『爆上戦隊ブンブンジャー』ブラック、オレンジはいつ加入? 歴代スーパー戦隊の「集まり方」の違いを調査

2024年3月17日(日)9時0分 マイナビニュース

3月3日に放送開始され、きょう17日には第3話が放送されるスーパー戦隊シリーズ最新作『爆上戦隊ブンブンジャー』(テレビ朝日系にて毎週日曜9:30〜)。現在、ブンレッド/範道大也(演:井内悠陽)、ブンブルー/鳴田射士郎(演:葉山侑樹)、ブンピンク/志布戸未来(演:鈴木美羽)の3人が悪のハシリヤンとの戦いを繰り広げている。制作発表会見で発表された、ブンブラック/阿久瀬錠、ブンオレンジ/振騎玄蕃が仲間として加わるのはいつなのか。歴代スーパー戦隊の集まり方の違いを調査していく。
○5人のブンブンジャーがそろう日は近い?
『王様戦隊キングオージャー』に続く、スーパー戦隊シリーズ最新作『爆上戦隊ブンブンジャー』が現在、好評放送中である。歴代48番目のスーパー戦隊となるブンブンジャーは、ヒーローのモチーフに「車」が採用された。これまでのスーパー戦隊シリーズでも、車をヒーローデザインに落とし込んだ作品はいくつかあったが、ブンブンジャーはフェイス部分の前面に大きな「タイヤ」をあしらい、ボディはレーシングスーツのようなシンプルさを強調。自動車そのものをキャラクター化するというより、自動車のパーツをディフォルメした、かつてないインパクトの強いヒーローが生み出された。
バクアゲ1(第1話)「届け屋のハンドル」ではブンレッド/範道大也とブンブルー/鳴田射士郎に、ブンピンク/志布戸未来が加入。3人で「爆上戦隊ブンブンジャー」と名乗り、悪のハシリヤンに戦いを挑む姿が描かれた。しかし、放送前にWEB配信された制作発表会見では、レッド、ブルー、ピンクの他にブンブラック/阿久瀬錠(演:齋藤璃佑)、ブンオレンジ/振騎玄蕃(演:相馬理)という2人の仲間の存在も報じられている。バクアゲ1とバクアゲ2「情報屋は認めない」を観る限り、生真面目な若手警察官の錠、そして大也や未来の手助けをする「調達屋」の玄蕃が、いつ、どこでどうやってブンブンジャーの仲間入りをするのかはまったく不明だが、そう遠くない将来、5人のブンブンジャーがそろう日が来るのは間違いないだろう。
近年のスーパー戦隊シリーズでは、第1話からいきなりスターティングメンバーが勢ぞろいするのではなく、数回エピソードを重ねてメンバーを一人ひとり集めていくという作劇パターンが多い。このコラムでは、歴代スーパー戦隊がどんな形で集まってチームを作り上げていったのか、王道の戦隊から超・異端の戦隊まで、いくつかの例を挙げながらスーパー戦隊の「チームヒーロー」としての特徴を探っていきたい。
○巨大組織の精鋭たち
スーパー戦隊の原点『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975年)は、第1話冒頭で国際平和組織「イーグル」の日本各支部が悪の黒十字軍に襲撃される場面から幕を開ける。黒十字軍の黄金仮面、武者仮面、青銅仮面、ヒスイ仮面、毒ガス仮面によって5つの支部は全滅したが、奇跡的に生き残った者たちがいた。それがアカレンジャー/海城剛をリーダーとする5人の隊員、すなわちゴレンジャーである。ゴレンジャーには国際平和組織イーグル、続く『ジャッカー電撃隊』(1977年)には国際科学特捜隊、そして『バトルフィーバーJ』(1979年)には国防省、『太陽戦隊サンバルカン』(1981年)には地球平和守備隊と、初期のスーパー戦隊にはメンバーを支援する巨大な組織が設定されることが多かった。ゴレンジャーは全滅したイーグル各支部の生き残りであると同時に、黒十字軍の仮面怪人に対抗できる少数精鋭の部隊でもあった。彼らはそれぞれ最初から「地球を守る」という目的で集まっているため、第1話の時点でいきなり戦闘用の強化服を装着しても特に問題なく、スムーズに任務として受け入れていた。いわば「戦闘のプロ」が集合し、巨大な力で悪と戦うチームが自然に出来上がっていたわけだ。組織に属しているからこそ、途中で戦線離脱するメンバーがいたとしても、予備軍として訓練を積んだ後輩戦士が控えているため、交代がスムーズに行われたりした。
○運命の戦士たち
