【ピッチレポート】5期目を迎えた「TRIBUS」、2023年の統合ピッチは想定以上のレベルに到達期待されるリコー発の新しい価値の創造

2023年12月20日(水)10時0分 PR TIMES STORY

10月19日(木)、統合型アクセラレータープログラム「TRIBUS 2023」の統合ピッチコンテストが株式会社ユーザベース本社 丸の内オフィスで開催されました。この日の統合ピッチには、社内51件の中から社内選考と8月に開催された社内ピッチを通過した14チーム、社外132件の応募の中から選考を通過した14社が登壇。5期目となった今回は、社会の様々な人や企業とつながることによって新しい価値が創造できるという考えを意味する「“RECONNECT #つなぐ #つなげる #つなぎなおす”」というテーマのもと、各チームが練り上げてきたビジネスアイデアや、検証活動や教育期間を経て見えた課題と今後の展望について発表が行われました。

冒頭、株式会社リコー代表取締役会長の山下良則氏は次のように開会の挨拶を行いました。

「世の中ではリコーは大企業と呼ばれていますが、そもそもはベンチャーとしてスタートした会社です。一方で、開発生産をはじめ多くの領域を自社で賄ってきた会社でもあるので、『社内の常識は社外の非常識』という意識も忘れてはなりません。そこで、ベンチャーマインドを持ち続けるため、社内の挑戦者たちと社外のスタートアップの方々が交流し刺激し合える場所を作るためにTRIBUSがあります。5期目となる今回は社外から132件という多くのご応募をいただき、本プログラムの認知が広まってきたこと、さらなる成長のスタート地点に立てたと感じています。本日はリコーグループの社員に向けたライブ配信も行っていますので、社内の挑戦者たちを支援すると共に、スタートアップの方々と一緒に『リコーの経営資源を上手に使う』という視点を持ってご覧いただきたいと思います」

今回、社外審査員を務めたのは、佐橋宏隆氏(STATION Ai株式会社代表取締役社長 兼 CEO)、高塚清佳氏(新生インパクト投資株式会社 代表取締役)、麻生要一氏(株式会社アルファドライブ代表取締役CEO)、土井雄介氏(株式会社ユニッジ Co-CEO)の4名。社内審査員は、山下良則氏、山田泰史氏(株式会社リコー先端技術研究所 所長)と駒場瑞穂氏(株式会社リコー 未来デザインセンターセンター長)が務めました。

この統合ピッチを通過したチームは、2024年2月8日(木)に開催される採択ピッチであるInvestors Dayへと進むこととなります。レポート<Part1>では、今回登壇した社内起業家14チームのピッチ内容をご紹介します

社内チーム紹介

※以下、事業概要/所属/代表者名の順

1. 物販事業者のための品質改善サービス

株式会社リコー 藤原仁

リコーの藤原氏のチームが目指すのは、中国でのものづくりの品質に課題を持つ物販事業主のために、品質改善のサービスを提供することです。

対象とする物販事業主は、販売ノウハウは持っているもののものづくりのノウハウは持っておらず、現地の工場を上手くコントロールできないという人々です。このような事業主は、高品質な商品を提供できないとビジネスの収益化が難しくなるという悩みを抱えています。一方で現地の工場としては、日本側の要求レベルに合わせると採算が取れないなどの理由から無理に品質向上に努める必要がないと判断するケースも少なくありません。こうした状況を打破するために藤原氏が考案したのが、リコーのネットワークを活用し、物販事業主の要求に見合う品質を提供できる工場を紹介するというアイデアです。加えて、リコーのものづくりのノウハウを活かして工場への指示出しのサポートを行うサービスも提供します。

実際に中国でスマートフォンケースを製造する会社協力を得て実証実験も実施。藤原氏が作成した在庫管理ツールや販売数管理ツールを提供したところ、業務効率化が実現できたそうです。「リコーがお客様の困りごとを吸い上げる基盤があるからこそ実現できるサービスであり、このように価値提供していくことでリコーを通じてモノを買っていただく関係性が築けると思っています」と、藤原氏は話しました。

2. キャンプ場におけるお子様の安全対策事業

リコージャパン株式会社 木村彰汰

リコージャパンの木村氏は、楽しいはずのキャンプ体験で起きてしまう不幸な事故をなくし、誰もが安心安全にキャンプを楽しめる世の中を実現するためのソリューションを提案しました。

