夕方ニュースキャスター続々交代、G帯音楽番組拡充、大悟&澤部らさらに躍進…4月改編動向

2024年3月11日(月)16時0分 マイナビニュース

●日テレ・テレ朝・フジでメイン変更、NHKは新番組
民放キー5局(日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ)の4月改編情報が11日、出そろった。各局で夕方ニュースのメインキャスターが続々と交代するほか、ゴールデンタイムで音楽番組が拡充。深夜帯では企画開発のトライアル枠が再び活性化の動きを見せ、千鳥・大悟やハライチ澤部佑らがさらにレギュラー番組を増やす。
このほか、旧ジャニーズ事務所所属タレント出演番組の存続判断や起用方針、原作のドラマ化にあたっての姿勢、そして視聴率指標の捉え方まで、各局の改編説明会から、この4月編成の動向をまとめた。
○迎え撃つTBSは「より親しまれる空気感を」
今改編では、各局の平日夕方ニュース番組でメインキャスターの交代が行われる。視聴率トップを走る日テレ『news every.』は、藤井貴彦アナが夜の『news zero』を担当することに伴い、鈴江奈々アナと森圭介アナのWメイン体制に。日テレの改編説明会に登場した藤井アナは「鈴江さんはエンジン、森圭介さんはハンドルです。この後も、日本テレビのいわばエースのニュース番組として活躍してくれるものだと思いますので、この2人がコンビを組んでどんなバランスを見せていくのか、ぜひご期待いただきたいと思います」と後輩たちを売り込んだ。
1月にリニューアルしたばかりのテレ朝『スーパーJチャンネル』には、森山みなみアナが森川夕貴アナに代わり加入。改編説明会の司会を務めた森山アナは「生まれる前から放送している伝統のある番組なので、歴史を大事にしつつ、出演者、スタッフ、視聴者の皆さんと一緒に作っていけたらと思っています」と意気込む。
フジ『Live News イット!』は、NHKで『NHKニュース7』『ニュースウオッチ9』など看板ニュース番組を担当してきた青井実アナが、榎並大二郎アナに代わり就任。外部起用の狙いについて、かつてアナウンス室長だった立松嗣章編成制作局長は「うちには大変素材の良いアナウンサーがそろっていますが、報道番組ですのでジャーナリスティックな経験値も含めた総合力が必要になってきます。当然フジテレビとしては、総合力のあるアナウンサーを育てている最中ですが、今この段階ではいろんなニュースを経験されてきた方に担っていただこうとジャッジをして、(青井アナに)オファーしました」とした。
そんな青井アナの古巣・NHKでも、民放各局の夕方ニュースとぶつかる15〜17時台に新番組『午後LIVE ニュースーン』を編成する中、『Nスタ』で井上貴博アナ、ホラン千秋、日比麻音子アナ体制を継続するTBSの渡邉真二郎コンテンツ戦略部長は「まだまだブラッシュアップするべきところはいっぱいあると思いながら日々放送しておりますが、特に4月からはホランさんと井上アナウンサーを中心に、より親しまれる空気感を目指して頑張っていきたいと思っております」と迎え撃つ姿勢を示している。
○日テレ34年ぶりのG帯本格音楽番組
ゴールデンタイムでは、音楽番組が充実化する。日テレは、ゴールデンでアーティストを迎える本格音楽番組として、『歌のトップテン』以来34年ぶりとなる『with MUSIC』を、土曜20時台にスタート。江成真二総合編成センター部長は「昨今、音楽業界がまた活況を呈している中、改めてお茶の間でテレビの前で一緒に音楽を楽しんでいただくというところで、テレビからヒット曲を作っていきたいと思っております」「弊社はオーディションコンテンツやライブイベント、配信も展開しており、そうしたエンタテインメントのハブになるような番組としてこの歌番組が育っていくとうれしいなと思います」と期待を示す。