それまで地球を守る戦いを経験したことのない「一般の若者たち」が抜擢され、チームを組むパターンが初めて生まれたのは『電子戦隊デンジマン』(1980年)となる。デンジマンの5人には、イーグルや国防省のような組織的な背景がない。その代わり彼らには、2000年前に滅亡した「デンジ星」の超科学で作られたメカニックや、巨大ロボット・ダイデンジンが頼もしい味方についていた。5人をデンジマンに任命したのは、デンジ星で作られた高性能ロボット・デンジ犬アイシー。アイシーは宇宙からの侵略者ベーダー一族から地球を守るべく、正義感の強い勇気ある青年たちを選び出したのだ。第1話では、デンジマンとなる資質を見出された5人がアイシーと意志を通じ合わせ、詳しいことが分からないままデンジリング(指輪)を託され、ベーダー怪物と戦っている。しかし、やはり集められたのがあまりにも急すぎたのか、第2話ではデンジピンク/桃井あきらがテニス選手としての夢をあきらめきれず、メンバー加入を(一時的に)拒む場面が見られた。やがて、テレビ放送からおよそ半年後となる1980年7月に公開された劇場版『電子戦隊デンジマン』において、滅亡をまぬがれ地球に飛来していたデンジ星人の「生き残り」がいたという設定が作られ、デンジマンの5人がデンジ星人の末裔なのでは? という可能性まで示唆された。エピソードの積み重ねによってヒーローのオリジンが少しずつ明かされるという、スケールの大きな物語展開が『デンジマン』の大きな魅力となった。500年前にバイオロボから「バイオ粒子」を浴びた人間の子孫が集められた『超電子バイオマン』(1984年)や、自然を愛し、妖精シーロンの存在を信じる純粋な心を持った高校生5人だけが変身可能な『高速戦隊ターボレンジャー』(1989年)、精神エネルギーの一種・ダイノガッツが強い者しか爆竜チェンジできない『爆竜戦隊アバレンジャー』(2003年)など、必要な「条件」を満たして初めて戦士になることのできるスーパー戦隊は数多い。
○即断即決の戦士!
実は何千年も昔から戦士になることを運命づけられていた(かもしれない)『デンジマン』のような特殊なケースと異なり、国際的な組織に属していたわけでもない、本当に普通の青年たちが集まって、地球を脅かす邪悪な敵と戦うことになったのは『大戦隊ゴーグルファイブ』(1982年)が最初だといえよう。ゴーグルファイブの場合、未来科学研究所のコンピューターが暗黒科学帝国デスダークと戦うため、もっともふさわしい人材として5人の若者を選び出したわけなのだが、第1話を観ていると、コンピューターボーイズアンドガールズ(5人の少年少女)に選ばれた赤間健一たちがゴーグルファイブの使命を受け入れるまでの「速さ」に驚かされる。本郷博士の「みんな、やってくれるね」という言葉が終わるか終わらないかのタイミングで、黒田官平は「やってやろうじゃないか!」と応える、このハイテンポさが心地よいのだが、実は『ゴーグルファイブ』の最初期の構想では、ここまで物分かりのよいメンバーがそろっていたわけではなかった。企画書のキャラクター設定によると後にゴーグルブラックとなる黒田は「メンバーが集まっても、ひとり黙して動かない」と記述されていた。続けて「自分の命を預ける本郷博士と、リーダーの赤間をその目で確かめ、互いに力を合わせる仲間を知り、自分の役割が作戦参謀であること、それらすべてを知らねば動かない……いや、動けない、そういう男だったのである」といった一文があり、仲間を信頼に足る人物だと見極めるまで動こうとしない黒田の慎重な人物像がうかがえた。おそらく、実際にこのような黒田のこだわりを描写すると、アクションシーンやメカ特撮シーンの時間を圧迫する恐れがあったため、完成作品ではドラマ部分がタイトにまとめられたのではないかと推測される。
○熱いドラマのジェットマン
続く『科学戦隊ダイナマン』(1983年)では、発明の資金援助をしてもらえると聞いて集まった5人の若者たちが、夢野博士から「人類を救えるのは君たちしかいない」と、有尾人一族の地上侵攻の危機を伝えられると、「よしやろう!」と即答する場面が見られる。彼らは夢野発明センターに到着するまでの道のりですでに有尾人一族の襲撃を受けており、戦士として戦うためのウォーミングアップがすんでいた、と考えるべきだろう。戦士への任命を「秒」で受け入れたダイナマンとはまったく反対のケースとして印象深いのは『鳥人戦隊ジェットマン』(1991年)である。本来ジェットマンは、軍事組織スカイフォースの隊員たちが、肉体を強化するためのバードニックウエーブを浴びることになっていたのが、進んでウエーブを浴びたのはレッドホーク/天堂竜のみで、あとの4人はまったくの偶然からウエーブを浴びた一般人というのがユニークだった。経緯はどうあれ、一般人であってもウエーブを浴びたからにはジェットマンになってもらわないと……と、竜はホワイト、イエロー、ブルーと順番に仲間を集めていく。『ジェットマン』がそれまでのスーパー戦隊と少し違うのは、レッド以外のメンバーが当初、戦いの経験はもちろん、戦士としての心構え的なものがまったくない「素人戦士」から始まっているところだった。中でもブラックコンドル/結城凱は群れるのが嫌いな根っからのアウトロー。本来ならば絶対に「戦隊」メンバーにならないような人物がなりゆきから戦士となり、激しくぶつかりあいながら友情や愛情を深め、やがて本当の戦士、かけがえのない仲間同士になっていくという『ジェットマン』世界でしか描けない熱いドラマが生み出された。
