孤独・孤立に関する認知度・イメージ調査を実施 コミュニティが狭まりやすい職業で孤独・孤立対策の認知度が低い傾向に
2024年12月18日(水)15時0分 @Press
本調査は、人々の孤独・孤立に対する価値観を明らかにし、孤独を感じている人、孤立状態にある人、独りを好む人などに対する有効な対策を示唆することを目的として、20代から60代までの男女1,054人を対象に実施しました。具体的には、孤独・孤立に関する施策および地域のサポーター・専門職(以下、支援者)に関する認知度、孤独・孤立に対する価値観やイメージ、選好性の関連性、援助規範意識と援助行動の関連性について分析しました。その結果、以下の内容や傾向が明らかとなりました。
【調査詳細レポート】 https://www.nttdata-strategy.com/knowledge/ncom-survey/241218/
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/419047/LL_img_419047_1.jpg
孤独・孤立に関する認知度・イメージ調査
【主なポイント】
1. 孤独・孤立対策に関する法律や対策および支援者は、「子ども食堂」「民生委員」を除き十分に認知されていない
2. 相対的に孤独・孤立リスクが高まる職業やコミュニティが狭まりやすい職業に就く人々において、孤独・孤立対策および支援者の認知度が低い傾向にある
3. 人助けや援助規範意識の醸成が、孤独・孤立対策および支援者の認知度向上に寄与する可能性がある
【背景】
「孤独・孤立」は、日本社会で長期にわたり深刻な社会問題です。高度経済成長期の人口移動や単身高齢者の増加、災害による仮設住宅への転居、働き方の多様化、単身世帯の増加、インターネットの普及など、時代の変化とともにその要因は多岐にわたっています。また新型コロナウイルス感染症の拡大により、人とのつながりを制限され、誰もが孤独・孤立になりうる可能性があることが明らかになりました。
孤独・孤立は、引きこもり、自殺や孤独死に加え、心身の健康悪化や寿命の短縮、生活の質の低下といった多面的なリスクをもたらすといわれています。内閣府の調査では10人中4人が孤独を感じており、特に20代から50代でその傾向が顕著であることが示されています。
こうした課題に対応するため、令和6年4月に「孤独・孤立対策推進法」が施行されました。また同年6月には「孤独・孤立対策推進本部」から「孤独・孤立対策に関する施策の推進を図るための重点計画(案)」が提示され、これらの政府の方針に従って、都道府県においても官民連携で有効な対策を検討する動きが広がっています。
本調査は、人々の孤独・孤立に対する価値観を明らかにし、孤独を感じている人、孤立状態にある人、独りを好む人などに対する有効な対策を示唆することを目的として、20代から60代までの男女1,054人を対象に実施しました。
【主な調査結果・考察】
1. 孤独・孤立対策に関する法律や対策および支援者は、「子ども食堂」「民生委員」を除き十分に認知※されていない
孤独・孤立対策に関連する「孤独・孤立対策推進法」「孤独・孤立対策強化月間」「地域共生社会」「社会的処方」「子ども食堂」などの法律や対策、さらに「つながりサポーター」「コミュニティソーシャルワーカー」「生活支援コーディネーター」「ゲートキーパー」「民生委員」といった支援者について認知度調査を実施しました。
その結果、「子ども食堂」が76.3%と最も認知度が高く、その他の法律や対策は17.5%〜34.8%にとどまりました。支援者については、「民生委員」が65.4%と最も認知度が高く、その他は17.8%〜25.4%にとどまりました。これらから、孤独・孤立施策および支援者は「子ども食堂」「民生委員」を除き、十分に認知・普及していないことが明らかになりました。
※「知っており、概要を説明できる」「知っているが、概要は説明できない」「聞いたことがある」と回答した者の割合(以下、同様)
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/419047/LL_img_419047_2.jpg
【図表 1】 孤独・孤立対策に関する法律や対策の認知度
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/419047/LL_img_419047_3.jpg
【図表2】 孤独・孤立対策に関する支援者の認知度
2. 相対的に孤独・孤立リスクが高まる職業やコミュニティが狭まりやすい職業に就く人々において、孤独・孤立対策および支援者の認知度が低い傾向にある
孤独・孤立対策に関する法律や対策および支援者について、職業別の認知度調査を実施しました。
その結果、「公務員・非営利団体職員(教員・学校職員を除く)」や「大学・短大生」では認知度が高い一方、「医療関係者(医師を除く)」「パート・アルバイト・フリーター」「専業主婦(主夫)」「無職」では認知度が低い傾向がみられました。
これにより、相対的に孤独・孤立リスクが高まると想定される職業、コミュニティが狭まりやすい職業に就く人々において、孤独・孤立対策および支援者に対する認知・普及が不足していることが明らかになりました。
なお、本調査では業界や職種、勤務形態などは考慮していないため、それらが影響している可能性を踏まえ、結果の解釈には慎重な対応が求められます。
