講演やトークショー、日本全国の城郭団体・自治体が出展するブース、企画展示、ワークショップやセミナー、全国の武将隊やご当地キャラによるステージ、お城・歴史グッズの販売などが楽しめます。

昨年の「お城EXPO 2022」は、過去最高の99団体が出展、2.5日間の開催で約1.5万人が訪れました。(公財)日本城郭協会、 城びと〈(株)東北新社〉、(株)ムラヤマ、パシフィコ横浜が主催しています。

「お城EXPO 2022」の様子。日本全国の城郭・自治体のブースや歴史グッズを販売するショップが出展するエリア  

横浜以外でも開催されており、2023年9月には、姫路城世界遺産登録30周年記念事業として「特別版 お城EXPO in 姫路」を姫路市で開催しました。

※「出張版」「特別版」の主催は、イベントごとに異なります

きっかけは「お城」とは関係のないビジネスの場での雑談! お城が好きな2人が偶然出会い、「お城イベント開催」の狼煙が上がる

お城EXPOは4つの企業・団体が主催。それぞれの専門分野を生かしてイベントを運営しています。写真右から、馬鳥誠(パシフィコ横浜)、荒川正樹((公財)日本城郭協会)、藤田博樹((株)ムラヤマ)、仙田志保(城びと<(株)東北新社>)、山野井健五((株)ムラヤマ)

実は、「お城EXPO」誕生のきっかけは、2015年秋に、お城とは何も関係のないビジネスの場で出会った馬鳥誠(パシフィコ横浜)と荒川正樹(当時は(株)ムラヤマ。現在は(公財)日本城郭協会)が交わした雑談でした。荒川の漏らした一つの言葉に馬鳥が反応したのです。

馬鳥(パシフィコ横浜)

「お城の話をし始めた荒川さんの『あそこの堀切がすばらしいよね!』の“堀切”というお城ファンしか使わないであろうマニアックな単語に、『同類だ!』と分かりました」

馬鳥は子どもの頃からお城好き、今でも旅の目的はお城!と言い切るガチ勢で、お城めぐりが趣味の荒川とすぐに意気投合しました。

荒川(当時(株)ムラヤマ。現在(公財)日本城郭協会)

「当時は日本全国のお城を集めた大型のお城イベントはなかった。お城好きである自分達にしかできない、お城ファンの理想が詰まったお城イベントを開催しようと誓い合いました」

日本最大級のMICE施設であるパシフィコ横浜と、展示会やイベント等の企画運営や施工を行う(株)ムラヤマ、専門性を生かした「お城イベント」開催の狼煙が上がりました。

「お城EXPO」立ち上げ当時を振り返るメンバー

「会場はパシフィコ横浜で、イベント施工と展示は(株)ムラヤマで」と計画する中、荒川は、お城ファンに向けたコンテンツを充実させるべく、コンテンツ制作やPRを含めて、総合映像プロダクションで、イベント等のプロモーションに数多く携わっている(株)東北新社に参画を呼びかけました。

仙田志保((株)東北新社)は、その時のことを「お城に関する知識はありませんでしたが、弊社がお城番組の制作をしていたほか、当時は歴史系の衛星放送チャンネルが関連会社にあったことなどもあり、魅力的な企画のお誘いにぜひ一緒にやりたい!と思ったことを覚えています」と振り返ります。

さらに、学術的なバックボーンが必要と考えた荒川が、城郭研究の第一人者である静岡大学の小和田哲男名誉教授に基調講演への登壇を相談したことをきっかけに、小和田名誉教授が理事長を務める(公財)日本城郭協会もその趣旨に賛同し、参画することになりました。

文化的価値や地域での存在意義などを包括した「今までにないお城ファンのためのイベント」を目指した

甲冑姿の戦国武将が、地元のお城を解説。最新の発掘情報など、現地の生の情報やパンフレットが入手できます(「お城EXPO 2021」)

今までにないお城ファンのためのイベントにしたい! そんな思いのメンバーが最も悩んだことは、どうしたらお城の情報を入手できるだけでなく、文化的価値や地域での存在意義などを包括した「全方位型お城イベント」にできるかということでした。

専門家による講演はもちろんのこと、日本各地のお城がブースを出すエリアをつくって現地にしかないお城の情報を入手できるようにし、お城について学べる展示や企画展示も行いました。お城だけでなく、お城がある土地の歴史やお城に関する文化含めて、あらゆる方面の「お城の魅力」を詰め込んだ内容を目指したのです。

物販ブースや公式グッズ売場で、全国のお城や武将に関連するグッズや数千冊の書籍がズラリと並ぶのも「お城EXPO」の魅力。歴史関連グッズや書籍を実際に手にとって見られる貴重な機会です(「お城EXPO 2022」) 

イベント「お城EXPO」に出展するお城はたった2城!? 課題が山積みの船出ながらも、最終的に15城の出展を確保した

志高く、思いは熱く開催に向けて動き出した一同。2016年1月にお城イベントの立ち上げをし、開催日は2016年の12月の3連休に定め、イベント名を「お城EXPO」に決めました。

