Mr.マリックと娘・LUNA、マジック×ドラァグクイーンで初共演!「反抗期を経た後、2世への拒否感が無くなった」

2024年3月7日(木)12時30分 婦人公論.jp


観客参加型の「スーパー4KマジックショーMr.マリック超魔術団」で親子初共演を果たす、父のMr.マリックさん(右)と長女で歌手のLUNAさん(左)(撮影◎本社・奥西義和 )

「キテます」「ハンドパワー」などお馴染みのセリフで知られるMr.マリックさんは1990年代からマジシャンとして一世を風靡しました。今年3月には観客参加型の「スーパー4KマジックショーMr.マリック超魔術団」を開催。そのライブの席では、長女で歌手のLUNAさんと初の親子共演を果たします。LUNAさんの反抗期には10年も口をきかなかったという二人。和解の秘訣や今、親子としてお互いに思うところを伺いました。
(構成=岡宗真由子 撮影=本社・奥西義和)

* * * * * * *

ステージ上での親子初共演


Mr.マリック(父) :テレビ一緒に出ることはあったけれど、ステージの上では初共演になるね。

LUNA(娘) :今回のショーには歌手“LUNA”ではなく、 ドラァグクイーントリオの“D3” (編集部注:LUNA、サマンサ・アナンサ、枝豆順子の3人で構成されるパフォーマンスグループ)として出演します。自分が超魔術ライブにオファーされることを考えていなかったし、まさか“ドラァグクイーン”のほうにお呼びがかかるなんて思ってもみなかった。

父 :女性なのに、普通は男性が演じる“ドラァグクイーン”の世界によく飛び込んだな、と感心していますよ。

娘 :私も最初はちょっと不安で、いろんな先人の方にお伺いを立てました。「私なんかが入っていいの?」って。

父 :そうしたら?

娘 :「自由だよ、やりたければやればいい」って言われて。ただ、いざ本気でやってみると、元々男性のドラァグクイーンは骨格が角張ったところにメイクを入れていくから顔は立体的になるし、身体も大きいし、舞台に立つと迫力が違うってことがわかった。丸い顔にメイクを重ねてもただ濃くなっていくというか、彼らの真似をすることは一筋縄ではいかない。

父 :LUNAは昔もヤマンバメイクしてたから、僕からすると「またメイク濃くなったな」って感じだけどね。

娘 :いやいや、ドラァグクイーンにはドラァグクイーンの道があるんですよ。彼女たちは、メイクも上手いし、みんなとにかく弁が立ちます。

父 :その点は僕もすごいと思ったよね。僕がたまたま招かれた地方の青年会議所の卒業式イベントがあって、LUNAたち“D3”もそこに呼ばれていたから、僕はLUNAの舞台を生で初めて観た。お堅い席に、ド派手な格好で出てきて、その場をめちゃくちゃ沸かせて、あの時は本当に驚いたし、感心した。それ以来いつか共演したいと思っていて、今回こういう機会に恵まれたんだよ。


「LUNAの舞台を生で初めて観たときは、ド派手な格好で出てきて、その場をめちゃくちゃ沸かせて、あの時は本当に驚いた」と話す父のMr.マリックさん

親子初共演にして初対決


娘 :歌手としての私じゃなく、ドラァグクイーンのほうに目をつけるとは!やっぱりこの人は器が違うな〜と思いました。(笑)コロナ禍の自粛期間中に、ドラァグクイーンの友人に直々にメイクを教わって、「自分でもやってみよう!」っていう企画の動画をSNSに投稿たんです。そうしたら思いの外評判良くて、楽しくてハマってしまったの。そこから始まったんだよね。どうせならイベントに出てみようか?とか、歌ってみようか?って。

父 :LUNAは日本で活躍している女性のラッパーがあまりいないうちに始めたし、いつも人がやる前に目をつけるね。

娘 :そうかもしれない。ドラァグクイーンは、“リップシンク”と言って実際には歌わずにパフォーマンスする人が多いですが、私は歌手なので、実際に歌いながらショーをする。そういう方もミッツ・マングローブさんの他に日本にはそんなにいらっしゃらない。

父 :コロナの頃から僕もYouTubeをやっていて、それを通していい出会いがあったね。若い人の手を借りないとできなかったから方々で頭を下げた。おかげで若いスタッフやマジシャンとの縁ができたよ。今回、“D3”のパフォーマンスがド迫力なので、僕も一人じゃ太刀打ちできない。そこで、若手マジシャン2人の手を借りることにしたよ。

娘 :初共演にして初対決ですね。(笑)

父 :一緒の舞台に立つということは、LUNAが歌手になった時も考えていなかった。ジャンルが全然違うからね。

娘 :お互いの舞台に、関わったことはこれまでなかったもんね。

父 :LUNAがニューヨークから帰ってきて初めてのライブはビデオで見せてもらいました。その時のLUNAは、歌い終わって最後に一言、文章にもならない言葉しか言わなかった。「来てくださったお客様にお礼のひとつくらい言いなさいよ」とアドバイスしたくらいかな。

娘 :それが今はライブの半分くらい喋るようになっちゃった(笑)。その点では、さだまさしさんに負けないくらい。


今はさだまさしさんに負けないくらいライブ中に話すそう

ニューヨークで世界が広がった


父 :LUNAが中学生になると学校に行かなくなって。渋谷に溜まったり、家に帰ってこなくなったりした時は、さすがの僕もどうなることかと心配していた。私立の中学校だったから義務教育なのに退学させられて、別の学校に行かせようにもLUNAは行かないって言うし、バイトに行ったと思ったら3日で辞めて家で寝てるっていう有様だったから。