木村氏が34人のキャンプ愛好家にアンケートを取ったところ、実に31人が「キャンプ中の行方不明や事故防止対策に不安がある」と回答しました。中には、大事には至らなかったものの、キャンプ場で一時子どもを見失ったという経験を持つ人も少なくなかったと言います。一方、キャンプ場の運営者も「十分な安全対策はできていない」という認識を持っています。そこでこのチームが考えたのが、リストバンド型の発信機を子どもに装着してもらい、設定された安全エリアから子どもが離れるとアラートが出されるというソリューションです。しかし、既存の位置把握ソリューションにはLTE通信が必要で、多くのキャンプ場ではLTEのカバー範囲に課題があるため、この実現のためには、キャンプ場に代替通信手段としてWi-Fi環境を整備することが必要となります。そこで、山梨県のキャンプ場の協力を得て、LTEを切断したスマートフォンの位置情報をWi-Fi環境下で正確かつリアルタイムに捉えることができるのかを検証していくことを今後のステップで実行していくことを示しました。

最後に木村氏は、このアイデアの可能性を次のように語りました。

「現在Wi-Fiを完備したキャンプ場は10%未満しかありません。Wi-Fiの設置・チューニングはリコージャパンの得意領域であり、全国展開可能です。このアイデアが実現できれば、キャンプの安全を守れるだけではなく、全国のキャンプ場をワーケーション用オフィスとして活用出来、働き方改革にも貢献できると考えています」

3. 宇宙映像事業

リコーテクノロジーズ株式会社 武田謙郎

リコーテクノロジーズの武田氏率いるチームの事業ビジョンは、「宇宙の美しさを身近にする」です。実は日本の空は天体撮影には不向きで、個人天文家にとっては1年のうち好条件で撮影できる期間が一週間もないと言われています。そこで武田氏らが着目したのは「海外リモート望遠鏡」です。撮影条件の良い海外に設置され、日本から好きな時にリモートで操作できる天体望遠鏡サービスを日本に導入することで、多くの人に宇宙の美しさを感じてもらおうというのです。

武田氏らは自らが媒介役となり、海外リモート望遠鏡サービスを国内の個人天文家に使ってもらう実証実験を実施。多くのリピート要望も得られたと報告しました。

「実証実験の途中には、我々が間に入らず、ユーザーが直接、海外リモート望遠鏡サービスを使っていただくことも試みましたが、言語の壁などもありスムーズにいきませんでした。それだけに私たちにとってはビジネスチャンスがあると言えます。Investors Dayに向けては、よりリコーの独自価値を出す方法や、参入障壁についても検討していきます。また、より日本人好みのサービスにするために何が必要となるのかを考えるため、利用者へのインタビューも進めています」と、武田氏は展望と進捗を話しました。

4. 工場の人手不足対策事業

リコーエレメックス株式会社 酒井隆敏

少量多品種を製造する中小メーカーの人手不足を解消するものづくり効率化アプリを考案したのは、リコーエレメックスの酒井氏が率いるチームです。

中小メーカーは、人手不足だけではなく、ジャストインタイムの企業に対応していると生産性が上げられないこと、納期が重なることによって生じるプレッシャーなども課題として抱えています。それを解消するには平準化と効率化を実現するスケジューラのようなものが求められますが、既存のツールは「操作が難しく使いこなせない」「データの二次加工が必要となるため手間が掛かる」「自動化ができない」といった理由により使いこなせていないケースがあります。そこで酒井氏は、「普段自動化設備の設計をしているリコーエレメックスの知見を活かせる」と考え、スケジュールに特化して使いやすいアプリを作ろうと思い至ったと言います。

「競合と比べても、タクトタイム測定もスケジュールも自動化できたのは我々だけ」というオリジナリティ溢れるアプリを開発できたと酒井氏は胸を張りました。最後に、「次のステージではさらなる効率化の検証を進めたいですし、4年目で黒字化を目指します」と述べ、ピッチを締めくくりました。

5. 忘れ物防止や持ち物管理の支援事業

リコーITソリューションズ株式会社 木田夕菜

リコーITソリューションズの木田氏たちが提案したのは、忘れ物で困った経験がある人々を支援するソリューションです。主な顧客となるのは、ADHDやASDの傾向があり自立して生活している人や、それを支える個人や支援機関などです。こうした人々の中には、忘れ物をすることで周囲からの評価の低下、人間関係の悪化、自己肯定感の欠如や将来への不安感が生じるといった経験を持つ人も少なくありません。

そこで木田氏のチームは忘れ物が発生するまでの構造を分解して忘れ物が発生する要因を把握し、「持っていくべき物の洗い出しや段取りを想像するのが困難であること」「準備の段階で忘れたり興味が移ろったりしてしまうこと」の2点に注目。これらをクリアするために、ワンストップで持ち物準備をサポートするソリューションを考えます。