しかし、決して順調な船出ではありませんでした。出展者の募集と具体的なコンテンツの検討を始めたものの、お城紹介ブース募集に対して応募してくれたのは2城だけだったのです。

子どもたちにも来てもらいたいという思いがつまった「お城EXPO 2016」のパース。ファミリーの来城は年々増加。最近では甲冑を着て来城する子の姿もあります

藤田博樹((株)ムラヤマ))

「2城だけではイベントは成り立ちません。『待っているだけではだめだ』と実際にお城に赴いて、お城EXPOについて思いも含めて説明。イベント参加をお願いすることを繰り返し、最終的にはなんとか15城の出展を確保しました」

コンテンツについては、お城の専門家の方々による講演やワークショップと、お城の模型の展示や日本100名城のパネルを制作して展示をすることはすぐに決まりましたが、そのほかどんな展示をするのがいいかが、メンバーの悩みでした。

講演会やトークショー、セミナーには、お城ファン・歴史ファンの憧れの専門家や著名人、日本各地の学芸員が次々と登壇し、最新研究の発表から初心者向けの解説まで楽しめます(「お城EXPO 2021」)

その中で、学術的な面とはまた違った角度からお城文化やお城の楽しさを伝えたいと考え、地元のお城でPR活動に励む武将隊にもステージ出演を依頼しました。

全国のお城で活躍する武将隊のステージは熱気にあふれています。写真は、名古屋城を拠点とする名古屋おもてなし武将隊®の演武(「お城EXPO 2022」)

また、2016年は熊本地震があった年です。お城のイベントをやるならば、被害甚大な熊本城を応援する企画がやりたいということで、熊本城復興支援コーナーを設けました。

初回の「お城EXPO」準備の様子。熊本城の石垣の石が大きすぎて、会場に設置するのも一苦労です

仙田((株)東北新社)

「熊本城の石垣の石が崩れているということもニュースになっていたので、その石を展示して、復興支援を呼び掛けてはどうかと考え、実施しました」

藤田((株)ムラヤマ))

「ただ、これは運送費がものすごくかかってしまった面もありましたね。でもこれが縁となって、大人気のご当地キャラ「くまモン」の出演が決まりました」

ワークショップに登場したくまモン(「お城EXPO 2022」)

その後、お城のご当地キャラで人気絶大の「ひこにゃん」にも来てもらえることになりました! 

これといったお城ファンの反応なく不安の中迎えた初日。続々と増える行列にメンバーは感動

2016年12月23日、手探りながらもできる限りの準備をして、なんとか「お城EXPO」と言ってよい形に完成させた当日。実は、イベント間近になっても、お城ファンの反応はあまり感じられない上、チケットの売れ行きも良くはなく、不安の中でメンバーは初日を迎えました。

ところが!

当日の朝、目にしたのは会場のパシフィコ横浜 会議センターの前で開城を待つ人の行列。しかも、電車が到着する時間ごとに、その数はどんどん増えていきます。

2016年12月23日、不安の中で迎えた「お城EXPO」初日。イベント会場には開城を待つ数百人のお城ファンによる行列ができました

全員:

「行列なんて、夢にも思っていなかったので、本当にびっくりしました。続々と増えていくお城ファンの皆さんの姿に、始まる前からイベントの成功を確信できたほどです」

蓋を開けてみれば、開催3日間で約1万9千人の来城者が!しかも、「お城EXPO」がtwitter(現:X)のエリアのトレンド1位になったほど、反響は大きいものでした。各地のお城ブースでは用意したチラシが初日の午前中ですべてなくなってしまい、慌てて印刷を手配する嬉しい悲鳴であふれました。

お城EXPO公式お庭番衆が来城者をお出迎え(「お城EXPO 2022」)

手応えを感じた初開催。継続的な開催を目指して、新たな取り組み

今までにない規模で、お城に関する様々なジャンルを網羅した「お城EXPO」はお城ファンの熱い歓迎を受け、参加した自治体はその熱気に「お城」のポテンシャルを実感するなど、初回のお城EXPOは大成功といっていい結果を残しました。

「1回だけのお祭りではなく、『お城EXPO』をお城ファン恒例のイベントにしていきたい」。新たな目標を胸に、主催者メンバーも気持ちを新たにしました。

あらゆるジャンルでお城の魅力を伝える「お城EXPO」だからこそできる展示を企画したい。その思いで、お城EXPOの展示全体を企画するのが、お城EXPOの学芸員 ・山野井健五((株)ムラヤマ)です。

主催者展示「城郭と技術」(「お城EXPO 2022」)

山野井((株)ムラヤマ)

「多くの方に楽しみにしていただいているイベントです。私たちが『お城やお城に関連する歴史や文化』に対して、真剣に向き合っていることが伝わるものでなくてはいけないと考えています。ある一点に注目しただけの展示ではなく、これらを俯瞰的、立体的にとらえることができるような、そんなものができないか、限られた予算の中、毎年模索しています」

また、当日のお城ファンの熱意を目の当たりにした仙田は新しい取り組みを自社で始めました。お城情報サイトを立ち上げたのです。

「城びと」(https://shirobito.jp/は、お城EXPO公式メディアとして、お城EXPO関連の最新情報を発信

仙田((株)東北新社)

