河合優実×山中瑶子監督『ナミビアの砂漠』カンヌで批評家連盟賞 最高賞はショーン・ベイカー監督『Anora』

2024年5月26日(日)11時50分 シネマカフェ

『ナミビアの砂漠』©2024『ナミビアの砂漠』製作委員会

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第77回カンヌ国際映画祭授賞式が現地時間5月25日(土)夜に行われ、監督週間に出品されていた河合優実主演『ナミビアの砂漠』の山中瑶子監督が、女性監督としては最年少で国際映画批評家連盟賞を受賞。

コンペティション部門に出品されていたヨルゴス・ランティモス監督『憐れみの3章』のジェシー・プレモンスが男優賞、ジャック・オディアール監督の最新作『Emilia Pérez』が審査員賞とともにセレーナ・ゴメス、ゾーイ・サルダナらキャスト陣が揃って女優賞に。最高賞パルムドールは『フロリダ・プロジェクト』ショーン・ベイカー監督が、女性セックスワーカーがロシアの富豪の息子と電撃結婚したその顛末を描くコメディ『Anora』が選ばれた。

『ナミビアの砂漠』女性監督最年少で国際映画批評家連盟賞に
19歳のとき撮影、初監督した『あみこ』(2017)がPFFアワード観客賞を受賞、その後第68回ベルリン国際映画祭のフォーラム部門に史上最年少で招待されるなど、各国の映画祭で評判となった山中瑶子。

山中監督の7年ぶり本格的な長編第1作となる『ナミビアの砂漠』で主役に抜擢されたのは、最近ではテレビドラマ「不適切にもほどがある!」や映画『あんのこと』など活躍を続ける新時代のアイコン、河合優実。『あみこ』公開当時、学生だった河合さんは同作を観て女優になりたいと思い、山中監督に「いつか出演したいです」と直接伝えに行ったという。

国際映画批評家連盟賞を選出するFIPRESCI(国際映画批評家連盟)は、今回の受賞理由として「21世紀の日本を生きる登場人物たちの間に絶え間なく存在する距離を捉え、それらのイメージを通して、現代における神経多様性を大胆不敵に探究している」とコメント。

過去にはヴィム・ヴェンダース監督やスティーヴン・ソダーバーグ監督、ケン・ローチ監督、アキ・カウリスマキ監督など、錚々たる世界の名匠たちの作品が受賞。日本映画としてはこれまで小栗康平監督『死の棘』(90)、諏訪敦彦監督『M/OTHER』(99)、青山真治監督『EUREKA』(00)、黒沢清監督『回路』(01)、そして濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』(21)と5作品が受賞している。

河合優実「最高のプレゼント」
山中監督は「監督週間、そして私の映画のスタッフ、キャストのみなさんに感謝を伝えたいです。映画を作るとき、まだ感覚に頼るところが大きいのですが、いっぱい勉強して、もっとうまく映画を作れるようになりたいです。まず自分のことを大切にしてから、次に周りの人、そしてそれが全くの他人に届くように、日々優しくありたい」と受賞の喜びをコメント。

授賞式後の囲み取材では、「受賞が決まった時に、グループLINEで、『批評家(連盟賞)だ!』とキャストたちに送ったのですが、本当にみんなで称え合いたい」とも語った。

河合さんからは、「これまで国際批評家連盟賞に名を連ねてきた素晴らしい作品たちに『ナミビアの砂漠』がならぶこと、言葉にし難い嬉しさ」という喜びや映画祭への感謝を口にし、「改めて、この作品に力を貸してくれた全ての人にいま最大限の感謝をしたいです。これを最高のプレゼントとして、これから私たちの映画が世界中に自由に羽ばたいていきますように!」とのコメントが到着した。

『ナミビアの砂漠』は今夏、全国にて公開。





ヨルゴス・ランティモス監督4度目のカンヌ、男優賞をもたらす
ヨルゴス・ランティモスとエマ・ストーンが『女王陛下のお気に入り』『哀れなるものたち』に続いて送り出す『憐れみの3章』は、現地時間5月17日(金)にワールドプレミア上映が行われ、ランティモス監督に加え、エマやウィレム・デフォー、マーガレット・クアリー、ホン・チャウ、ジョー・アルウィン、ママドゥ・アティエ、ハンター・シェイファーら豪華キャスト陣が参加。

今回、選択肢を奪われ、自分の人生を取り戻そうと格闘する男、海で失踪し帰還するも別人のようになった妻を恐れる警官、卓越した教祖になると定められた特別な人物を懸命に探す女の相棒……という3つの独立した物語の中で、最重要となる人物3人を演じ分け、下馬評でも期待が集まっていたジェシー・プレモンスが見事<男優賞>を受賞した。

『憐れみの3章』は9月27日(金)より全国にて公開。

第77回カンヌ国際映画祭 主な受賞結果
パルムドール 『Anora』(原題)ショーン・ベイカー

グランプリ 『All We Imagine as Light』(原題)パヤル・カパディア

審査員賞 『Emilia Pérez』(原題)ジャック・オディアール

監督賞 ミゲル・ゴメス『Grand Tour』(原題)

特別審査員賞 『The Seed of the Sacred Fig』(原題)モハマド・ラズロフ

男優賞 ジェシー・プレモンス『憐れみの3章』

女優賞 セレーナ・ゴメス、ゾーイ・サルダナ、カルラ・ソフィア・ガスコン、アドリアナ・パズ『Emilia Pérez』(原題)

アート&エッセイ・シネマ・アワード 『The Seed of the Sacred Fig』モハマド・ラズロフ

クィアパルム賞 『Trois Kilomètres jusqu’à la fin du monde』(原題)エマニュエル・パルブ

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