長谷川博己、7年ぶり日曜劇場主演に喜び 弁護士役のため裁判を傍聴 “人が人を裁く”難しさ実感

2024年4月14日(日)8時0分 マイナビニュース

●長セリフが多い役にやりがい「大変名誉なこと」
きょう14日にスタートするTBS系日曜劇場『アンチヒーロー』(毎週日曜21:00〜)で主演を務める俳優の長谷川博己にインタビュー。7年ぶりに日曜劇場で主演を務める心境や、アンチな弁護士の役作りなどについて話を聞いた。
本作は、視聴者に“正義とは果たして何なのか?” “世の中の悪とされていることは、本当に悪いことなのか?”を問いかける物語。犯罪者である証拠が100%そろっていても無罪を勝ち取る、殺人犯をも無罪にしてしまうアンチな弁護士を長谷川が演じる。
長谷川が日曜劇場の主演を務めるのは、2017年放送の『小さな巨人』以来、7年ぶり。オファーを受けた時は喜びを感じたという。
「日曜劇場はすごく上質なドラマが作られている枠ですので、お話をいただいたことが素直にうれしくて。また、いわゆる法廷というか、何が正義で何が悪かを題材とした、重厚感のある作品に出られるというのはすごくうれしいなと思いました」
台本を読み、より期待感が高まったという。
「単純にエンターテインメントとしてどうなっていくんだろうというのがすごく気になったというか、放送されたら次どうなるんだろうと期待させてくれる作品になるのではないかなという気がしました」
正義の価値観をテーマにした作品ということで難しい印象があるが、わかりやすさを意識して演じているという。
「法廷の言葉など、堅い言葉が多いですが、役者としてはできるだけそういった言葉をわかりやすく、無機質な言葉にどれだけ感情を乗せられるかを考えながら、そして、どういう風にしたら見ている人たちがわかりやすくなるか考えながら作っていかないといけないなというのはずっと考えています」
法律用語を含む長セリフも多い。「僕はなぜか長セリフが多い役を演じることが多いんですけど、それは大変名誉なことでうれしいです」とやりがいを感じているようだ。
「何時何分にどうだったとか、何条何項のなになにとか、ちょっとした数字でも間違えたらいけないという緊張感もありますが、そういうのも含めて、できるだけわかりやすく。法廷で何度か傍聴させてもらった時に、傍聴席も巻き込もうとする弁護士もいるというのが印象的でしたが、そういう意味では、視聴者に対しても優しく、わかりやすく、言っている言葉が難しくても、その人の感情や流れを見れば、なんとなくこういうこと言っているのかなというのがわかるような感じで作れたら一番理想だなと思っています」
○裁判を傍聴して“ドラマのヒントになる”と感じた点とは?
裁判を傍聴したことで、法廷の雰囲気を感じることもできたと振り返る。
「法廷の中は独特の雰囲気というか、ここで法律によって、人が人を裁くという、これは本当に難しいことなのではないのかなと思ったりもして、複雑な気持ちになりました」
また、「見た時の雰囲気も大事だな」と感じたという。
「裁判員の人たちにとって、被告人がどういう容姿で、どういうしゃべり方をしているのかとか、見た目や身振り素振りなども影響することを思うと、法律だけで決めてよいものかと思ったし、かといって感覚だけに頼ってもいけないのではないかとも感じました。そこがこのドラマのヒントにもなるのかなと思いました」
そして、「いろいろなタイプの弁護士がいることもわかり、そういう意味では自由にできるなというのはあります」と役作りの参考に。その上で、自身が演じるアンチな弁護士について、「よくわからない人間なんです」と語る。
「何かがあって、そういう行動をしているのかという風にも見えるし、本当難しいところで、演じる僕も混乱しますが、それが面白い。見る人も始めは『この人は何者なんだろう』という風に思うのかなと。それが結局、法が人を裁くということの不条理な側面にも通じればいいかと思って、そういったことも少し意識して演じています」
こういう人間だと言い切れない、真意がつかめない主人公。自身にとって挑戦だと感じる部分もあるという。