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/419047/LL_img_419047_4.jpg
【図表3】 孤独・孤立対策および支援者の認知度(職業別)
3. 人助けや援助規範意識※の醸成が、孤独・孤立対策および支援者の認知度向上に寄与する可能性がある
「人助け」「寄付」「ボランティア」などの人助け行動や援助規範意識が孤独・孤立対策および支援者の認知度にどのように関連するのか調査を実施しました。アンケートでは、過去1カ月間における「人助け行動の有無」「孤独・孤立対策や支援者の認知度」「孤独・孤立に不安を有する人と日常生活で接する頻度」を確認しました。
その結果、「人助け」「寄付」「ボランティア」を経験した人は、未経験の人に比べて孤独・孤立対策および支援者の認知度が約2倍高いことが明らかになりました(「子ども食堂」「民生委員」除く。図表4は人助け行動のグラフのみを掲載)。さらに、孤独・孤立に不安を有する人と日常生活で接する機会が「よくある」「時々ある」と回答した人は、孤独・孤立対策および支援者の認知度が高い傾向がみられました。これらの結果から、人助け行動や援助規範意識を持つ人々は、孤独・孤立対策および支援者に関する政策や施策への関心が高い可能性が明らかになりました。
※他人を助けるべきだという、社会の中で学習し自分の中に深く根付いた考え方や価値観
画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/419047/LL_img_419047_5.jpg
【図表4】 人助け行動の実施と孤独・孤立対策および支援者の認知度との関連性
【結論・今後について】
本調査の結果、孤独・孤立対策に関する法律や対策および関連する支援者について認知している回答者の割合は、一部の施策を除き2〜3割程度にとどまり、十分に認知・普及していないことが明らかになりました。また相対的に孤独・孤立リスクが高まると想定される職業、コミュニティが狭まりやすい職業に就く人々の認知度が低いことから、情報伝達の方法やターゲット層へのアプローチが不十分である可能性が示唆されます。
孤独・孤立対策が人助け行動や援助規範意識が認知度・関心に関連しているため、些細な援助行動を啓発し、認知度や関心を高める取り組みが重要です。具体的には、支援者に限らず、地域で“自然発生的に”支援を行う人々を発掘し、ネットワークを構築していくこと、また孤独・孤立対策への関心や援助規範意識は高いものの援助行動には至っていない人に対しては、些細な支援から少しずつ行動に移すことができるようなきっかけ(環境整備やソリューション開発など)をデザインするなどが考えられます。
今後、当社では行動デザインコンサルティング手法などを活用し、地域の“自然発生的な”サポーターを発掘しながらネットワーク構築を進め、仲間づくりの機運を醸成することを目指したいと考えています。
【調査概要】
調査名 :孤独・孤立に関する認知度・イメージ、
意識・関心の実態調査
調査期間 :2024年7月12日〜2024年7月16日
調査方法 :非公開型インターネットアンケート
(NTTコム リサーチ クローズド調査)
調査対象 :20代〜60代の男女
調査機関/実施者:株式会社NTTデータ経営研究所
ライフ・バリュー・クリエイションユニット
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社
有効回答者数 :1,054人(男性:503、女性:551)
調査結果(詳細レポート)
https://www.nttdata-strategy.com/knowledge/ncom-survey/241218/
【関連リンク】
■孤独・孤立対策推進法
https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000045/20240401_000000000000000
<調査データについて>
・回答者の属性は、回答者のアンケート上の自己申告に基づいています。
・回答の構成比は、小数第2位を四捨五入しているため、各構成比の合計は100%にならない場合があります。
<調査結果の利用について>
・本調査は、株式会社NTTデータ経営研究所とNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が共同で行っており、本調査結果の著作権は、株式会社NTTデータ経営研究所とNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が保有します。
・調査結果の一部を転載・引用される場合は、出所として「NTTデータ経営研究所/NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション」または「NTTデータ経営研究所/NTTコム リサーチ」と併記した上で、掲載日・掲載媒体・引用箇所などの情報につきましては広報担当までお知らせください。
・調査結果について、出所を明記せずに転載・引用を行うこと、データの一部または全部を改変することなどの行為はご遠慮ください。
・本アンケート調査の生データは提供いたしかねます。
詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press