ベアーズ創業者「家事代行サービス」を日本に根づかせることがなぜ大事なのか?志というのは「好き」をはるかに超えたところにある

2024年4月13日(土)12時0分 婦人公論.jp


(写真提供:ベアーズ)

東京都の発表によると、2024年1月時点で従業員30人以上の都内企業のテレワーク実施率は約41%だそう。新型コロナウイルス感染症の蔓延によって、急速にテレワークが普及しました。そのようななか「家での食事回数も掃除の頻度も増え、『家事を手伝ってほしい』という需要が高まりました」と語るのは、株式会社ベアーズ取締役副社長・高橋ゆきさん(「高」は正しくは「はしごだか」)。高橋さんは、「志というのは、夢中になって時を忘れ、成し遂げたいと思うもの」と言っていて——。

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苦しくなるのが仕事、楽しくなるのが“志事”


私は仕事のことを“志事”と呼んでいます。

社会人になると仕事は人生の大半の時間を占めるもの。その仕事を自分の志と一体化させ、天命・天職ととらえて生きることができれば、とても幸せなことです。

志というのは、夢中になって時を忘れ、成し遂げたいと思うものです。「好き」をはるかに超えたところにあります。情熱と覚悟を持ってやりたいことです。

人に与えられ、「やらねばならない」という感覚でやる仕事というのは、続けるうちにどんどん苦しくなってしまいます。

一方、志と一体化させ、夢中になって取り組める“志事”は、やればやるほど楽しくなります。

私の志は、日本に家事代行サービスを根づかせること。

「誰もが日々の暮らしから幸せを感じる社会をつくること」を“志事”と考え、「お茶の間の幸せ度数を上げ、世界に幸せの循環を生み出したい」という想いで走り続けてきました。

正直、「好き」だけでは、とても超えられないことの連続でした。

志として、愛と誇りと希望を持って追求してきたからこそ、途中でくじけずに、ここまでやり遂げることができたのだと思います。

偉業


少し前に、元国民的プロ野球選手の王貞治さんにお話を伺う機会がありました。

通算868本のホームラン世界記録を持つ王さんによると、ホームランを打った瞬間にボールがどこまで飛ぶかが分かるそうです。

その時の感覚・爽快感は何物にも代えがたかったそうですが、それ以上に、自分がホームランを打てば観客が喜び、スタンドが沸き上がり、日本中の国民が勇氣や希望を持ち、国中が一つになるような感覚を抱いていたといいます。

日々の練習は本当にきつく、苦しいものだったと思いますが、王さんは「ホームランを打ちたい」という一心で、少しも氣をゆるめることなく、練習に魂を込め、全力を注いでいました。

ホームランを打つことが、自分にとって一種の使命、お役目のように感じていたそうです。

このお話を聞いて、王さんは、プロ野球選手という職業を、まさに“志事”ととらえていたのだと感銘を受けました。覚悟を持ち、志を全うすることだけを考えていたのだと思います。

「プロなんだから手を抜かずに、もっとしっかり練習しろ」と言われているうちはそこまでだということをおっしゃっていましたが、“志事”と腹をくくり、志と行動を合致させ、人生を懸けて臨んだからこその偉業だったのだと改めて感じました。

なお話はややそれますが、私は「氣」の文字に、旧字を使っています。气(きがまえ)の中の「米」は四方八方に広がるイメージを表し、「氣」の字はエネルギーを発散している様子を示している、と考えているからです。読者の皆さんにもそうしたエネルギーを感じてもらいたいので、ところどころで「氣」の字を使わせていただいています。

人生の中心に何を残したいですか?


あなたは、限りある命を、何に使いたいですか? 人生の中心に何を残したいですか? 私はどちらの問いにも、「志を貫くこと」と答えます。

志を見つけるには、心と体で感じることです。何があなたの心を突き動かすのか。魂を喜ばせるのか。「生きている」という実感を得られるのか。それを見つけることです。


きれいになったのが楽しくて、靴磨きを仕事にしようと思う人もいるかもしれません(写真提供:Photo AC)

両手に重い荷物を抱えて歩くおばあさんを助けて、喜ばれたのがうれしくて、介護士を目指す人もいるでしょう。

汚れが取れずに困っている人の靴を磨いて、きれいになったのが楽しくて、靴磨きを仕事にしようと思う人もいるかもしれません。

使命とは


理屈ではなく、夢中になって突き動かされ、「これが私の使命」と感じることを“志事”にしていけばいいのです。

使命とは命を使うと書きますが、あなたが今、命を使っていることを志と認識できればそれはなんと素敵なことでしょう。

仕事を“志事”にしましょう。その心の持ち方、考え方で人生はより楽しく充実したものとなります。あなたの命は、キラキラと美しく輝き出すはずです。

※本稿は、『ウェルビーイング・シンキング』(日経BP)の一部を再編集したものです。

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