「見る方々をミスリードさせたり、後で伏線に繋がるような感じになったりもするので、そこはちゃんと考えないといけませんが、キャラクターはそれに振り回されずワンシーンごとを演じていくというか、人格がはっきりとは言えない感じです。多重人格ではないと思いますが、いろんなことをやってみようと思っていて、挑戦的なところがあります」
●8年ぶり共演の北村匠海堀田真由から刺激
「正義が本当に正義なのか、悪が本当に悪なのか」を問いかける本作。長谷川は、正義と悪をはっきり区別できないのではないかとも感じているという。
「法治国家だと法律で決まっていることに従いますが、傍聴していてもその辺がちょっと複雑な気持ちになりました。正義という言葉も深く考えると複雑ですし、そう考えたら悪というのも単純に悪と言えるのかという風になって、そうすると深みにハマってしまう。だから、いろんなことを考えました。人間は本能もありますが、その本能をダメとするものもある。その辺がわからなかったです」
そして、自身が演じる主人公について「正義だと思っていながらも、本当にこれは正義なの? とみんなが思っていることはたくさんある。そういうのを僕のキャラクターがバッと世にさらすような痛快感はあるかもしれません」と言い、「むしゃくしゃするものをスパーンとやってくれるキャラクターにしたいなと。よくわかんないな、これどっちなんだろうというのを、はっきりさせてくれるキャラクターにしたいと思っています」と語った。
○「若手の姿を見て得られるものはたくさんある」
同僚弁護士役の北村匠海と堀田真由とは、どちらも8年ぶりの共演。「2人ともやはり素晴らしいですよ。現場も和やかですし、けっこう年は離れていますが、すごく支えてもらっていて助かります」とほほ笑む。
そして、2人とも大人になったなと実感しているという。
「初めて会った時、10代でしたので。みんなこういう世界で揉まれていくと、そうなってくんだなと。匠海くんに関しては生徒(役)だったので、なんとなく今でも先生みたいな感じになってしまいますが、今回はまた全然違う関係性ですし、僕も刺激をもらっています」
また、「2人もそうですが、今の人は(お芝居が)うまいですよね。普通にさらっとやられますよね」と演技を称賛。若手キャストを見ていると時代の変化も感じるそうで、「時代が求めるものがあると思うので面白いです。世の中の流れとかいろいろもらっている感じで、若手の姿を見て得られるものはたくさんあるなという気がしています」と語る。
パラリーガル役で大島優子も出演。若手が多い現場となり、「いつの間にか僕もそんな風に。みんな年下になってしまって。いつも先輩に『すみません!』みたいな感じで、よく怒られていたのに、いつの間にかそういう風に変わっているというのがびっくりします」と驚きを口に。
本作には、弁護士事務所で飼っているゴールデンレトリバーのミルも登場。「ミルと休憩中に遊んだりして癒やされています」とにっこり。また、「いろんな人がいろんな差し入れをくれるんです。法廷用語をずっと言っているとものすごく糖分が欲しくなって、そういう時に差し入れを食べるとすごくリフレッシュできます」とも話した。
最後に視聴者にメッセージ。「共に謎を解いていくような楽しさはあるし、言ってほしいことを言ってくれる時もあるし、日曜劇場らしい痛快さもあると思います。皆さんに楽しんでもらうためにスタッフと僕ら出演者で全力で頑張って、いろいろ試行行錯誤しながらやっているので、楽しみにしていただけたら。少し変化球もあるかもしれませんが」と魅力をアピールした。
■長谷川博己
1977年3月7日生まれ、東京都出身。2001年、文学座付属演劇研究所に入所。2002年に『BENT』で舞台初出演。2008年に『四つの嘘』でテレビドラマ初出演。2010年にNHKドラマ『セカンドバージン』で注目を集め、2011年にテレビ東京『鈴木先生』で民放テレビドラマ初主演。近年は、映画『シン・ゴジラ』(2016)で主演を務め、2018年度後期のNHK連続テレビ小説『まんぷく』で主人公の夫を演じ、2020年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』では主人公・明智光秀を演じるなど、数々の話題作に出演している。
(C)TBS

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