【ネタバレあり】『めぐる未来』清美役・中井友望×暦役・田中偉登、涙の佳境シーンに込めた思い「役の一番の味方に」

2024年3月16日(土)13時0分 マイナビニュース

●重要な役どころ任され「責任重大」「必死に頑張ろう」
辻やもり氏によるコミックを実写化した読売テレビ・日本テレビ系ドラマ『めぐる未来』(毎週木曜23:59〜)は、“過去に戻る病”を抱える主人公、襷未来(萩原利久)の妻・めぐる(早見あかり)が、結婚記念日に謎の死を遂げたことから、未来が過去へと戻り、めぐるの死の真相に迫っていく考察型タイムリープサスペンス。14日には9話が放送され(現在TVerで配信中)、ついに真犯人が明らかに。21日には、最終回が放送される。
今回は、めぐるの同僚で職場の新人・阿頼耶清美を演じた中井友望、捜査一課の刑事・暦亘を演じた田中偉登にネタバレを含むインタビュー。前編では、“難役”を演じきった思い、役作りについてたっぷりと話を聞いた。
※編集部注:本記事はネタバレを含んでいます。知らない状態でドラマをご覧になりたい方はご注意下さい。
○真犯人役を演じると知ったときの心境
——14日に9話が放送され、お二人が、この物語の真犯人で共犯関係にある兄妹だったことが明らかになりました。まずは『めぐる未来』の出演が決まったとき、犯人役を演じることを聞いたときの心境を教えてください。
田中:利久とは付き合いが長くて、昔から一緒に頑張ってきた仲なので、「一緒にドラマができるんだ」という喜びがまずあって。そのあと犯人役で、さらに中井さんのお兄ちゃん役だと聞いて、いろんな衝撃を受けました。犯人だとバレないように、ワクワクさせられるようにどう演じていけばいいのか、うれしさもありましたが、責任重大だなというプレッシャーが7割ぐらいでした。
中井:私はドラマ出演がまだそれほど多くないので、まず『めぐる未来』に出演できることがうれしいという気持ちでした。原作を読んで、清美役をなぜ私にいただけたんだろうと考えましたが、私にできると思って役をいただけたんだと解釈して、とにかく必死に頑張ろうと思いました。
——読売テレビさんに聞いたところ、偶然同じ事務所のお二人が兄妹役になったということですが、元々交流はあったのでしょうか。
田中:僕は昨年の7月頃から今の事務所にお世話になり始めたのですが、ドラマ『君には届かない。』(TBS、23年)での共演や、お芝居のワークショップで何度も一緒になり、二人とも大阪出身の同い年ということから仲良くなりました。……と思っていたんですけど、現場で会ったときにはすごくよそよそしくて、お兄ちゃんは傷ついたよ!(笑)
中井:私は切り替えがうまくないので、逆にあまり話さないようにしていたんです。
○視聴者の犯人探しにハラハラ「バレていないかな」
——兄妹役とはいえ、お母さんを亡くしたあと、別々に暮らしていたというストーリーですもんね。9話の、二人がこれまでの思いをぶつけ合うシーンは、どのように臨みましたか。
田中:よそよそしい振る舞いに理由があって良かったです(笑)。9話の撮影前に、中井さんが「二人で意見をすり合わせたほうがいいんじゃないか」と提案してくれたのですが、やっぱり別々に生きてきた兄妹なので、一方的な思いがすれ違ってるほうがいいという結論になりました。あえてお互いの考えていることを交換せず、それぞれが自分の役に対して向き合って、撮影を迎えました。
——暦が犯人だという設定はドラマオリジナルですが、その点での苦労があれば教えてください。
田中:ドラマが放送されるたびに、視聴者の皆さんが必死になって犯人を探すじゃないですか。「バレていないかな」と、怖くて仕方がなかったです。僕が演じる暦は原作とドラマオリジナルを合体させたようなキャラクターなので、怪しまれないように、でも少しずつ違和感を残していくというバランスを、常に監督と話し合っていました。
——中井さんも、その辺りのバランスは監督と相談しましたか。
中井:私は、「最初は全く怪しまれないように、ただただ明るいフレッシュな新人の女の子を演じてね。犯人っていうのは忘れていいぐらいだよ」と言われました。……忘れられなかったですけど(笑)。
○9話の佳境シーン「しんどかったです」
——(笑)。そのほか、演じるうえでこだわった部分を教えてください。