TBSは、隔週2時間編成だった『CDTVライブ!ライブ!』を毎週2時間化する。高宮望プロデューサーは「アーティストが出たくなる音楽番組を考えてブランディングを徹底してやってきました。丸4年経ちますが、ようやく多くのアーティストの人が“番組に出たい”と声をかけてくださる数も増えてきたと実感しています」と振り返った上で、今後について「アーティストの方や視聴者の皆さんが良いと思ってくださってるところは変えずにブレずにこのまま放送していきたいと思っています。放送時間が増えるのでスタッフはちょっとドキドキしているところなんですけど(笑)、アーティストの熱量とスタッフの力を結集して、ほかでは見られないライブを毎週お届けできるように頑張っていきたいと思います」と力を込めた。
フジも、木曜19時に音楽バラエティ番組『ミュージックジェネレーション』を編成。GP帯で音楽系の番組をレギュラー放送するのは、『水曜歌謡祭』(15年4〜9月)以来8年半ぶりとなる。
一方、『ミュージックステーション』で1986年からゴールデンの音楽番組を守り続けてきたテレ朝の河野太一総合編成部長は「新たな試みを今後もチャレンジングにやっていきたいと思います。我々としては『ミュージックステーション』を盛り上げる努力を今後も続けていきますが、(他局の動きで)結果的に業界全体が盛り上がることは非常にいいことだと思いますので、我々も頑張っていきたいと思います」と気を引き締めた。
なお、フジが木曜20時に『街グルメをマジ探索! かまいまち』、日テレが水曜22時に『世界頂グルメ』、テレ東が金曜19時25分に『デカ盛りハンター』とグルメ系番組も次々に編成されるが、『世界頂グルメ』の沢田健介プロデューサーは「おいしいグルメを紹介する、いわゆるグルメ番組ではありません。番組が一番大切にしているのは、世界の地元メシを通して初めて知る、僕たちが知らない世界の“へぇ”という気持ちです」と強調している。
●「バラバラ大作戦」に新枠、『——NEXT!』復活
深夜帯では、タレント&制作者の育成を図るトライアル枠が、再び活性化する動きも見えてきた。平日深夜のバラエティゾーン「バラバラ大作戦」で多彩なラインナップをそろえるテレ朝は、新枠「バラバラマンスリー」(月〜金曜26:54〜)を設置。新企画を曜日ごとに4週にわたって制作・放送し、反響が高かった作品は「バラバラ大作戦」にレギュラー入りするチャンスをつかめる。
日テレは、単発枠『Friday's EDGE』(金曜24:30〜)を新設。コア(13〜49歳)視聴や配信視聴を見込めるエッジのたったドラマ・バラエティを放送し、コア獲得の最大化を図る。なお同局は、月〜水曜の24時台を、従来の1時間番組から30分&25分番組の2段積みに変更。こちらもコア層獲得に向けた戦略で、「タイムパフォーマンスを意識する時代に合わせる」としている。
フジは、昨年10月改編で深夜のトライアル枠を大幅に削減したが、そこで終了した『火曜NEXT!』が、土曜深夜に『土曜NEXT!』として復活。30分枠を基本としながら、45分、1時間など柔軟に編成する方針だ。また、2年目を迎える日曜深夜の『深夜のハチミツ』について、中嶋優一編成部長は「若い芸人さんがいっぱい集合して、若手クリエイターが一丸となって、さらなる新しい展開を予定しておりますので、将来の『新しいカギ』のような番組につながっていけば」と期待。さらに、こちらも2年目に入る金曜深夜『オールナイトフジコ』は、枠を2時間から1時間に縮小し、毎週編成する形となる。
○千鳥大悟・ハライチ澤部ら続々新番組、日テレ水曜の女王
出演者の動きで注目は、千鳥の大悟。テレ東『ヤギと大悟』はレギュラー放送を終了するが、日テレで月曜深夜連続編成の『大悟の芸人領収書』『開演まで30秒! THEパニックGP』、コンビとしてはフジで8年ぶりに復活する『すぽると!』に出演する(日曜のみ)。さらに、2月からは芸能活動を休業している松本人志に代わって『酒のツマミになる話』のメインMCに起用されるなど、制作者からの厚い信頼がうかがえる。
