谷口キヨコ 高齢母に私ができること ハグと言葉で「安心」を

2025年4月14日(月)18時29分 スポーツニッポン

 【谷口キヨコのごきげん!?SOLOライフ】生きてると、しかも大人やし、大なり小なり誰しも悩みはあると思いますが、私のここ1、2年の悩みはですね…母への対応です。対応というとヘンかな…。毎日変化する彼女の体調や気持ちに対して、どんな風に寄り添い、声をかければよいか。それが悩みです。

 一日の中でもコロコロ変わる彼女の体調や気持ちに、いちいちガチンコで対処、というか真正面からぶつかっていては、お互い、疲れるんですよね。もちろん重大な病気や、それにつながる予兆みたいなものは見逃してはあかんのやけど「腰が痛い」とか「足がしびれる」とか一日に何十回も言う「しんどい」とか、その原因をネットで調べだしたら『病気沼』にずぶずぶはまっていく。それが夜中でも朝でも、いてもたってもいられなくなって病院へ、ということになります(これまで何回もなりました…)。

 でも、大きな病気の可能性が低ければ、結局は「様子をみましょう」ということになり、連れて帰る。これを何度繰り返したことでしょう。緊急で病院で診てもらうのは、実はご存じのように一苦労で、帰宅したころには母も私もふらふら。最初から家でおとなしくしてたら『治る』はなくても、そのうち痛さが『治まる』ことになったんやろな、と。

 こんなことを繰り返して気づいたことは、高齢者には『治る』ことは難しくても『治まる』ことはあるんやろな、ってことです。そりゃあ、どんな病だって、すっきり治ってほしいですよ。本人はもちろん、家族もそう願いますよね。いつも心にトゲが刺さったみたいに、ずーっとつらく、痛くひっかかるようなことはなくなった方がいいですもん。

 高齢になっていくって、特に80歳も半ばを過ぎて超高齢者になっていくことって、そんなつらさや痛さも包括して生きていくってことなんかな、と。もちろん、すっきり治る術(すべ)があるならそうすればよいけど、そうじゃないこともあるもん!

 でも、これは「放っておけ」とかそんなことではないんです。人生の仕上げの時を迎えようとしている頃に、本人はもとより家族はどうしたらよいか、ということなんです。だから対応と表現しました。

 母が言う、日々の「痛い」とか「つらい」に、どう向き合えばよいか。どう寄り添い、どう声掛けをすればよいか、本当に悩ましいこと…だったんです。

 そのことに対して最近、一つの答えが出たような気がします。それが正解かどうかは分からないのですが…。今の母の状態を考えると、彼女は不安の中にいるのではないか、と。母の毎日は満たされてゆったり…という様子ではありません。イライラしたり落ち込んだりするのは、慢性的な病気もあるし体調のせいもあるし、何より気持ちが不安定だからではないのか、と。それに対して娘の私ができることは、母を安心させること。それだけしかないように思うのです。

 「お母ちゃんは幸せやなぁ。あの世にいったら大好きなお父ちゃんが待ち構えてるし(けんかしたこともないぐらい仲良しでした)、この世ではしっかりものの私がいるし(母はいつも私のことをしっかりしてる、と褒めてくれます。ほんまはそうでもないけど)、怖いものなしやなぁ。あの世でもこの世でも最強やわ!」と何度も何度も言ってぎゅっとハグします。そうすると、母の顔が一気に穏やかになって「そうやなぁ、そうやなぁ」と少し笑顔にもなるのです。

 誰でもいくつになっても、やっぱり死ぬって怖いことやと思うんです。知らないところに一人でいくんですから。でもそこには大好きな父や母の両親、先に逝った兄弟がいて、この世には私がいてる。そのことを思うことが、それだけが母が安心できることなんかなぁ、と。

 だから隙があったら何度も言います。このことが母のからだに脳にしみつくぐらいに。

スポーツニッポン

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