『ノンストップ!』サミットのテーマ<男性更年期>「なぜか意欲がわかない」「仕事のパフォーマンスが…」医師「男性の更年期の症状は『うつ病』と間違いやすい」

2024年3月1日(金)8時0分 婦人公論.jp


森先生「男性の更年期症状は自覚しにくい」(写真提供:Photo AC)

24年3月1日の『ノンストップ!』「サミット」のテーマは「男性更年期」を予定。そこで男性更年期について、医師である森勇磨先生が整理した記事を再配信します。
*******2019年に厚生労働省が発表したデータによると、日本人の平均寿命と健康寿命の差は男性が8.73年、女性が12.7年だそう。これは寝たきりや要介護状態など、自立した生活ができない状態で過ごす期間が「男性は8.73年」「女性は12.7年」あるということです。そのようななか、「更年期をどう乗り越えるかが、のちの人生を左右する」と話すのが森先生。先生いわく「男性の更年期症状は自覚しにくい」そうで——。

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男性の更年期症状


女性の更年期症状は女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量低下が原因ですが、男性の更年期症状は、精巣で作られる男性ホルモン「テストステロン」の分泌量低下が原因で起こります。

テストステロンは、「男性らしさ」を作るホルモンです。骨格や筋肉、体毛など男性らしい体を作るほか、生殖機能の向上や維持、精神面の健康にもかかわっています。思春期に急激に分泌量が増え、20代前半をピークに、その後は加齢とともに徐々に分泌量は減っていきます。

男性の更年期症状の特徴を挙げましょう。

●性欲の衰え
●手足が細くなり、おなかだけポコッと出ている
●以前よりも仕事のパフォーマンスが下がってきた
●何事に対しても意欲がわかない

ご自身やご家族のなかに、心当たりのある方はいませんか?

「あれ? 自分も(パートナーも)当てはまるけど、まさか……」と思われたあなた、どうかその感想を気のせいと切り捨てないでください。

じつはこの「まさか」こそ、男性の更年期症状の厄介なところなのです。

LOH症候群


女性の場合、更年期にエストロゲンの分泌量が一気に減るので、更年期症状も比較的はっきりと現れます。

一方、男性の場合、テストステロンの分泌量は少しずつ減っていくので、明らかな症状が出にくいのです。


『最新予防医学でここまでわかった 50歳からの病気にならない最強の食生活』(著:森勇磨/主婦の友社)

そのため、症状に気がつかなかったり、また気づいたとしても、気のせいと思ってやり過ごしてしまう方が多いというのが現状です。

これらの症状が出現していて、かつ血液検査でテストステロンの数値が明確に低い場合、LOH症候群(加齢性腺機能低下症)の診断を受けます。

LOH症候群は別名「男性更年期障害」と呼ばれます。

男性更年期は体形に表れる


男性更年期に見られる症状について、詳しく見てみましょう。

まずは「性欲の衰え」について。

精巣で作られるテストステロンは、人間の三大欲求のひとつである性欲をコントロールしています。しかし、加齢とともに、精巣のなかでテストステロンを生み出すライディッヒ細胞の数が減少して、それによってテストステロンの分泌量も減り、性欲の低下につながります。

次に「手足が細くなり、おなかだけポコッと出ている」というのは、中高年の方に多い体形ですね。男性がこのような体形になってしまうのも、テストステロンの分泌量低下が関係しています。


「手足が細くなり、おなかだけポコッと出ている」というのは、中高年の方に多い体形ですね(写真提供:Photo AC)

テストステロンの役割のひとつに、筋肉量の維持があるからです。

テストステロンは20代前半をピークに徐々に減っていくので、意識的に運動をしていないと、50歳になるころには筋肉の低下に伴い手足がかなり細くなってしまうのです。

さらにテストステロンには、「内臓脂肪がたまるのを抑える」という役割もあります。したがって、テストステロンの分泌量が減ると、必然的に内臓脂肪がたまるようになり、おなかがポコッと出てきます。

自覚症状が出にくい男性の更年期症状ですが、見た目にはけっこうはっきり出てくるのですね。

男性の更年期症状は自覚しにくく、「うつ病」と似ている


「以前よりも仕事のパフォーマンスが下がってきた」「何事に対しても意欲がわかない」ことに悩む中高年男性の方は、少なくないのではないでしょうか。そしてこれらは、うつ病と間違えやすい症状です。実際、うつ病だと思って受診し、原因を探っていくと男性更年期だったというケースもあります。

というのも、テストステロンは別名「社会性ホルモン」と呼ばれます。一部の研究では、テストステロンの分泌量が多い男性ほど行動力があり、仕事ができるという説がとなえられています。

しかし、繰り返しますが、テストステロンの分泌量は年齢に応じて誰でも低下していきます。その結果、憂うつな気分になったり、やる気が出なくなったりするのです。もともとテストステロンの量が多く、バリバリ働けていた人ほど、分泌量低下の影響を受けやすいといわれています。

女性の場合はイライラしたり落ち込んだりと、メンタルに波ができることがありますが、男性の場合は、うつ病のように気持ちがダウンしてしまうのです。

テストステロンの分泌量は、血液検査によってわかります。少なかった場合、ホルモンを補充する治療や漢方薬を使った治療を受けることができます。心当たりがある方は、ぜひ一度、受診してみてください。

ちなみに男性の更年期症状は、泌尿器科が専門です。ただし、ここで紹介した症状は、甲状腺ホルモンなどほかのホルモンの分泌量低下でも起こるので、まずはお近くの内科を受診してみてもいいでしょう。

また、意欲の低下などはうつ病と間違えやすい症状なので、先にメンタルクリニックを受診し、診断の結果、医師が更年期症状の可能性があると判断した場合、泌尿器科をおとずれるようにしましょう。

※本稿は、『最新予防医学でここまでわかった 50歳からの病気にならない最強の食生活』(主婦の友社)の一部を再編集したものです。

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