池松壮亮&綾野剛&妻夫木聡ら出演ヒューマンミステリー『本心』公開

2024年6月21日(金)8時0分 シネマカフェ

『本心』(C)2024 映画『本心』製作委員会

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池松壮亮主演映画『本心』の公開が決定。三吉彩花、水上恒司、仲野太賀、田中泯綾野剛妻夫木聡、田中裕子も出演する。

「大事な話があるの」——そう言い残して急逝した母が、“自由死”を選んでいた。なぜ自ら死を望んでいたのか。どうしても母の本心が知りたい息子の朔也は、最先端のAI企業に「母を作ってほしい」と依頼。テクノロジーは、人の心を再現できるのか。ただ、母の本当の心を知りたかっただけなのに、朔也は自分の心や尊厳さえも見失っていく——。

本作は、平野啓一郎の同名傑作長編小説を、石井裕也監督が映画化。技術が発展し続けるデジタル化社会の功罪を鋭く描写する。

石井監督作品へは、『ぼくたちの家族』『アジアの天使』など映画・ドラマを合わせ8作品に出演してきた池松さんが演じるのは、時代に置いてけぼりにされた青年・石川朔也。今作は、原作を読んだ池松さんが全幅の信頼を寄せる石井監督に「今やるべき作品」と持ち込んだ、「気の抜けない脚本だった。こんなに集中した夏は初めて」と語る意欲作(撮影は2023年7月)。

朔也の母・秋子は田中さんが扮し、生身/VF(ヴァーチャル・フィギュア)という2役に挑戦。秋子の素顔を知るキーパーソンであり、過去の傷を抱えるミステリアスな女性・三好を三吉さん、朔也の幼なじみ・岸谷を水上さん、最新AIのVFの開発を行う技術者の野崎将人を妻夫木さん、ある出来事をきっかけに朔也に興味を抱くアバターデザイナーのイフィーを仲野さん、VFの中尾を綾野さん、リアル(現実)のアバター(分身)として依頼主の代わりに行動する仕事を始めた朔也の依頼人・若松を田中さんと、それぞれ朔也の心情を大きく揺さぶる重要な役どころを担う。

コメント
池松壮亮
本心というあまりに素晴らしい原作を映画化させてくださった平野啓一郎さんに心から感謝しています。この難しい題材にありったけの力を注いでチームを導いてくれた石井裕也監督に心から感謝しています。最高峰のキャスト、最高峰のスタッフが結集し、私たちのこれまでについて、すぐそこまでやってきているこれからについて、2023年猛暑の夏、夢中に懸命に取り組みました。
本心を巡る旅路は、人間の本質を見つめ、人間の哀しみを見つめ、欲望と、愛と、存在そのものを追求するような果てしないものでした。
自分にとって、生涯忘れられない作品となりました。沢山の観客の皆さまとこの映画を共有できることを心から願っています。

三吉彩花
三好彩花役を演じました、三吉彩花です。
まずこのお話を頂いた時から運命とはこういう事か、と…
そして逆に誰が三好をやるのだろうか、と…
何だか不思議な気持ちになりました。そして、今の私に必要な役でした。
撮影の裏話などをよく聞いていただきますが、こんなに心が苦しかったのは初めてで戸惑いました。
それは、三好と一緒に戸惑いました。
常に三好と背中合わせで、そこに三好が居るかのような、私にも三好が見えているような感覚でした。
皆様にもこの『本心』を感じていただきたいです。
本当に素晴らしい方々に恵まれました。この作品を観て救われる方がいらっしゃったら私はとても幸せです。

水上恒司
本や文字というものは、良質なものほど読み手に委ねると私は考えます。
それは大変なことだと考えます。
今作、『本心』の脚本に私はその委ねる力を感じました。
正直なところ、未だに正解がわかりません。
でも石井組に参加してそれで良いのだと学ばせて頂きました。
何とも消化の悪く心地の良いクランクアップを迎え、とても嬉しかったです。

