茂木健一郎「“エンタメの力”は、こういうときにこそ必要」悲しいニュースや出来事に胸を痛める相談者へのアドバイス

2024年2月8日(木)20時0分 TOKYO FM+

脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00〜22:30)。
TOKYO FMとJFN系列38局の音声配信プラットフォーム「AuDee(オーディー)」では、当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を配信中です。この番組では、リスナーの皆様から寄せられたお悩みに茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。
2月3日(土)の配信では、「共感疲労」について脳科学的視点から解説しました。

パーソナリティの茂木健一郎


<リスナーからの相談>
年明けから能登半島地震や旅客機と小型機の接触、自分の心の支えだった歌手や俳優の逝去など、胸を痛めるニュースが続いています。このような状況の場合、脳科学的にどのようなことで癒やしたり、修復したりすれば効果がありますか? 気分転換のヒントなど教えていただけますと幸いです。
<茂木の回答>
茂木:ありがとうございます。いろいろつらいニュース、苦しいニュースがありますね。そんなときに、なんとなく心が疲れてくることは、いわゆる「共感疲労」と呼ばれる現象です。
私たちの脳のなかには、他人の痛みを共感する回路があります。これは、普段のコミュニケーションなどでは非常に役に立つのですが、ちょっと行き過ぎてしまうと脳が疲れてきてしまうんです。
さらに、人によって共感する強さが違っているので、共感する能力が高い方は必要以上に共感してしまって、脳が疲れてしまうんです。このときにどうすれば良いかというと、脳のなかには文脈をつかさどる「眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ)」といって、意思決定に重要な役割を果たす脳の領域があります。そこで切り替えることが、とても大事なんです。ここで切り替えると、前頭葉を中心に脳のさまざまな神経回路がリセットされますので、ぜひ、この切り替えをしていただきたいなと思います。
僕は、実はエンターテインメントというのは、そのためにあるんだと思うんです。世の中で、いろいろなアーティストの方が頑張って作ってくださっている音楽や映画などエンタメの力は、こういうときにこそ必要なのかなと。
東日本大震災後に被災地入りした歌手の方が、「本当にみんな喜んでくれた」「歌を歌ってこんなに喜んでもらえたことはなかった」というようなことをお話されているのを聞いたことがあるのですが、こういうときこそ、やはり映画やドラマ、音楽……そういうエンタメの力が必要とされるのではないでしょうか。
なので、好きな役者さんやアーティストの作品に触れて、ぜひ眼窩前頭皮質を使って切り替えをしていただけたらなと思います。なお、今回の相談者さんに限らず、震災の被害に遭われた方はもちろんですが、身近にそういう方がいらっしゃったり、あるいはメディアを通してのさまざまなニュースで、最近心の調子がベストではないという方は、(心療内科などの)専門機関に相談することも1つの考え方かと思いますので、検討していただけたらなと思います。
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音声版「茂木健一郎のポジティブ脳教室」
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<番組情報>
番組名:茂木健一郎のポジティブ脳教室
配信日時:毎週土曜 22:30配信(予定)
パーソナリティ:茂木健一郎
番組Webサイト:https://audee.jp/program/show/11745

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