木田氏は、「今後1ヶ月でこのソリューションの有効性を検証し、初期顧客に向けて価値提供を検証していきたいと思っています。そして、忘れ物に困る当事者の方々が自分の強みに目を向け、自分を好きになる世界を実現したいと思っています」と、今後の目標を語りました。

6. もみ殻の再利用による地域循環ビジネス

リコーITソリューションズ株式会社 井上のぞみ

米を栽培する上でもみ殻はどうしても排出されてしまうものです。しかし、もみ殻は軽くて飛散しやすく、かさばり場所を取り、運搬には手間が掛かります。腐りにくいため土に還るには時間が掛かり、かといって放置しておくとネズミや害虫の住処となってしまいます。こうした数々の問題を抱えたもみ殻の処理は米農家にとって永遠の課題と言えるものです。そこでリコーITソリューションズの井上氏は、もみ殻を地域に役立てるビジネスに活用し、この課題の解決を目指しました。

具体的に提案したのは、もみ殻の回収サービスです。実際に米農家にヒアリングを行ったところ、「価格が魅力的」「環境保全をアピールできる」「リコーという大企業ならば安心して利用できる」といったポジティブな声が聞かれた一方で、農家によって回収頻度の意向が異なったり、回収場所や回収方法に対する要望が違っていたりと、個別のカスタマイズが必要になることを感じたと、井上氏は話しました。その上で、Investors Dayに向けてKPI設定と営業活動の実施、回収したもみ殻をどのように再利用すればビジネスがスケールできるか具体案の検討をしていきたいと、今後の展開を説明しました。

7. シニア人材に特化した就職支援事業

株式会社PFU 四禮光正

PFUの四禮氏が率いるチームは、「シニア人材の活用を通して中小企業の人材不足を解消すること」をミッションに掲げました。高齢化が進みシニア人材が増加の一途を辿る現代にあって、そうした人々は「社会的欲求不足」「給料の減少」「時間余り」といった悩みを抱えています。その反面、長年ビジネスに携わってきたことで得た知見やスキルは高いものがあるだけに、人材不足で困っている中小企業とマッチングすることで両者の課題が解決できるのではないかと考えます。

このアイデアの検討を進める中で四禮氏は、不足人材の中でも特に重大なのがデジタル人材であること、シニア人材の採用コストが割高であること、仮に採用しても長期雇用が難しいこと、スキルの保証が難しいことなどが課題であると発見。そこで、リコーが仲介役となり、シニア人材のスキルや資格の有用性を確認・保証し、その上で中小企業にスポット派遣するソリューションを発案します。

「リコーグループには優秀なシニア人材が在籍していますし、その人々を保証する各種制度や資格があります。そこで、まずはグループのシニア人材を対象にスモールスタートでこの取り組みを実行していきたいと考えています。検証を繰り返しながら徐々にグループ外にもスコープを広げ、社会のデジタル化支援につなげていくことを目指します」と述べてピッチを終えました。

8. 伝統的技巧をこらした着物づくりの支援事業

リコーインダストリー株式会社 鎌田薫

リコーインダストリーの鎌田氏は、自身が購入した着物に施された技巧の高さに惚れ込むと同時に、その技術が断絶の危機にあると知ったことから、「伝統技巧をこらした着物づくりの継承」をテーマに設定しました。着物の製造が危機を迎えているのには、収入への不安、労働環境の悪さ、商流への不信感、道具や部品の不足といったことが関係しています。中でも大きいのが、新規人材の定着と技術の継承の難しさです。実際に業界で働く人にヒアリングをしたところ、教える側が技術を客観的に言語化できていないが故に新規人材に技術が継承されないケースが多いことがわかったそうです 。

こうした課題を解決するために鎌田氏が考えたのは、動画を通じて動作や作業の分析を行えるリコーの「OTRS」というソフトウェアを用いて、職人の感覚を数値化し、誰にでも技術の真髄を伝わりやすくするソリューションです。「Investors Dayまでに実際にOTRSを使用して効果検証を行うと同時に、残課題の把握を進めていきたい」と鎌田氏は述べ、その上で「インタビューを進める中で切実な声をたくさんいただきましたので、日本の伝統技巧を未来に残していくためにも、このソリューションを実現したい」と話しました。

