門脇麦、初出演をはたした台湾映画の現場を振り返る。中国語のセリフは<丸暗記>も「不安はありませんでした」。その理由とは

2024年4月17日(水)21時43分 婦人公論.jp


(以下撮影:田中景子)

台日合作映画「オールド・フォックス 11歳の選択」(6月14日公開)の特別試写会舞台挨拶が17日、都内の劇場で行われ、メガホンをとったシャオ・ヤーチュエン監督と、本作に出演している俳優の門脇麦さんが登壇しました。その模様をお伝えします(取材・撮影:田中景子)

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「第60回 台北金馬映画祭」では4冠を達成


台湾史上最大の集団型経済犯罪と呼ばれた「鴻源事件」をベースに、バブルが到来して揺れ動いた1990年前後の社会を描いた本作。

思いやり深い父とともに、自分たちの家を買うことを夢見る11歳の少年リャオジエが、新たな価値観に触れ、戸惑いながらも成長していく姿を映し出しています。


(写真:田中景子)

昨年の「第60回 台北金馬映画祭」では監督賞、最優秀助演男優賞(アキオ・チェン)、最優秀映画音楽賞、衣装デザイン賞の4冠を達成。

日本公開を約2ヶ月後に控え、来日したシャオ監督と、出演した門脇さんが作品をピーアールしました。

台湾映画への初出演を果たして


門脇さんは、主人公の父・タイライの初恋相手として登場します。経済的には恵まれているが空虚な日々を生きる人妻・ヤンジュンメイ役で、台湾映画初出演を果たしました。


(写真:田中景子)

門脇さんの起用についてシャオ監督は「(プロデュースの)ホウ氏から『機会があったら日本の方と仕事をすればいい』とすすめられました。それが最初のきっかけで、その後Netflixで『浅草キッド』を見て、麦さんに出演をお願いできたらと思いました。まなざしがすごくて印象的でした」と明かしました。

「麦さんの性格がそもそも好きです。豪快で正直な人で、そこが特に。『浅草キッド』と同じまなざしの演技をしてくれたので、ファインダーを覗きながら『美しいな』と思っていました。仕事をご一緒できてラッキーでした」と語りました。

台本に書かれているセリフは丸暗記で


もともと台湾映画のファンだったという門脇さん。


(写真:田中景子)

「いまだに出演できたことが実感できていない。台湾作品に出るのは夢のまた夢だったので、参加できたことを改めてうれしく感じています」

とオファーを喜びました。

演技はすべて中国語。勉強して約2ヶ月後に撮影スタートだったため、文法習得は間に合わず、台本に書かれているセリフは丸暗記したそう。

「相手の方のセリフまで覚えていないので、相手が話すのを止めたら『次は私かな?』と感じ取って、セリフをしゃべる瞬間もありました」と笑いながら明かしました。

言葉が通じない現場だったそうですが、「役者さんは自分の想像だけでは超えられない役でも、その役に一番大切なエッセンスを自分なりに抽出して自分とリンクさせれば、きっと何か伝わります。それが役者の仕事で、“外側”は撮影方法や技術で補えると思っている。なので、撮影に不安はありませんでした。目と目が合うだけでいろんなことが伝わる瞬間もあって。言葉が伝わらないからこそ、五感で繋がっていた感覚もありましたね」と回想しました。

身にまとうもので役に入り込めた


また門脇さんからは「私には稀に、撮影場所の空気や着ている衣装、メイクで役を掴めた、と感じる瞬間があります。今回の現場はまさにそれ。着飾っていて裕福なのに、どこか孤独な女性、というのが自分にとって”キー”になりました。『こんな人がいたんだろうな』っていう人が、実際に目の前の鏡に映っていた」と身にまとうもので役に入り込めたという経験も。


(写真:田中景子)

門脇さんの演技を間近で見たシャオ監督からは「印象的だったのは彼女のコントロール力」という感想が。

「言葉がわからないからこそ、セリフを丸暗記してくれて。それがどのくらい芝居に影響をおよぼすか心配だったけど、無駄だった。やっぱり彼女のコントロール力あってのものだと思うので、そういう意味では成功したな、と思っています」とほほ笑みました。

役作りの一歩として、役の設定を詳細に書いた手紙を送ったことも明かし、「麦さんは本当によくやってくれた」と、期待に応えた門脇さんをあらためて称賛しました。

まなざしの輝きが堪能できる映画


作品の内容にかけ、自身の11歳だった頃を回顧してもらうと、門脇さんは

「いろんなことを考えていたと思います。いま思えば”哲学的”ですが、『人生は何が大切か』『なんのために生まれてきたのか』とか、そういったこと」


(写真:田中景子)

「漠然とした疑問を言語化したくて、偉人の名言が書かれた書籍を読み漁っていた反面、『早く授業終わらないかな、鬼ごっこしたいな』とも思っていましたね(笑)」

などと照れながら告白。

哲学的思考はお父さんの影響もあるようで、

「物心がついたときから『なんのために生まれてきたのか』と考えていた。アンパンマンの歌詞にもありますよね? 父からも『楽しく自由に生きたらいいよ』などと幼稚園の頃から言われ続けてきたので、絶対にその影響はあると思います」

と話しました。

舞台挨拶の最後、門脇さんは「まなざしの輝きが堪能できる映画です。たとえば監督は一人ひとりの役に対して深く掘り下げているのですが、それが単純に『悪い人、良い人』ではないという、温かくて広くて深いまなざし。

それに救われる人もいると思います。実際、私はすごく救われました。日本の映画館で見られるのは貴重な機会なので、多くの方に見てほしいです」とあらためて呼びかけました。

婦人公論.jp

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