アニメだからこその表現で“日本”を描く『めくらやなぎと眠る女』7月公開決定
2024年4月10日(水)18時0分 シネマカフェ
音楽家でアニメーション作家のピエール・フォルデスが村上春樹の6つの短編(「かえるくん、東京を救う」、「バースデイ・ガール」、「かいつぶり」、「ねじまき鳥と火曜日の女たち」、「UFOが釧路に降りる」、「めくらやなぎと、眠る女」)を翻案した本作。
ピエール・フォルデス監督にとって初の長編アニメーションで、2022年6月、世界最大のアヌシー国際アニメーション映画祭でプレミア上映され、同映画祭で審査員特別賞を受賞。2023年3月に行われた新潟国際アニメーション映画祭では見事第1回目のグランプリに輝いた。
同映画祭の審査員を務めた押井守は本作の受賞理由として、「現代文学を表現する最適のスタイルなんじゃないかということで、3人の審査員の意見が一致した、唯一の作品」とコメント。ピエール監督自らが音楽も手掛ける本作は、レザルク・ヨーロッパ映画祭作曲賞を受賞したほか、世界各国の映画祭に出品され高い評価を得ている。
この度解禁された日本版ビジュアルは、読者からも非常に人気の高い“かえるくん“を軸に、小村、片桐、キョウコら登場するキャラクターが内包されている。そしてかえるくんに寄り添う猫(ファンにはお馴染みの“ワタナベノボル“)にも注目。
さらに予告編では、音楽や絵画など様々なアートに精通するフォルデス監督ならではの感性で、日常からシームレスに非日常に導かれていく本作の魅力の一端を垣間見ることができる。
「平凡な日常世界において、現実と内面の両方で起こった劇的な出来事によってその世界が揺るがされるちょっとマジカルな物語を、独自の方法で語りたかったのだ。マジックリアリズム的世界観でこの精神生活を見せるには、アニメーションは完全な手法だと感じている。なぜなら全てを一から作り直す必要があり、それが現実とのずれを生みだすからだ。このずらしと転移の必要性が私の監督としてのアプローチには不可欠なのだ」と監督が語る通り、アニメーションだからこそ実現できた“日本“の物語となっている。
さらに予告編には村上春樹氏との共著でも知られる米文学者で翻訳家の柴田元幸からの「どんな物語も映画も多かれ少なかれ、現実と想像、外界と内面、現(うつつ)と夢とのあいだにいつのまにか建てられてしまった門を開けてくれる装置であるわけだが、この映画はその役割をとりわけしなやかに、深く軽やかに果たしてみせる」とのコメントも収められている。
『めくらやなぎと眠る女』は7月26日(金)よりユーロスペースほか全国にて公開。