北大路欣也、時代劇は「今の思いをぶつけられる」 最新作に重ねる“今置かれている世界の情勢”

2024年3月5日(火)6時0分 マイナビニュース

俳優の北大路欣也が、藤沢周平原作のオリジナル時代劇シリーズ最新第7作『三屋清左衛門残日録 ふたたび咲く花』(CS292・時代劇専門チャンネル、3月9日19:00〜ほか)の取材に応じ、作品の見どころや時代劇への思いなどを語った。
○デビューの地で撮影…「一歩一歩ここまで来た」
老境の人間模様を温かな視点で描くオリジナル時代劇シリーズ。2016年の第1作から7作品にわたり主人公の三屋清左衛門を演じている北大路だが、今作ではある家族が抱える問題と複雑に絡まった闇の思惑に、清左衛門が迫る。
清左衛門という人物について、「素直にとても憧れる主人公。よく話が聞けて、よく見て、自分の体感で全ての判断ができる人。静かに佇んでいるのだけれど、そこに芯のエネルギーがある。こういう老後を送ってみたいとか、こういう考えでいたいとか、単なる優しさや厳しさだけではなく、懐の深い主人公」と印象を持つ北大路。「そういう人になってみたいという思いがとても湧いてきて、それで第1作、第2作とひとつずつ何かを乗り越えながら、今回第7作。現場の皆さんの支えがあって、何とかうまく乗り越えることができた」と感慨を語る。
撮影は東映京都撮影所や京都近郊で行われたが、「13才でこの東映京都撮影所でデビューし今年で68年目になるので、この撮影所にはたくさんの思い出がある。撮影所の門に入るときは一瞬緊張して、心を整えて入ってきて、そして改めて今というその時間を感じながら仕事をさせていただいている。素晴らしい先人の方々やスタッフの方々の熱をもらって、いろいろなものを吸収して一歩一歩ここまで来た」と、撮影に臨むにあたっての思いをコメント。
撮影中は、「自然体でいること」を心がけていたそうで、「もちろん力も入るし、激情に駆られることも、悲しいときもあるけれど、そこに自然体でいられるように。監督に何か言われたときに、自然体でそれを受け取れるような、そういう自分でいたい、朝起きてから寝るまでそういう雰囲気を持てれば良いなと思っている」と意識を述べた。
伊東四朗との出会い「毎回新しい何かをもらう」
清左衛門の親友・佐伯熊太(伊東四朗)については、「清左衛門といえども完璧な人間ではなく、肝心なところに伊東さん演じる熊太が出てきて、“おいお前違うぞ”、“それは行き過ぎだ”とアイデアをもらったり、素直に言ってもらえる。この親友の存在が、清左衛門を本当に支えてくれている」と存在の大きさを実感。
この熊太を第1作から演じる伊東に対しては、「初めてご一緒したのは今からもう40年以上も前ですが、出会いというのは人生でとても大切なことだと思う。私は幸せなことに伊東さんと出会うことができ、今この作品でご一緒できていることが本当にうれしい。もう7作も続いていますが、毎回新しい何かをもらって、それに私が反応する。そのやり取りが毎回新鮮で楽しくて、同じことを繰り返しているという感覚は一切ない」と印象を話す。
そんな伊東は、北大路について、「私はこの世界に入り最初の舞台で時代劇をやらせていただいたが、時代劇のことは全く知らないでやっていた。それを『銭形平次』(北大路欣也主演)に呼んでいただいて、侍の歩き方、町人の歩き方、刀の差し方とか、そういったものを全部見ながら、88本やっている間に学んだ。欣也さんのおかげでいろいろ覚えさせてもらい、それはもう私にとって財産になっている」と感謝の思いを述べている。
○現実に向かっているような錯覚も
『三屋清左衛門残日録』は時代劇のシリーズだが、北大路は「作品的には内容は非常に現代だと思う」と捉え、「今置かれている世界の情勢のような、そんな雰囲気がこの作品の中にはある。今そこで起こっているその現実に向かって話しているような、そんな錯覚も起きるぐらい。昔の話ではなく、逆に言えば今を超えているかもしれない。このドラマの物語は、今に生きていると思う」と、現代にも通じる魅力を感じているそう。
そして、「北大路さんにとって時代劇とは?」という問いには、「原点でもあるし、故郷や夢でもあり、でも今の思いをぶつけられる世界でもある、非常に大きな世界。この作品で第7作までやらせてもらえるということは、やはり時代劇を愛してくださる多くのファンの皆さんが、すごい力で支えてくださっているのだと思う。その方々に対して、作品を通して、感謝の思いや何かメッセージを送ることができれば、役者冥利に尽きる」と熱弁した。

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