自営業だと老後の資金は5000万円必要!?資産形成とは別にiDeCoで年金をつくるべき理由
2024年3月28日(木)12時30分 婦人公論.jp
ちーさん「現在、高齢者の生活保護件数が年々増えているのをご存じでしょうか」(写真提供:Photo AC)
今年1月から新NISAがスタートし、投資に興味が出たものの、「何から始めていいのか」「本当に素人でも利益が出せるのか」と不安な方は多いはず。今回は、30代前半で3000万円の資産形成に成功し、「素人投資家」を自称しながらも、セミリタイア生活をしている元OLのちーさんに、iDeCoの活用法や投資の基本を教えていただきました。ちーさんいわく、「第1号被保険者は必ず自前年金をつくるべし」だそうで——。
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確定拠出年金が必要なのはこんな人
NISAは小さな自由が買える小さな資本をつくるために活用するものですが、確定拠出年金(企業型DC、iDeCo)は老後の資金準備に活用するものです。
老後の資金がどのくらい必要か? は人それぞれの生活レベルや家族構成によっても変わってきますが、現在平均的な暮らしの夫婦の場合で年金以外に2000万円必要と言われていることを考えると、それ以上には必要になることが予想されます。
なぜかといえば、少子高齢化によって公的年金の支給額が下がっていること、そして物価高によって今より支出が増える可能性が高いからですね。
それをふまえて、現在30代である私が老後に備えて最低限用意しておきたいと思っている金額は、
・会社員(第2号被保険者)で3000万円
・自営業(第1号被保険者)で5000万円
※家賃もしくは住宅ローン有を想定
※夫婦の場合はこの1.6倍
です。
確定拠出年金が必要かどうか
え? 金額が大きすぎて用意できる気がしない? しかし、実際にこのくらい必要になる可能性も十分にあるわけです。
また、NISAのほうで元本として3000万円維持できていれば、あとは確定拠出年金を追加して足りない分を補えばいいだけ。
そう思うと、結構できそうな気がしませんか?
会社員よりも自営業のほうが2000万円も多く必要なのは、会社員は厚生年金に加入している第2号被保険者で、自営業やフリーターは国民年金に加入している第1号被保険者だから。
『自由に生きるためにお金にも働いてもらうことにしました。 お金持ちでも投資の天才でもない私たちの新NISA、iDeCo戦略』(著:アラサーdeリタイア管理人 ちー/かんき出版)
そのため、とくにこの確定拠出年金は第1号には必須の制度です。
そして、会社員の場合は退職金とNISAで必要な老後資金が十分確保できるので、さらに確定拠出年金をする必要はありません。
しかし、退職金がない方の場合は退職所得控除の非課税枠もまるっと使えますし、万が一に備えてiDeCoを追加でやるのがおすすめです。
逆に、退職金が1000万円以上ある方が確定拠出年金もやると、非課税枠を超えてしまってその分課税される恐れも。そのため、まずは次のチェックフローチャートを参考に、自分には確定拠出年金が必要か確認してみてくださいね。
第1号被保険者は必ず自前年金をつくるべし
自営業やフリーランスなどの第1号被保険者は、第2号被保険者である会社員と違って、将来受け取れる年金額が少ないです。
実際に比較してみると、令和3年度の厚生年金の平均受給額は月約14万円なのに対して、国民年金は約5万6000円と半分以下。満額でも月約6万5000円でした。
ということは、厚生年金よりも少ない月7万5000円分を、65〜84歳の約20年間自分で賄おうと思うと、1800万円も多く必要になるんですよね。
そのため、結構びっくりするような大きな金額ではあるんですが、第1号の場合はこのくらい多く準備しなくてはいけないのです。
資産形成とは「別枠」で年金をつくる意味
ところで、現在、高齢者の生活保護件数が年々増えているのをご存じでしょうか?
年金制度の崩壊もたびたび話題になりますが、この先、生活保護件数が増えすぎれば、生活保護制度も危ないかもしれません。
その場合、第2号であれば年金だけで月約14万円の収入があるのに対し、第1号は半分以下。
ということは、第1号のほうが生活保護に陥る可能性が高いと言えますが、その制度も崩壊していれば、本当に路頭に迷ってしまうかもしれないのです。
第1号の場合、国民年金基金や小規模企業共済、別途保険等で老後の資金を準備している方も多いでしょう。
そのため、それらを合計して2000万円程度あればOKです。
しかし、運用益非課税かつ所得控除になるiDeCoは、将来受け取れる期待値と節税面ともに、私はナンバーワンだと思っていますので、このiDeCoを一番に活用することをおすすめします。
また、自営業の場合、事業の失敗等で負債を抱える確率も会社員と比べて高いですよね?
その場合、資産はNISA口座も含め基本的に差し押さえられますが、国民年金、国民年金基金、小規模企業共済、確定拠出年金等は差し押さえが禁止されている(一部例外あり)ため、老後の資金として安心して積立ができるのです。
そういった意味でも、資産形成とはまったくの「別枠」で、年金はつくる意味があると思っています。
※本稿は、『自由に生きるためにお金にも働いてもらうことにしました。 お金持ちでも投資の天才でもない私たちの新NISA、iDeCo戦略』(かんき出版)の一部を再編集したものであり、2023年11月時点の情報です。
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