リコーが独Natif.aiを買収、AIを活用してドキュメント処理業務の自動化を支援

2024年4月22日(月)16時3分 マイナビニュース

リコーは4月22日、ビジネスプロセスオートメーションの強化に向けた成長投資の一環として、独Natif.aiの全株式を取得し子会社化したことを発表し、「RICOH BIL TOKYO」で説明会を開いた。この株式取得は同社グループで企業のドキュメント管理やワークフローの自動化を支援するサービスを手掛けるDocuWareによるものだという。買収金額は数十億円規模とのことだ。
同社はNatif.aiの株式取得により、インテリジェントキャプチャと呼ばれるAIを活用した先進的な画像認識やOCR(Optical Character Recognition)技術を獲得し、紙文書や手書き文書を含むさまざまなドキュメントからの情報抽出機能を強化する。
○Natif.aiについて
natif.aiは2019年にドイツ・ザールブリュッケンで設立されたスタートアップ企業。「A world without manual document tasks」をビジョンとして掲げ、従業員30人と大学院生16人が所属する。
同社はAIを活用した画像認識やOCRを強みとし、ドキュメント分類やデータ抽出サービスプラットフォーム提供に加えて、機械学習によるAI-OCR技術の研究開発などを手掛けている。同社の技術は、請求書や受発注書、契約書など業務で発生する文書において、手書きを含むさまざまな文字の読み取りやデータの自動抽出を実現する。また、文書解析による自動分類にも対応する。
Natif.aiの買収によって、スキャナで読み取ったデータからの自動抽出項目の拡大とともに精度の向上が見込めるという。手書き文字やさまざまなレイアウトの書類に対応できるようになることで、人事や法務、物流、マーケティングなど幅広い領域でのサービス展開を狙う。
○Natif.aiの読み取り技術とリコーのAIで業務効率化を支援
昨今の企業内で扱われる書類は依然として紙媒体のものも多く、業務プロセスの約70%が紙、もしくは紙とデジタルのハイブリッドで行われるという。また、企業で扱われるデータの約90%は非構造化データであり、非構造化データからの情報抽出には帳票設計やコストの課題などが伴い、なかなか進まない。
リコーが顧客の業務課題を調査したところ、システムとシステムの間は人手を介する作業が残るなど、紙を用いたドキュメントの業務がDX(デジタルトランスフォーメーション)を阻害していたという。また、取引先から送られる郵便物や請求書などドキュメントを従業員に配布して、ドキュメントの内容をシステムに入力するといったマニュアル業務も多く存在していた。
例えば、国内物流業の配送プロセスにおいては、さまざまな紙媒体の情報をPCに入力して印刷してから整理するマニュアル作業を繰り返しているものの、複雑なプロセスをシステム化する余裕がなくそのままになっていたという。
リコーはこうした業務課題に対し、インテリジェントキャプチャにより顧客の非構造化データの整理と蓄積をサポートする。さらには、すでに顧客企業内に有するデジタルデータと組み合わせてAIが活用できる形式に構造化するプロセスもサポートするとのことだ。
○natif.aiのデモを公開 - しわが入った資料も読み取り可能
説明会では、Natif.aiの技術を活用したインテリジェントキャプチャのデモが披露された。まずは、従来のOCRが苦手とする「状態の悪い帳票」「手書き文書」「異なる文書を含むファイル」のそれぞれの読み取りが行われた。
読み取りの結果、しわが入った状態の帳票や手書き文字を含む文書などを読み取り文字を抽出できていることが分かった。また、複数ページの文書を含む異なる文書が一つのファイルになっている場合でも、内容を判別して文書ごとに分別して読み取っていた。
続いて、学習済みのAIを活用して伝票チェックを自動化する様子が公開された。帳票の種類を自動認識により仕分けし、それぞれの文書に適したワークフローを実施する。注文書、納品書、請求書は明細や金額に間違いがないかを自動的に突合して確認可能だ。
取り込んだデータは、非定型の契約書文書などから必要な情報を抽出して蓄積する。契約書ナンバーや契約先企業名、契約日などを抽出することで、LLM(Large Language Models:大規模言語モデル)で活用可能となる。これにより、チャット形式で過去の事例をAIに問い合わせるといった使い方ができるようになる。
なお、Natif.aiは現時点で英語とドイツ語にのみ対応。9月末をめどに日本語、フランス語、スペイン語にも対応予定だ。
リコーデジタルサービスビジネスユニットの責任者を務める入佐孝宏氏は「Natif.aiの株式取得によってタスクゼロを実現できる世界はすぐそこまで来ている。今後もお客様の課題に向き合って業務をエンド・ツー・エンドで支援できるようにしていく」とコメントしていた。

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