『ジェットマン』は第1話段階でメンバーが3人しかそろわず、第2話でとりあえず5人の戦士が同一画面に収まったものの、彼らが本当の仲間として強い絆が生まれるまで、かなりのエピソードを必要とした。『忍者戦隊カクレンジャー』(1994年)でも、第1話ではリーダーのニンジャホワイト/鶴姫のもとに集まったのはニンジャレッド/サスケとニンジャブルー/サイゾウの2人。ジェットマンやカクレンジャーは、最初からまとまったメンバーがそろっておらず、1人ずつ地道に集めていくスーパー戦隊の先がけといえるだろう。
○スーパー戦隊かく集まれり
第1話(ブレイブ1)で変身後の5人はそろうものの、キョウリュウレッド/桐生ダイゴ以外のメンバー全員が素性を伏せようとした(初期のみ)『獣電戦隊キョウリュウジャー』(2013年)や、ヒトツ鬼が出現したら強制的に集合させられるものの、メンバー全員の変身前と変身後をはっきり認識しあうまでかなりの歳月がかかった『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』(2022年)のような、変わり種のスーパー戦隊もあった。『宇宙戦隊キュウレンジャー』(2017年)ではキュータマに選ばれた「究極の救世主」を探すため、広大な宇宙を飛び回る仲間たちの奮闘が描かれ、『機界戦隊ゼンカイジャー』(2021年)はゼンカイザー/五色田介人と意気投合したキカイノイドたちが1話につきひとりずつ、濃厚なキャラクター性を紹介しながら集められた。『王様戦隊キングオージャー』(2023年)はチキューにある5つの王国を治める「王様」がいかにして集結し「戦隊」という形を取るのかを大河ドラマ風に描いた作品だけに、王様一人ひとりが一筋縄ではいかない個性を備え「この人たち、ほんとうにスーパー戦隊の形に収まってくれるのだろうか」と観るほうが心配するような、奔放かつ活き活きとした動きが強いアピールポイントとなった。
「自動車」に「動物」の属性をプラスした炎神とタッグを組んで、地球を汚すガイアークに挑む『炎神戦隊ゴーオンジャー』(2008年)は当初、レッド、ブルー、イエローの3人でチームを組んでいたが、早い段階でブラックとグリーンが加入し、ファミリー的なチームワークが印象的な「5人戦隊」となった。リュウソウ族の幼なじみ3人組(レッド、ブルー、ピンク)とブラック・グリーン兄弟がなかなかひとつにまとまらなかったものの、打ち解けてからは見事なチームワークを発揮した『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(2019年)というケースもある。『忍風戦隊ハリケンジャー』(2002年)では、3人戦隊のハリケンジャーと2人コンビの「電光石火ゴウライジャー(カブトライジャー、クワガライジャー)」は忍びの流派が異なり、当初は実力が上のゴウライジャーがハリケンジャーを手玉に取るという、緊張感のある関係が続いた。仲間として両者の絆が深まった後半のエピソードでも決して5人戦隊ではなく、ハリケンジャーとゴウライジャーという2つのチームであることが強調されていた。
このように「スーパー戦隊」シリーズでは1作ごとにメンバー集合の経緯や、戦う姿勢などについて明確な「違い」があり、バラエティに富んだ作品世界を楽しむことができる。最新スーパー戦隊『爆上戦隊ブンブンジャー』のヒーローたちもまた、歴代スーパー戦隊が大切に守ってきた骨子の部分……「友情や団結、時に対立などを描く魅力的なキャラクタードラマ」を継承しつつ、独自の濃密な個性を打ち出して多くの子どもたちから愛され、親しまれる存在になってくれるに違いない。
(C)テレビ朝日・東映AG・東映
秋田英夫 あきたひでお 主に特撮ヒーロー作品や怪獣映画を扱う雑誌・書籍でインタビュー取材・解説記事などを執筆。これまでの仕事は『宇宙刑事大全』『大人のウルトラマンシリーズ大図鑑』『ゴジラの常識』『仮面ライダー昭和最強伝説』『日本特撮技術大全』『東映スーパー戦隊大全』『上原正三シナリオ選集』『DVDバトルフィーバーJ(解説書)』ほか多数。 この著者の記事一覧はこちら

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