【インタビュー】好青年から裏社会の男まで、誰もが夢中になる向井理の本音

2019年6月19日(水)7時45分 シネマカフェ

向井理『ザ・ファブル』/photo:You Ishii

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俳優・向井理に対して、どのようなイメージをお持ちだろうか? イケメン、知的、8頭身の完璧なスタイルなど…見た目に関しては湯水のように湧いてくるものの、内面はというと、どこかヴェールに包まれたような、言ってみれば、ややクールな印象さえある。

嫌な役柄は「好かれる必要がないと、結構楽」
最新出演映画『ザ・ファブル』では、向井さんは一変。趣味の悪い柄シャツを身にまとい、顔面に大きく傷の入った裏社会の幹部・砂川となり、大阪弁で暴れまわる。濁ったカラーコンタクトを装着し、凍てつくような表情は男前とは別ベクトル…。何なら現在放送中の「わたし、定時で帰ります。」(TBS)で演じている主人公の元婚約者、デキる男・種田とは真逆の方向性の役柄で、「わた定」民からすると二度見したくなるふり幅といえる。


想像だにしない役のオファーについて、向井さんは、「あまりこういう役をやってきていなかったので、本当に意外でしたね。“なんで自分なんだろう?”と思いながら(笑)。だけど、“こういう役をやらせてみよう”と思っていただけたのは、その人に触れる何かがあったんだと思いますし、単純にすごくうれしいですね」と、ニヤリとした。さらには、「ここまで嫌な奴って、あまりないからそれが楽しいです。好かれる必要がないと、結構楽だなと思って(笑)」と、こともなげに語る。


岡田准一演じる伝説の殺し屋が、ボス(佐藤浩市)から「1年間、一般人として普通の生活を送れ」と命令されるところから物語は始まる。殺しはご法度、もしも殺しをした場合ボスから自分が殺される、という中、佐藤アキラという偽名を使い相棒のヨウコ(木村文乃)と大阪の街に潜入。しかし、彼の元には数々の厄介ごとが振りかかる。その中のひとつが、刑務所から出所したてのデンジャラスメーカー・小島(柳楽優弥)や、小島と確執を持つ砂川との関わりだった。


劇中、向井さんは柳楽さん演じる小島と直接対決する運びになる。アクション監督指導のもと、かなり痛そうな肉弾戦が繰り広げられた。「安全第一はもちろんですけど、殺るか、殺られるかという、柳楽くん演じる小島とのタイマン勝負でした。砂川が、いろいろな恨みをぶつける唯一の瞬間でもあると思っていたので、ただの悪役ではない何かが見えたらいいな、と思っていました。原作のあるお話ですけど、映画の2時間の中で描けることは限られているので、バックボーンを思わせる何かがないといけない。描かれていないことや過去のことなど、すごく考えて取り組みましたね」。


理想の芝居は“難しいことを簡単にやる”
そして、柳楽さんとの共演について、「刺激を受けたし、すごく感動しました」と充実の表情でふり返った。

「砂川というキャラクターを一番突き動かしてるのは間違いなく小島なので、柳楽くんとのシーンは、本当にヒリヒリするものがありましたね。お芝居の部分に関して、柳楽くんはすごく爆発力のある方なんです。現場の空気を一瞬でガラッと変えるインパクトを持っている人なので、それは、もう…一番身近で見ていて、すごく面白かったです。刺激も受けますし。いや、すごいです…感動しました」。


柳楽さんのお芝居が「爆発力」と表現されるなら、向井さんのお芝居は、どう表現される?

「自分の? 僕は…個人的な好みとしては、受ける芝居が好きなんですよ。相手を意識的に動かす方が大変なので、大変な方より楽な方を選んでいるんですけど(笑)。砂川に関して言えば、なるべくうそがないように、“相手がこうくるなら、こうやったらもっと怒るだろうな”とか、意識してやっていたところがあったかもしれないです」。


「楽」という言葉を使いながらも、結果、相手の呼吸を見て合わせ、ときに乱しながら芝居を作り上げていくというのは、「楽」とは到底離れたことをやっている印象さえ受けた。伝えれば、向井さんは「…難しい方が面白いですからね」と、観念したように微笑み、つぶやいた。さらには、こんな本音も。

「自分が見ていると、やっぱり、難しいことを簡単にやっている人の方がすごいな、と思うんです。難しいことを難しそうにやることは、もちろん、みんなできるんでしょうけど。…だから、そうなったらいいなと思うんです。実際、そこにその人が存在していることで話が成立するんだったら、それでいいと思うし。だから…理想は笠智衆さんだって、僕はずっと思っているんですよね。『寅さん』(『男はつらいよ』シリーズ)のように、振り向いて『おう』って言うだけで、映画が終わるっていう(笑)」。


様々な表情から伺える役柄の幅広さ
向井さんには、最後に、「本作を通して、得たものは何でしたか?」という質問を投げかけてみた。低く穏やかな声を響かせながら、終始、流れるように話し続けた向井さんが、この日初めて、「…う〜ん」と悩んだ風に。どんな壮大な答えが…と待ち構えた矢先、顔を上げた向井さんは、「目にコンタクトを入れられるようになったことですね。本当に初めてだったので! 周りが、もう呆れて口も聞いてくれないほど、入らなかったんですよ」と晴れ晴れとした表情で答えた。予想の斜め上をいく回答だったため、部屋にいたスタッフも全員爆笑。


続けて、向井さんは、「僕、新しいビジュアルを作るときに衣装合わせとかメイクをして、でき上がったときに、自分で写真を撮ることってほとんどないんですけど、今回は撮りましたね。面白いなと思って(笑)。撮ったのは、ほぼ初めてだと思います」とニコニコ。インタビューの中でも緩急つけるふり幅のある話を披露してくれた向井さん、それは好青年から裏社会の男まで、様々な顔を見せてくれることを期待してオファーが届くのも納得だ。

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