レオス・カラックス『イッツ・ノット・ミー』アナザービジュアル、先行上映イベント映像解禁 イザベル・ユペールらのコメントも到着
2025年4月21日(月)8時0分 クランクイン!
本作は、当初、パリの現代美術館ポンピドゥー・センターでレオス・カラックスの展覧会が企画され、「いま君はどこにいる?」というポンピドゥーからの問いへのアンサーとして制作された映画。
カンヌ映画祭のディレクター、ティエリー・フレモーは「美学的なエッセイのようであり、まばゆく、とても素晴らしい作品」と評しており、ジャン=リュック・ゴダールへオマージュを捧げ、カラックスの全てが凝縮された42分のスペクタクル作品となっている。
このたび、レオス・カラックスを敬愛するミュージシャンで作家の尾崎世界観、スタイリストの伊賀大介からコメントが到着。そして、カンヌ国際映画祭主演女優賞を受賞した『ピアニスト』や、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた『エル ELLE』など、フランスを代表する国際派女優イザベル・ユペールがニューヨーク映画祭参加時にインタビュー誌で語ったコメントが到着。3人のコメントは以下の通り。
■イザベル・ユペール
本当に驚くべき、清々しい映画で、言葉の最良の意味で“遺産(相続財産)”と呼ぶべき作品。ゴダールを随所に感じるけれども100%レオス・カラックス映画だと思う。私はこの映画にとても心動かされた。
■尾崎世界観(ミュージシャン・作家)
画面から連射されるいくつもの問い。そのどれもが、手にした途端、あっさり断ち切られる。そして、また次の問いが始まるまでの一瞬の何かが、頭の深いところに刻み込まれる。まるで脳の奥でうがいをするような、そんな感じ。
■伊賀大介(スタイリスト)
レオス・カラックスが撮れば、それが42分でも125分でも、等しく忘れられない映画体験になってしまう。
アナザービジュアルは、数々の名作映画、巨匠作品のビジュアルデザインを手がけてきたグラフィックデザイナー・大島依提亜が特別に制作。不眠症のカラックスがベッドに腰かけているカット、ベビー・アネット、盟友ドニ・ラヴァン、ジュリエット・ビノシュ、愛犬、娘ナスチャと稲妻、ウクライナの女性活動家オクサナ・シャチコのトップレス抗議活動、『ポンヌフの恋人』の撮影風景、そして目と「REGARD DES DIEUX」の文字といった画像で構成され、「頭の中も人生もカオスだ」と語るカラックスの思想と記憶がコラージュされた本作が見事に表現されている。
大島依提亜は、「一見すると、ジャン=リュック・ゴダール晩年の怒涛の音と映像のスタイルを“細かすぎて伝わらない”レベルで再現しているかのように思える。しかしそこはカラックス、あらゆる場面にみなぎる圧倒的映像美によって、さらにブーストし、唯一無二の映画に仕上げてしまった。そんな物量と精度(に対峙するには40分が限界じゃなかろうか)をアナザービジュアルに込めました」とコメントを寄せた。
なおアナザービジュアルは、大判ポストカードで全国の上映劇場にて初日来場者プレゼント(数量限定)として配布予定。
そして3月下旬の来日時に開催されたQ&A先行上映イベントでの映像が解禁。「ゴダール監督の死去とウクライナ戦争がこの映画の動機になったのか?」など、メディアの前に立つことの少ないカラックス監督が日本の観客の質問に真摯に答える貴重な映像となっている。
カラックス監督は「もともとは美術館に10分ほどの自画像的な短編を頼まれたんです。その展覧会がなくなってしまった。でもひとりで編集するのが好きだったんです。家で映画をつくるそのプロセスが。ホーム・ムービーみたいで。犬や娘に囲まれて」と本作の成り立ちについて言及。「戦争がおこりゴダールが死を決意した。たぶんこの映画にも大きな影響を与えている」と観客からの質問に答えた。
さらに「好きな表現方法を通して自分自身を見つめるということをしたらいいと思う。自分をとりまく世界もね」「ノスタルジックになるのは好きじゃない。むしろ怒っていたい。激怒していたいんです」「自分の頭の中も人生もすごくカオスだと思っている。カオスの中で生きていると出会いがあるんです。そのカオスを共有し理解してくれる人が出てくる。映画というものはひとりで作れるようなものではないんです。誰か良い人に会うチャンスをいつも探している」「この映画が特別なのはフィクションではないから。全ての始まりであるカオスが生きたまま描かれている」など、観客の質問に真摯に答えていた。
また、東京・奥渋谷にある本のセレクトショップ「SHIBUYA PUBLISHING&BOOKSELLERS」にて、『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー』公開記念フェアを開催。関連書籍やTシャツ、ビンテージポスターなどレオス・カラックス過去作の公式グッズを集めたフェアとなっている。開催は4月26日から。
映画『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー』は、4月26日よりユーロスペースほかにて全国順次公開。