仲野太賀
石井組「本心」に参加できた事をとても嬉しく思います。AIが発達して変わりゆく社会と、変わることのない人間の愛の形を描いた今作がどのようにして映画になっていくのか。
脚本を初めて読んだ時、常に挑戦を続ける石井監督の更なる挑戦に、身震いしました。
僕が演じたイフィーという役は自由度が高く、軽やかでありながら寂しく、とても欲深い人間味をもっています。複雑なキャラクター像を演じるのは、僕自身大きな挑戦になりました。石井監督の演出を信じて導かれるように撮り切れたと思っています。

田中泯
「本心」のひとこまに居る事事は1日で済んだ、これを書いている私は現在、田中泯だ、が、私が演じた「あの人」は今も私の内に居る。映画の中にも短い時間だが「あの人」はずっと居続ける。人の存在は等しく架空だ。事実はなんであれ全て地球の過去となる。本心の台本が届いてから時間は重厚なモノローグに匹敵する貴重な稽古だった。更にも増して、撮影本番の私の右斜めかたわらで、喰いるように私のカラダを見続ける石井監督の存在は、「あの人」と共にあった。感謝!

綾野剛
池松さんの真心、妻夫木さんの愛情、石井裕也監督の真摯さに触れられて幸せでした。
私の役柄は、VF(ヴァーチャル・フィギュア)です。私を生んでくれた家族。もう会えない人に会いたいという果てしない想い。それぞれがそれぞれの心と向き合うこと。そして、私という"再生"と生きていくことの誠実さを体感しました。
本作が観てくださる方々にとって、ご自身の本心との対話のきっかけになりましたら幸いです。

妻夫木聡
石井組には何度も参加させていただいていますが、石井組の一体感は改めて素晴らしいものでした。
AIの世界は未だ私たちにとって未知の領域です。僕たち人間には感情があるからこそ存在している意義があると思いますが、人間とAI、リアルと仮想空間、うまく共存できる世の中というのがあっても、僕は面白いんじゃないかとこの映画で思わされました。そして、そう思わせてくれる未来は意外とすぐそばなのかもしれない、未来予想図のようなこの映画を是非映画館で楽しんで欲しいです。

田中裕子
『本心』の脚本を読んだ後、石井監督に聞きました。
「ここに書かれている世界はだいぶ先の話しですよね」と。「いいえ、近い未来10年とか、あとちょっとぐらいかな」監督はそうおっしゃいました。世の中の新しいシステムについて行けず、困ったなぁ感満載の私の日々です。でもね。この作品の主人公の男の子はいっぱい泣くんです。池松くんの涙を見てると、「こんなに男の子が泣いてくれるんだったらまぁいいか…」と近い未来の恐怖にちょっとだけ安心する私がいます。観ていただけたらわかると思うんだけどな。

石井裕也監督
平野啓一郎さんの傑作小説を映画化できて本当に光栄に思います。これからさらに普及していくAIやテクノロジーに対して少しでも不安に思っている方々に捧げる映画です。これから確実に到来する複雑な世界の中で、登場人物たちは地に足をつけられず、ひたすらに迷子になっていきます。それは明日の僕たちの姿です。あるいは、もしかしたら僕たちはもうとっくに迷子になっているのかもしれません。素晴らしいキャストとスタッフと共に人が生きる喜びをシンプルに祝福するためにこの映画を作りました。不思議で面白い極上の迷子を是非劇場でご堪能ください。

平野啓一郎
『マチネの終わりに』、『ある男』に続き、『本心』が映画化されることとなり、私は期待に胸を膨らせました。しかも、驚くほど豪華なキャスト! とは言え、本作の映像化の困難は容易に想像がつきました。2040年代の日本と、その世界を生きる人々は、果たしてどのように描かれるのか? 登場人物たちの人生を通じての思想的な問いかけは? 脚本の段階で相談を受けましたが、私は、原作のプロットを窮屈になぞろうとするのではない、石井裕也監督による映画的な再構築を受け容れました。試写会では固唾を飲んで見守りました。小説の映画化に於いて、原作と映画は、一種、共同的なライバル関係にあるのだということを、私は強く感じました。一つの新しい世界が誕生しました。そして私は、それを実現した監督、俳優を初めとする映画制作者たちに敬服しました。

『本心』は11月8日(金)より全国にて公開。

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