そんな大悟と『ピカルの定理』(フジ)で共演していたハライチの澤部佑は、TBSで土曜21時の長寿番組『世界ふしぎ発見!』の後番組『世の中なんでもHOWマッチ いくらかわかる金?』がスタートし、日テレの『世界頂グルメ』でもコンビでMCに。『世の中なんでもHOWマッチ』総合演出の平野亮一氏は、帯番組の『ぽかぽか』で日々腕を磨いていることで「視聴者も常に顔を見ているので、安心感は抜群です」と強みを語り、『世界頂グルメ』の沢田プロデューサーは「ハライチさんは、視聴者と同じように厳しくも温かいコメントを」とその役割に期待を示した。
ほかにも、さまぁ〜ずの大竹一樹は、コンビでのフジ木曜19時『ミュージックジェネレーション』に加え、ピンでもテレ東水曜22時に『何を隠そう…ソレが!』がスタートする。
なお、『世界頂グルメ』MCの佐藤栞里は、『有吉の壁』(19時台)、『1億人の大質問!? 笑ってコラえて!』(20時台)と合わせ、日テレ水曜GP帯4番組のうち3番組にレギュラー出演することに。沢田プロデューサーは、「この番組は、世界と笑顔でつながっていくということをやり続けていこうと思っています」とコンセプトを説明した上で、それを象徴する存在として佐藤を起用していることを明かしている。
●旧ジャニは「新規起用」「タレントに問題ない」「総合的判断」
昨年来、テレビ界を大きく揺るがせているジャニーズ喜多川氏による性加害問題。被害者への補償や事務所の新体制構築の進捗に伴い、旧ジャニーズ事務所(SMILE-UP.)所属タレントの出演番組の動向に注目が集まっている。
NHKはEテレ、BS、ラジオで計8本の番組を終了させることを発表したが、日テレは嵐・櫻井翔の『1億3000万人のSHOWチャンネル』、所属タレントが主演を務めてきたドラマ枠「シンドラ」が終了。テレ朝はTOKIO・城島茂の『週刊ニュースリーダー』が終了。フジは、TOKIOの『トキタビ』に『KinKi Kidsのブンブブーン』『SUPER EIGHTの あとはご自由に』が終了する(Hey! Say! JUMPは『いただきハイジャンプ』終了で、深夜に新番組スタート)。
同事務所所属タレントの起用の考え方について、日テレの江成部長は「STARTO ENTERTAINMENT、SMILE-UP.の取り組みを注視しながら、適切に判断していく姿勢には変わりはありません」とした上で、系列の読売テレビ制作の新ドラマ『約束 〜16年目の真実〜』にSUPER EIGHTの横山裕が出演することについて「新規起用」と説明。
テレ朝の河野部長は「タレントさんに問題があるとは認識していませんので、これまで通り企画内容を踏まえて、総合的に判断していくことに尽きる」、TBSの渡邉部長は「キャスティング等々に関しては粛々と続けていく」「番組制作の立場で言いますと、推移を見守っている段階。今の段階で方針の変更はありません」とコメント。
フジの立松局長は「総合的な判断で改編作業を行っております」とし、元所属タレントの山下智久と錦戸亮が新ドラマに起用されていることに関しても「ドラマのキャスティングに関しては、何よりも現場の意向が重要になっています」と強調した。
○原作者らと「より緊密に」「丁寧に会話」
年明けのテレビ界を揺るがせたのは、原作者の急死という悲劇のきっかけとなった、日テレのドラマ『セクシー田中さん』の脚本作成過程をめぐる問題。
この件を受け、テレ朝の河野部長は「ドラマの制作に携わる方すべてにおいて、原作者、脚本家、我々制作幹部、スタッフなど様々なレイヤーで、より緊密にコミュニケーションを取って、丁寧に作品を作っていくことを確認しました」、テレ東の工藤仁巳コンテンツ編成部長は「これまでもドラマプロデューサーから原作サイド、出版社と丁寧にお話ししてきたつもりですが、今一度改めてこれまで以上に丁寧に話をして、お互いの理解と納得の下やっていくという方針の確認はしました」、フジの中嶋部長は「原作のあるものを映像表現をするときには、ディレクター、プロデューサー、役者さんなどいろいろな思いが詰まって制作するわけですが、きちんと原作者さん、出版社さんにご理解いただけるように、丁寧に会話していくことに尽きると思っております。これを4月以降も、先々のドラマ、映画、アニメに関して実行していきたいと思っております」とした。