田中:8話は暦の単独犯のように描かれ、9話は清美という共犯者の存在が明らかになるというストーリーだったので、暦として、8話では母親への思いをたかぶらせて未来と対峙し、9話では清美への思いを爆発させる、とそれぞれ違ったところに重きを置いて演じました。母親を失ったことで清美との絆が深まり、清美を失いたくないからここまでやってきた、という過程がちゃんと伝わるように、少年時代の暦に戻ったような気持ちで訴えかけたりと、台詞の言い方にもこだわったつもりです。8話では清美の存在を隠すために復讐マシーンを装っていた暦が、9話では涙したり怒ったりと感情をあらわにしたことで、兄としての人間味が出ていればいいなと。
——中井さんのこだわりも教えてください。
中井:9話はとんでもなく台詞量が多く、感情の起伏も激しいので、監督と連絡先を交換してたくさん話し合いました。「この台詞、少し違和感があるんですけど」と相談して、付け足した部分もあります。最初に台本に書かれていた台詞には“復讐”や“目的”という単語がすごく多くて、母親について訴える分量が少なく感じたんです。それだと清美の本当の心のうちが見えにくくなるんじゃないかなと思って。未来くんやめぐるさんに説得されたとき、「じゃあお母さん返してよ」ってすごく言いたくなったので、監督と相談のうえ追加させていただきました。
——清美役として、復讐に至ったお母さんへの思いをしっかり伝えたかったんですね。今お話に出ましたが、9話には、かなりの長台詞で感情をあらわにするシーンがあり、大変だったのでは。
中井:しんどかったです……(笑)。
田中:しんどかったよね!(笑) ドラマなので当たり前なんですけど、何度も何度もいろんなアングルや照明で繰り返し撮って、そのたびに中井さんは全力で清美を演じて。泣きすぎて顔がパンパンになって、声もガラガラで、キャスト陣が「もうやめてあげてほしい」と思うほどの熱演を見せていました。改めて、これが役者という仕事なんだなと。
●自分が役の一番の味方に「僕たちは間違っていない」
○殺人犯の記事を役作りのヒントに
——そんな9話を撮影する前の日は、どんな準備をしたんでしょうか。
中井:“人を殺す”って、すごい精神状態じゃないですか。だから、合っているかは分からないんですけど、殺人犯の記事や本を読んだり、映画を見たりして、どんな気持ちなんだろうと想像して。撮影直前の3日ぐらいは、すごく暗い気持ちで過ごしていました。
——清美という役について考えるだけではなく、“殺人犯”という角度からも、考えを巡らせていたんですね。9話で、お互いのお芝居を見ていかがでしたか。
田中:すごいんですよ、中井さんは。絶対に噛まないし、台詞を間違えないんですよね。僕は9話で涙をわんわん流したんですけど、それも中井さん演じる清美の目を見たときに、切なさとやるせなさと、妹を生かすためにこれまでやってきたという肩の荷が下りた感覚から自然と涙が出てきたので、清美が中井さんで良かったと実感しました。
中井:テストの撮影では私が一番泣いていたのですが、本番では田中さんが泣き始めて、やっぱり人って、相手が泣いていると自分は泣くまいと強くなるというか。お兄ちゃんが泣いていることで、感情を抑えたような清美になったと思います。
○中井が気になっていた本番前の談笑
——相手のお芝居で、自分のお芝居も変化していったんですね。
中井:ちょっと、田中さんに気になることを聞いていいですか? 人それぞれだと思うのですが、こういう大変なシーンや涙するシーンの前に、皆すごく談笑してたじゃない?
田中:(笑)。それ、絶対気になってるんだろうなと思っていた!
中井:純粋に聞きたいんだけど、皆どうして、本番でバッと切り替えられるのかなって。
——難しいシーンの前も、田中さんは和やかに過ごすことができていた、と。
田中:中井さんは一人で気持ちを作り込んでいるのが分かったから、皆でそっとしておこうという感じだったのですが、僕は早見さんや勝村さんと直前までワイワイ話をしていたんですよね。僕も昔は一人で作り込みたいタイプだったんですけど、それだと長い撮影の本番まで集中力が続かなくて、泣けなくなったり、感情が出せなくなったりしちゃって。あえてリラックスして、一度ゼロに持っていってから、切り替えて本番で一気に出す、というスタイルに変えました。特に9話前は、清美の言葉を受けて、返す側の役割だったので、“人の言葉を受ける余白”を自分の中に残すために、あえて人と会話していたかったんです。でも、直前まで包丁の小道具をブンブン振り回していたので、ただのハッピー野郎に見えていたかもしれません(笑)。