9. バイオ素材を使った食品ロスの削減

株式会社リコー 植平将嵩

昨今世界的な課題となっているフードロス。バイオ素材と印刷技術を通じてその削減を実現したいと述べたのはリコーの植平氏が率いるチームです。フードロスゼロを実現するための方法やボトルネックを探るために、合計40回に渡って事業者や自治体などの関係者にインタビューを実施し、課題を構造化します。そうした中で見えてきたのが、生鮮食品の消費期限を延長できればフードロスが削減できるということです。植平氏らが開発した技術ではバナナの熟成スピードが抑えられることが確認できたと言います。

「この結果を持って食品小売業者にアンケートを取ったところ、『素晴らしい技術』『刺し身などでも同じ効果が得られるのか見てみたい』といった好意的な声が聞かれました。同時に、『今回の技術を消費者が受け入れられるかは未知数』『コストが不明瞭』といった懸念もありました。そこで今後は、技術の確度を高めコスト感を算出すると共に、継続的なインタビューの実施や、協力いただける小売店の調査、顧客の課題のさらなる深掘りなどを進めていきたいと思っています」と、植平氏は話しました。

10. ドローンの国家資格取得に向けた練習支援サービス

株式会社リコー 亀井謙二

日本では物流やインフラ分野、農業分野、建設現場など多方面でドローンの活用を進めていくため、2022年12月からドローン操縦士の国家資格制度が開始されました。しかし現実的にはドローンを練習する場所が不足しており、国家資格取得へ向けた環境が整っているとは言い難い状況でもあります。そこで、自身も国家資格取得に向けて挑戦した経験もあるリコーの亀井氏が考えたのがドローンの練習支援サービスです。

ドローンの練習場所として必要な条件は、航空法適用外となるために四方を網で囲まれた場所であることと、縦13m×横21m×高度5mの広さがあることです。そこで着目したのがバスケットボールコートやフットサルコートといったスポーツ施設です。亀井氏は実際に都内のフットサルコートの協力を得て試験的に練習会の開催に着手します。その際、単に人を募るだけではなく、注意事項の作成、利用者の費用負担を軽減するために割り勘制度の導入などを行いました。当日は悪天候のため、残念ながら実施はできなかったものの、「参加に対する心理的ハードルを下げる方法がわかりましたし、こうしたサービスを用意すればドローン利用者のネットワークを構築できる付加価値を生み出せることも発見できました」と亀井氏は口にしました。また今後の展望としては、練習場所の拡大、利用者のニーズの深掘り、省庁との連携構築などを進めていくことを謳いました。

11. テニスの悩みを解決するサービス

株式会社リコー 上野尚文

リコーの上野氏は、自身の趣味でもあるテニスの上達に行き詰まりを感じたことから、テニスの上達を促すソリューションを提案しました。

個人差はあるものの、テニスの上達が上手く行かない要因としては、「1人だけでは練習できないこと」「コートの予約が簡単に取れないこと」「レッスンコーチに教えを請おうとしても人気のため満足できるほど指導を受けられない」といったことが挙げられます。一方、練習の場を提供するテニスコート運営者としては「練習スペースが限られている」「定着を狙うために、初心者に対しては楽しむことを優先したプログラムを提供したい」といった考えがあり、上達を目指す競技者のニーズとはズレが生じてしまっていることが調査の結果わかりました。このような中で上達を実現するためには、個人によって異なる競技上の課題をリアルタイムで把握できるソリューションが必要であると上野氏は考え、次のようなアイデアを見出します。

「スマートフォンでプレー中の動画を撮影し、その場でリアルタイム、かつ個人に最適化されたフィードバック音声が流れるソリューションを考えています。このようなものを提供できれば、人気のレッスンコーチの教えを受けなくても上達できるのではないかと考えています」と上野氏は提案しました。

12. エチオピア地方都市向け買物支援サービス

株式会社リコー 塚原みな

「ビジネスでエチオピアの発展に貢献する」というミッションを掲げたのは、かつて青年海外協力隊としてエチオピアに2年間滞在していたリコーの塚原氏。そのビジネスとは買い物代行サービスです。このアイデアを思いついたのは、塚原氏が滞在していたジンマという地方都市には満足な商店がなく、品質の良い日用品を手に入れるには片道8時間かけて首都アディスアベバまで行かなければならないという事情があったからでした。そこで塚原氏は現地で試験的に買い物代行サービスを実施します。すると6人からの受注に成功して買い物から配送まで完了させ、好評をいただいたと言います。

