ネイティブアメリカンたちを取り巻く実態を丁寧に描いたある“家族”の物語『ファンシー・ダンス』
2024年5月12日(日)10時6分 オリコン
“ファンシー・ダンス”とは、ネイティブアメリカンの間で最もポピュラーで愛されているダンスの1つ。パウワウと呼ばれる大規模な先住民族のお祭りで披露され、彼らの文化的シンボル、アイデンティティとして欠かせない誇りでもある。
本作の舞台は、そんなパウワウの開催が近づくオクラホマ州のネイティブアメリカン、セネカ・カユーガ族の居留地。ジャックス(リリー・グラッドストーン)は、妹・タウイが行方不明になって以降、姪のロキ(イザベル・ディロイ・オルセン)とともに、裕福とは言えない生活を送っていた。しかし、ある日、突然、父親のフランク(シェー・ウィガム)にロキの親権を奪われてしまう。ジャックスはロキを連れ出し、2人でタウイの捜索を行う旅に出るのだが、それはやがて全米の注目を集める事件へと発展していく——。
本作は、叔母と姪が「母娘」としての絆を築いていく家族の物語。そこには、彼女たちのルーツでもある、ネイティブアメリカンの女性たちが抱える生きづらさや、苦悩も鮮烈に描かれている。実際、ネイティブアメリカンの女性が暴力犯罪の被害者になる確率は他の女性より約3倍高く、先住民族たちの失踪や殺人などの重大事件は、捜査自体されないことが多いとも言われており、本作は、そういったネイティブアメリカンたちを取り巻く実態も丁寧に描かれている。
解禁された予告映像では、パウワウで失踪したタウイとの再会を信じながら暮らすジャックスとロキが、哀しみを抱えながらも力強く生きていく姿が切り取られている。妹の捜索がなぜかしてもらえず、一緒に暮らしていたロキの親権が父・フランクに奪われるという、つらい境遇を強いられるジャックス。
そんな状況にも負けない彼女は、ロキをフランクの元から連れ出し、2人でタウイの捜索を行う事を決意。しかし、その行動が誘拐事件として報道され、世間の注目を集める事に。タウイの行方を追いながらも、逆に警察や市民からも追われる立場となった彼女たちだったが、それでもタウイとの再会を信じて突き進む。さまざまな困難にぶつかりながら、本当の「母娘」のように深い絆を築いていく2人。果たして、彼女たちに待ち受ける「結末」とは——。
監督を務めるのは、本作で長編映画監督デビューを果たすエリカ・トレンブレイ。エリカ監督は、ミシアナ・アリスと共に脚本も務めている。主演のリリー・グラッドストーンは、バード・ランニングウォーター、シャーロット・コー、フォレスト・ウィテカーらとともに製作総指揮も務め、Confluential Films、Significant ProductionおよびAUM Groupが製作しており、作品の仕上がりにも大きな期待が寄せられている。