錦戸亮、反町隆史、山本耕史――40代で再ブレイクを迎えた俳優のきっかけとは?

2024年3月30日(土)18時0分 マイナビニュース

最近、ドラマでよく見かけて、どうにも気になってしまう"イカしたおじさん俳優"たちがいる。私がチェックしているところでは、錦戸亮反町隆史山本耕史だ。3人とも若い頃は事務所の意向なのか、完全にイケメン正統派路線で売っていた記憶がある。それが年輪を重ねていくうち、少しずつ路線を変えて令和に新しい形でブレイクをしている。
世間でも人生100年時代だと騒がれている昨今、そこには不安しか見えてこない。いつまで働くのか、働けるのか。生活費は捻出できるのか。そんな最中に人生の大波小波を乗り越えて、悠々と進んでいく彼らの背中は憧れそのもの。3人の何が新しい魅力を生み出し、今、スターとして輝くのかを探ろうと思う。
○元スーパーアイドルは対応力100点満点
この春、4月にスタートする医療サスペンスドラマ『Re:リベンジ-欲望の果てに-』(フジテレビ系)。主演の赤楚衛二のライバル役? になるのが、錦戸亮だ。なんと今年の11月には40歳を迎えるというから驚いた。もう彼はおじさんの領域に踏み込んできたのか。
彼がアイドルグループ旧・関ジャニ∞のメンバーだったことは周知の通り。さらに多くのタレントが所属する中でも、抜きん出て演技の主演作が多かった。『1リットルの涙』(2005年)では泣かされたし、『ラスト・フレンズ』(2008年)での、DV青年の役には驚かされた。ご本人の経歴がそのまま反映されたような『パパドル!』(2012年)も、個人的に好きだった。そして『トレース〜科捜研の男〜』(2019年)をラストに、所属事務所退所もあって、彼の姿をまったく見なくなった。
もちろん退所以降も、アーティストとして様々な活動は続けていたはず。ただ熱心なファンでない限り、その姿を追うことはできない。このまま錦戸亮を見られないのかと、モヤモヤ。
その空気が一転したのは『離婚しようよ』(Netflix)への出演だ。パチアートこと、加納恭二役はマスターベーション全開のアート作品を作りながら、世間ズレしているうえに、パチンコで生計を立てているという立派なクズ男。でもとんでもないイケメンというシチュエーションが、世の女性を刺激した。
以前の彼の役柄は、俳優の王道は外れることはなかった。それが自由の身となって、イケメンをコメディという盾にすり替えて演じたら大正解。彼が前事務所で身につけたものなのか、対応力は完璧だった。その後は、映画やドラマに続々と出演するという快挙……ではなく、以前の活躍ぶりに戻ったわけだ。
先日、彼に某女性向け媒体からの取材を申し込んだら「錦戸さん、いくつも作品を抱えていて、本当に時間がないんです」と断られたことがある。彼の人気はそこまで戻ってきたのだ。俳優・錦戸亮についてなら脳内に保存したデータを材料にいい質問ができると思うので、またトライさせてください。
○90年代、絶対的ヒーローの輝きは衰え知らず
26年ぶりの復活となる『GTOリバイバル』(関西テレビ・フジテレビ系 4月1日放送)に湧く春。主役はもちろん、反町隆史。
1990年代に絶大な人気を誇り、髪の毛をかき上げる仕草だけで女性が卒倒したという伝説も残っている反町。ただ女の気持ちの流れは早いもの。有名女優との結婚がネックとなったのか、『ビーチボーイズ』(1997年)に主演していたような勢いが感じられることがなかった。ただ彼はそんなことを気にしている雰囲気は1ミリも見られなかった。『相棒』(2000年)など往年の人気作品に出演して、淡々と俳優力を磨いていたというイメージだ。
ここまでの流れに変化の兆しが見えたと、私が感じたのは『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(2018年)、『オールドルーキー』(2022年)の、バイプレイヤーとしての出演だった。「あの反町の番手が主役ではない……?」。この二作で見た反町は、白髪を隠すことのない自然体なイケてるおじさんだった。以降、着実にプライム帯の露出が増えていく。そしてテレ朝での『グレイトギフト』での主演、『GTOリバイバル』へと点と点が繋がる。
彼は一瞬だけ世間の記憶から薄くなったけれど、一貫してカッコ良さを切らすことはなかった。どんなことがあっても路線を貫く。それが40代後半から50歳にかけての、再ブレイク術ではないか。溢れるスター性とは隠しきれないもので、どうしてもセンターに立ってしまう人物がいるけれど、まさにそれ。言いたいことが本当に言えなくなっちゃった令和で、彼は何を見せてくれるのか。
○車椅子の少年は「困った時のあの人」に成長した
ドラマ、CM出演が途切れないコミカルな演技のあの人といえば、山本耕史。若い子に言っても信用してもらえないと思うが、子役から活躍していた彼が最初のブレイクを見せたのは心優しく、穏やかな役柄だった。
それが『ひとつ屋根の下』(1993年)の6人兄弟の末っ子役だ。不慮の事故で車椅子生活となった、柏木文也役。人気作品なだけに、彼への関心度も上昇。その後も前述の3人と同じく、正統派として順調に作品へ出演していた。ただなぜか深く印象に残った作品がないのは何故だろうと振り返る。あの作品にもこの作品にも出演していた、という記録のポストイットは貼られていても、観る側に踏み込んでくるものがなかったのだ。紅白の司会も務めたことがある人なのに「普通に演技がうまい人」というゾーンから抜けていなかった気がする。
このゾーンから抜け出した雰囲気を感じたのは42歳で出演した『きのう何食べた?』(2019年)の芸能事務所の社長役。強面と見せながら、年下の彼氏にはめっぽう弱いというクセのある役。そこから『クロサギ』(2022年)で演じた、詐欺師。この近辺は胡散臭い役が増えている。真実はわからないけれど、週刊誌で彼が独立して、どんな役でも引き受けるようになったという記事を読んだ。確かに平成後半から感じる彼はインパクトがあって「あの役だよね」と、車椅子の少年以来の印象が残っている。
そしてシニカル、コミカルといった一癖のある役は彼の十八番となったわけだ。傍目に見ていると、自我の解放という気もする。私生活での交際0日婚など、やや突飛な一面を持つ山本。それだけに、現在の弾けたもん勝ちの再ブレイクに不思議はない。
4月からは『花咲舞が黙っていない』(日本テレビ系)で相馬健役が予定されているが、ここまで培ったキャラクターをふつうの演技で崩すことのないよう、願わんばかりである。
小林久乃 こばやしひさの エッセイ、コラム、企画、編集、ライター、プロモーション業など。出版社勤務後に独立、現在は数多くのインターネットサイトや男性誌などでコラム連載しながら、単行本、書籍を数多く制作。自他ともに認める鋭く、常に斜め30度から見つめる観察力で、狙った獲物は逃がさず仕事につなげてきた。30代の怒涛の婚活模様を綴った「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」(KKベストセラーズ)を上梓後、「45センチの距離感」(WAVE出版)など著作増量中。静岡県浜松市出身。Twitter:@hisano_k この著者の記事一覧はこちら

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