「実際にサービスを提供してみて、確実に需要があり、顧客の要望を満たすことも可能であると感じました。一方で、依頼された商品を入手できなかったり、商品探しに時間が掛かったり、買い物代行時の検品で商品の品質に問題があることが発覚してキャンセルになったりと、幾つかの課題も見つかりました。そこで今後は、ニーズの高い商品や優良店舗の情報の蓄積や、依頼受付のオンライン化などにも取り組んでサービスの精度を高めていきたいと考えています」と、塚原氏は取り組みの成果と今後の展望を報告してピッチを締めくくりました。

13. フレイル期の高齢者に「できる」を提供する事業

リコージャパン株式会社 三谷悠貴

リコージャパンの三谷氏は、自身の祖母が免許返納と仕事を辞したことで元気を失い、家に引きこもりがちになってしまったことをきっかけに、「高齢者が明日できることがあってやりたいことがある社会を作る」というミッションを掲げたと言います。ミッション達成のために三谷氏が考案したのは、屋内にいながら自身の足で進む散歩を体験できるというソリューションです。

「高齢者が健康を維持して寝たきりになることを予防するには、定期的に外出して散歩などの運動が重要になります。しかし、運動してほしいのは我々の要求であり、高齢者自身の欲求ではありません。高齢者は体力の低下や健康不安による外出機会の減少、コロナ禍を経て友人等のコミュニティの消滅によりモチベーションを失い、引きこもってしまうというケースが多くあります。そこで、テレビの前で足踏み運動すると屋外の動画を進められ、仮想的に自身の足で散歩ができるというシステムを構築します。この中で知人と出会って遠隔で会話するような仕掛けでコミュニケーションできるようにして、モチベーションの維持を実現します」

実際にプロトタイプを開発してデイサービス施設や三谷氏の祖母に試してみてもらったところ、運動機会の増加やコミュニケーションの活性化などが見られた一方で、単独でが自発的に継続することの難しさも見られたと言います。そこで今後は、協力事業者の獲得や継続のための仕掛けづくりなどを進め、Investors Dayまでにはテスト販売を実施したいと報告しました。

14. 知的障害児を笑顔にするモノ・コト創出事業

リコーエレメックス株式会社 杉山忠司リコーエレメックスの杉山氏が率いるチームは、「“働けない人”にも喜びを」というビジョンの下、知的障害児やその保護者の生活の質を向上するソリューションの開発に挑戦しました。

知的障害児の保護者に外出時の課題についてヒアリングをしたところ、設備、トイレ、持ち物、公共ルールなど幾つかの課題があげられましたが、その中で杉山氏らが着目したのが外食時の課題です。特に料理をペースト状にするミルサーを飲食店で使えないという課題を解決しようと考えたと言います。ただし、「8月のピッチの後に詳しく調査したところ、実際には多くの飲食店でミルサーが使えることがわかった」そうです。それでも「多くの障害児の保護者がその事実を知らなかった」「飲食店にとっても、ミルサーが使用可であることをアピールすれば新規顧客獲得につながる」と考え、外食用充電式ミルサーと使用可能飲食店の検索サイトをセットで提供するアイデアを考案します。

Investors Dayに向けては、サービスの深掘りと収益モデルの成立可否検証に加え、OEMとしてミルサーを提供してくれるメーカーの検討を進めていきたいと述べました。

結果発表

社内14チームのうち、Investors Dayに進むのは次の9チームです。

・シニア人材に特化した就職支援事業

・知的障害児を笑顔にするモノ・コト創出事業

・工場の人手不足対策事業

・エチオピア地方都市向け買物支援サービス

・宇宙映像事業

・バイオ素材を使った食品ロスの削減

・忘れ物防止や持ち物管理の支援事業

・フレイル期の高齢者に「できる」を提供する事業

・ドローンの国家資格取得に向けた練習支援サービス

また、配信を見たリコー社員からの投票によって決定するオーディエンス賞は、宇宙映像事業チームが「新規性がある部門」「共感した部門」を、忘れ物防止や持ち物管理の支援事業チームが「社会的意義がある部門」を受賞しました。

リコーグループ審査員の山田氏は、今回参加した社内チームに向けて次のようにメッセージを送りました。「本日は9チームが通過することになりましたが、本来はもっと絞る予定でした。しかし事業性に期待できることから可能性を捨てきれず、このような結果となりました。一方、落選したチームの皆様も、もっとやれたはずだと感じていることと思いますので、ぜひ次に向けてブラッシュアップをいただきたいと思っています。そして通過したチームの皆様は、Investors Dayではよりシビアな審査を受けることになると思いますので、これまで以上に頑張ってください」

審査員が選定に困るほど高レベルだった今回の統合ピッチ。次に向けて参加者たちがどのようにアイデアを磨き上げていくのか、今から期待が高まります。


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