娘 :そうだね。あの頃は学校もアルバイトも、とても窮屈に感じていた。

父 :今の時代は、不登校の子どもも増えているし、得意なこと、打ち込めること見つけられるなら学校なんか行かなくてもいいっていう風潮もあるじゃない?LUNAはこの点も先取りだったね(笑)。そんな時、LUNAから好きなことがあるんだって聞いて、獅子が千尋の谷に子を突き落とすような悲壮な気持ちでニューヨークに送り出した。

娘 :ヒップホップが好きで、本場に行ってみたかった。度胸や経験はある方だと思っていたけれど、好きなことのために寝食も我慢して努力してる人たちにたくさん出会って、自分の世界が広がりました。


「好きなことのために寝食も我慢して努力してる人たちに出会い、自分の世界が広がった」と話すLUNAさん

父 :黒人の方がほとんどのハーレム(編集部注:ニューヨーク州のマンハッタン北部にある地区)に一人で暮らして、まさか「アポロシアター」の<アマチュアナイト(編集部注:プロへの登竜門として知られ、数々のスターを輩出するイベント)>にまで挑戦して、喝采とブーイングのどちらも浴びたって聞いて本当に驚いた。正直そこまでできるとは思っていなかったから。帰って来た時、今まで僕のことを見もしなかった子が、キラキラした瞳で「本当に行ってよかった」と僕に言った。目線が定まっていて、日本にいた時と全然違っていたよ。

娘 :それまでは“Mr.マリックの娘”って言われることが嫌だったのに、音楽の世界で自分に居場所ができてからは、2世だと言われることの拒否感もなくなりました。活動が軌道に乗ってきたところで、きちんと公表して取材も受けるようになったよね。それまではお互い、ひた隠しにしていた。

父 :テレビの世界は5年で飽きられると言われています。1990年代からテレビで長年“超魔術”をやってきていた僕ですが、LUNAとの共演は、また新鮮に受け止められた。最初は僕がLUNAをテレビの世界へ引っ張ろうという感覚だったけれど、逆にLUNAに引っ張られて、再度ブームを起こしてもらったところがある。LUNAが僕を引き上げてくれたと言ってもいい。


マジックを披露するMr.マリックさん(右)と娘のLUNAさん(左)

無理せずとも子は親の背中を見てくれている


娘 :テレビ共演して初めて、間近にマジック見ることができた。その時初めて「この人すごい!」って感心したの(笑)。舞台でのマジックを観たこともなかったもんね。

父 :僕のショーを見に来たことは一度しかないね。

娘 :あったんだ?(笑)一度もないかと思ってた。記憶にないよ。

父 :LUNAがまだ幼稚園の頃、家から歩いて行ける多目的ホールでショーに出る機会があったから、最前列のど真ん中に席を取っておいたの。みんなが楽しんでくれている中、LUNAだけは終始そっぽを向いていた…。

娘 :ワハハ!覚えていないけど、多分(マジックのために明るさを落として)暗い雰囲気だったし、怖かったんだと思うよ!

父 :それからは招待しなくなった。それでも親子はやっぱり切っても切り離せない仲でしょ。時間が長かったからこそ、僕らは理解しあったら最後、一緒に成し遂げられるものも大きいと感じる。距離が離れている時に、無理に近づいたり、説得しようとしたりしたことはなくて、自然に任せていたら振り子のように、いつの間にか近づくことができた。自分から構いにいくのは子どもも迷惑じゃないかな。

娘 :その通り。そんなことされたらきっと、めちゃくちゃうざかったですよ。(笑)

父 :今、我が子に反発されている親御さんには焦って無理をすることは必要ないと伝えたいね。誠実にしていれば、子どもは親の背中を見てくれているんじゃないかな。


「我が子に反発されている親御さんには焦って無理をすることは必要ない」と話すMr.マリックさん

ぜひ三世代で観に来てほしい


娘 :それにしても、昔は家族をほったらかしにしてマジックのことしか考えられなかったのに、正直今は変わったよね。孫と一緒にご飯を食べたり、出かけたり、遊んだりして。

父 :まあ、孫は真剣に遊ばないと、何処かに行っちゃいますからね。

娘 :昔は父の部屋に入ることなんて許されなかった。

父 :孫は自室に勝手に入ってきて僕の頭をハリセンで叩いていく(笑)。おじいちゃんは趣味でマジックやってるって思っているんじゃないかな。

娘 :この人、こんなに家族と家族らしい時間を過ごす能力を持っていたんだって驚いているよ。母も兄も私と同じように驚いていると思う。

父 :そうだね、孫は「目に入れても痛くない」って言うけど、実際そうで、僕にとってはコンタクトレンズみたいなもの。孫を通して初めて社会が見えてきた。人間のあるべき姿だとか、家族の団欒を覚えたんだよ。

娘 :だいぶ遅いけど(笑)。よかったね。

父 :僕の大好きなLUNAの曲「I have a dream」には、孫の声も録音されていてね。こんなふうに家族が繋がっていくっていうのが今は本当に感慨深い。

今度の僕らの舞台は、親世代も子ども世代も孫世代も、それぞれが楽しめるものになっている。そんなライブって意外と貴重なものだから、ぜひ三世代で観に来てほしいね。

娘 :父の漆黒の世界と私たちのエレクトリカルパレードみたいな世界。どう融合しているのか、していないのか、確認していただきたいですね。(笑)


親世代も子ども世代も孫世代もそれぞれが楽しめる舞台、是非みに来てください!

婦人公論.jp

「マジック」をもっと詳しく

「マジック」のニュース

「マジック」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