東宝、映画界の才能の発掘と育成を本格化「日本の映画業界がガラっと変わるような出来事」

　東宝は23日、都内で「映画『GEMNIBUS vol.1』（ジェムニバス・ボリュームワン）制作発表会見」を開催した。

　『GEMNIBUS vol.1』は、フォーマット、メディア、実績の有無を問わず、クリエイターが自由に才能を発揮できる場を提供するという目的で、東宝の若手社員が立ち上げた才能支援プロジェクト「GEMSTONE Creative Label』（ジェムストーン・クリエイティブ・レーベル）初の劇場公開作品。4人の新進気鋭な監督たちによる短編オムニバス映画となっており、6月28日より2週間限定公開される。

　会見では冒頭、東宝 エンタテインメントユニット 開発チーム 常務執行役員の大田圭二氏が「開発チームの軸のひとつに“才能の発掘と育成”というミッションがあります。東宝は映画業界においてはリーディングカンパニーとして持続的な成長を遂げなければいけない。その成長を遂げるための要素＝才能・クリエイターだと思っています」とあいさつ。

　その上で「東宝は才能の発掘や育成、特に若い人へのチャンスというのは、あまりやってきませんでした。ですので、今回は非常にチャレンジ的な機会になるわけですが、ぜひ注目していただければと思います」とこれまでの取り組みを反省しながらの挑戦的な企画であると述べた。

　続けて「才能支援の一環として、昨年「GEMSTONE Creative Label』を立ち上げました。お金だけだして、『はい終わり』というところが多いと思うんですけど、我々は制作の機会を作ってそれを上映してお客様に届けて、その価値を感じてもらうところまでやっていきます。4つの個性あふれる作品と4人の才能あふれる監督。プロデューサーも東宝の入社10年目までの若い人たちが監督と一緒に作り上げました。（上映の）館数はまだ少ない（東京・大阪）ですが、そこから頑張っていきます」と、本プロジェクトへの思いを明かした。

　これを受けて、『フレイル』の監督を務めた本木真武太氏は、「僕はTikTokやインスタで作品を発表したりしていたんですけど、東宝がちゃんとそういう作品をみつつ、SNSで終わらないように若手の可能性を信じて、『劇場もどうですか』と声を掛けてくれた。これってすごい挑戦的なことだと思います。若手にお金をかけて、ここまでのものを作らせてくれるというのは、かなり攻めてるなと。アメリカや韓国では聞く話ではあるんだけど、日本でやることに感動もありました」と、この取り組みを絶賛。

　また「こうやってチャンスをあたえてくださることは、これから日本の映画業界を底上げする、クオリティーをあげていく上ですごく重要なこと。これから日本の映画業界がガラッとかわるような出来事でもあるだろうなと信じています」と、革新的な出来事であることを熱く語った。

■映画『GEMNIBUS vol.1』の作品と監督
『ゴジラ VS メガロ』上西琢也監督
『knot』平瀬遼太郎監督
『ファーストライン』ちな監督
『フレイル』本木真武太監督