「こんなに熱心なファンがいる。そして、1人で参加されている方が多い。何かお城ファンをつないだり、裾野を広げられないかということで、お城情報WEBメディア『城びと』を2回目の開催にあわせてリリースしました。お城は『難しい』と思われてしまいがちなので、楽しさを初心者の方に向けてわかりやすく発信しています」

馬鳥(パシフィコ横浜)が注目したのは「音楽」です。

「大河ドラマなど、歴史ドラマのテーマ曲はお城・歴史ファンをワクワクさせます。『お城EXPO』という一年を締めくくるお祭りで、お城ファンの皆で盛り上りたい、という思いで2019年にプレミア前夜祭でのスペシャルコンサートを企画しました」

東京交響楽団のメンバーによる「NINJA BRASSとお忍びの姫君」は、「お城EXPO」を飛び出して2023年11月にはスピンオフコンサートを開催(「お城EXPO 2022 プレミア前夜祭」)

お城が好きな子どもたちへの取り組みも行っています。2022年から「城の自由研究コンテスト」の表彰式を、お城EXPOの会場で開催しています。「お城が好きで、自由研究を頑張った子どもたちの晴れ舞台を『お城EXPO』の場に移して、多くの人に見てもらいたい」と荒川は語ります。

「城の自由研究コンテスト」の受賞作品の展示は、お城EXPOの人気コンテンツ。小・中学生のお城研究のレベルの高さは圧巻(「お城EXPO 2022」)

そのほか、お城のフォトコンテストや、首里城復興応援企画、コロナ禍でのリアル開催、講演のオンライン配信、NFT御城印の販売など、「お城EXPO」は工夫をこらしながら回を重ねています。

夢はワシントンで「お城EXPO WORLD」の開催!メンバーが語る「お城EXPO」未来への展望

2023年で8回目を迎える「お城EXPO」。ここ数年は、積極的に地方での開催にも動いています。

最近の一番大きなチャレンジは、2023年9月に姫路市で3日間開催された姫路城世界遺産登録30周年記念事業「特別版 お城EXPO in 姫路」(主催:姫路市・特別版 お城EXPO in 姫路実行委員会・アクリエひめじ)です。横浜以外で開催する大規模な「お城EXPO」。人気オンラインゲーム『刀剣乱舞ONLINE』とのコラボ企画も実施するなど、初めての試みだらけで、1年前からオンラインや姫路市での打ち合わせを重ねました。コロナや台風などの心配もあり、どこまで入城者をのばせるか不安の中、蓋を開ければ3日間で1万3000人の来城と大きな反響を呼びました。

姫路城のお膝元で開催された「特別版 お城EXPO in 姫路」

「お城EXPO」には、毎回多くの方が視察に来城しています。1年後、2年後の地方開催の問合せが入るなど、「お城」という日本独自のコンテンツに特化したイベントに自治体からも熱い注目を集めています。

最後に今後の「お城EXPO」に対する、メンバーの展望を紹介します。

馬鳥(パシフィコ横浜)

「今後は外国のお城ももっと積極的に紹介していきたいですね。逆に外国に日本のお城を紹介していくのもいい」

荒川((公財)日本城郭協会)

「ヨーロッパ100名城の紹介をちゃんとやりたい。それから、来城者参加型の要素をもっと増やしたいですね」

お城の多言語パンフレットが置かれるユニバーサルラウンジでは、海外のお城のセミナーなども実施(「お城EXPO 2022」)

藤田((株)ムラヤマ)

「エンターテインメントとの融合を進めていきたいです。ゲームコンテンツ性との融合。あとは、ほかの方と同じく、海外に対して日本の文化としてお城を紹介していきたい。夢はワシントンで『お城EXPO WORLD』の開催です」

山野井((株)ムラヤマ)

「多くの要素があるイベントだからこそ、テーマ展示はそれぞれをつなげる内容にすることを心掛けています。コアなお城ファンも、あまりお城の知識がない人も来るイベントだからこそ、それぞれのレベルにあわせて横のつながりを感じられる内容にしたい。お城を理解するのにさまざまな視点があることを伝えていきたいです」

仙田((株)東北新社)

「お城めぐりは手軽にはじめられる趣味なので、より多くの方に気軽に参加してもらえるイベントに成長できたらと思います。小・中学生のお子さんにもお城EXPOをきっかけに歴史や城郭文化に興味を持ってもらえると嬉しいです」

2023年の「お城EXPO」は12月16日(土)・17日(日)に、パシフィコ横浜で開催されます。お城EXPOは、お城の魅力をお城ファンはもちろん、さまざまな方に届けるべく、今後も新しい取り組みをしていきます。

「お城EXPO 2023」

2023年12月16日(土)・17日(日) 

主催:公益財団法人日本城郭協会、城びと〈株式会社東北新社〉、株式会社ムラヤマ、パシフィコ横浜

会場:パシフィコ横浜ノース他

https://www.shiroexpo.jp/


行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ

PR TIMES STORY

「イベント」をもっと詳しく

「イベント」のニュース

「イベント」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