当事者である日テレの江成部長は「原作者である芦原妃名子さんに哀悼の意を表しますとともに、ご遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げたいと思います。今回の事態については、大変厳粛に受け止めております。現在客観性を持って検証すべく、調査チームを立ち上げております」とした上で、「ドラマに関する全ての皆様が安心して制作に臨める体制を作っていきたいというところで今進めております」とコメント。
土曜22時のドラマ枠は、小学館原作の映像化を予定していたが、「『セクシー田中さん』の件を受け、総合的に判断した結果で、企画を変えるというところに至っております。小学館と話し合いを持ち、今回制作を見送ることになったという形になっております」と改めて説明し、別作品を4月中から放送スタートする方向で「調整中」としている。
●「コア」に振り切る日テレ、世帯3冠で「オールターゲット」のテレ朝
2020年春のビデオリサーチによる視聴率調査のリニューアル以来、各局で「コア層」(13〜49歳など)を重点指標の1つに設定してきたが、日テレはついに、編成戦略目標を「個人全体視聴率・コアターゲット視聴率両方3冠」から「コア」に振り切ると宣言した。
TBSは「新ファミリーコア(4〜49歳)とALL(個人全体)を共に獲得できるタイムテーブルを目指します」とし、フジは「“共視聴”No.1のテレビ局を目指します」と方針を定め、「テレビを1人で見る人が大半になっている現代でも、たまには誰かと一緒にテレビを見て、笑顔になって幸せを感じていただきたい」(中嶋部長)と狙いを述べた。
そして、2023年の年間視聴率で開局以来初めて、個人全体が全日・プライムの2冠、世帯がゴールデンを含む3冠を達成したテレ朝は、2015年10月クール以来、8年半ぶりのGP帯バラエティ無改編。河野部長は「特定のターゲットを排除することなく、あらゆる年代の視聴者の皆さんにテレビをご覧いただきたいと考えております。もちろんファミリーターゲットも重視していますし、深夜は若年層をターゲットにした番組を多数編成しておりますが、今後の人口のボリュームゾーンを考えますと、高年齢層の皆様にもしっかりと番組をお届けすることが重要だと思っていますので、様々な時間帯に様々な年齢層の方に楽しんでいただけるコンテンツを供給していくことになります」と、“オールターゲット戦略”の堅持を打ち出している。
先述した各局ゴールデン帯で音楽番組の編成が増加する背景には「コア」獲得という狙いもあるが、テレ東の工藤部長は「うちで言うと、若い層だけに見ていただくような番組の構成や歌にするつもりはないです。視聴率で言うとALL、ご家族で安心して見られるように制作のプロデューサー陣が味付けをして、全体で見てもらえる番組を作りたいと思っております」と、音楽番組コンテンツへの考え方を述べた。
今改編では、タモリの『ブラタモリ』(NHK)が終了し、ビートたけしも『奇跡体験!アンビリバボー』(フジ)を卒業。これでレギュラー番組は、タモリが『ミュージックステーション』(テレ朝)の1本、たけしが『世界まる見え!テレビ特捜部』(日テレ)と『ビートたけしのTVタックル』(テレ朝)の2本のみとなる。
40年にわたりテレビ界のトップに君臨してきた“お笑いBIG3”の2人のほかにも、1987年の番組スタートから『サンデーモーニング』の司会を務めてきた関口宏が勇退し、草野仁は『世界ふしぎ発見!』が38年の歴史に幕を下ろすなど、昭和の時代からテレビを支えてきた司会者たちからの世代交代の流れが、「コア重視」の促進もあいまって引き続き進んでいる印象だ。

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