○清美と暦なりの正義「タイムリープするほうが悪い(笑)」
——感情の作り方は人それぞれなんですね。お二人は、清美と暦をどんな人間だと解釈して役作りをしましたか。
田中:台本を読んでいても、どちらかというと未来よりは暦に共感できたし、復讐のためにまわりを傷つけるなんて普通の考えではアウトですけど、暦の中には、「母親の復讐をする」「清美を守る」という一本筋の通った正義があって。暦のズレた正義と、未来のまっとうな正義がぶつかるのが、『めぐる未来』の面白さだと思いました。僕は正直、優しい兄である暦のことをひどい奴だとは思えなくて。ただただ、そうするしかなかったんだなと。こんなにも人を思うことができるのだから、何か一つ違えば、正しい方向で生きることができたんじゃないかなと想像をしつつ、誰かを守るために正義を突き通して、自己犠牲もいとわない暦のことを、かっこいい兄だなと思います。もちろん、人を殺しちゃいけないですけど。
中井:私は、自分が清美の一番の味方でいてあげなくちゃなって、撮影期間の数カ月ずっと思っていました。見ている方が、清美に対して「ひどい」、「かわいそう」だけで終わらず、清美の強さと弱さを両方表現することで、「どっちが善でどっちが悪なんだったっけ」と考えさせられるようなシーンを絶対に作りたいと思っていました。
——「清美の味方でいてあげなくちゃ」という思いは、なぜ生まれたのでしょうか。
中井:台本を読んだときから、清美の気持ちが伝わってきて、「間違ってないことをしている」と思えたからです。
田中:「間違っていないよね」と僕たちは思っているんです。どう考えても、タイムリープするほうが悪いだろって(笑)。どの視点から見るかというだけの話で、未来が主人公だから僕たちが悪者に見えるけど、僕たちが主人公だったら未来が悪者に見えるだろうし。清美も暦も、自分たちなりの正義があって、僕たちは悪くない、正しいことをしているという気持ちを持っていたと思います。
——ありがとうございます。インタビュー後編では、萩原利久さん、早見あかりさんの印象をお伺いします。
■中井友望
2000年1月6日生まれ、大阪府出身。2018年「ミスiD2019」で7代目グランプリに選ばれ、2020年、日本テレビ系ドラマ『やめるときも、すこやかなるときも』で女優デビュー、2022年、『サーチライト-遊星散歩-』で映画初主演を果たした。代表作にドラマ『君には届かない。』、映画『少女は卒業しない』、『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』、『炎上する君』、『LIKE THAT OLD MAN』など。NHK総合・NHK BSプレミアム4Kドラマ『ケの日のケケケ』が3月26日放送予定、公開待機作に、映画『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』(8月9日公開予定)がある。
■田中偉登
2000年1月24日生まれ、大阪府出身。2012年、テレビ朝日系ドラマ『13歳のハローワーク』で俳優デビュー、『宇宙兄弟』で映画デビューを果たす。代表作に、ドラマ『無用庵隠居修行』、『東京男子図鑑』、『エール』、『君には届かない。』、映画『るろうに剣心』、『アイスと雨音』、『孤狼の血』、『桜色の風が咲く』、『ぬけろ、メビウス!!』、『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編-運命-/-決戦-』など。映画『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』が公開中。

マイナビニュース

「ネタバレ」をもっと詳しく

「ネタバレ」のニュース

「ネタバレ」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