【インタビュー】指原莉乃×山里亮太「こんな幸せな人生はない」エンターテイナーたちのお仕事論

2019年8月5日(月)7時45分 シネマカフェ

山里亮太&指原莉乃『ONE PIECE STAMPEDE』/photo:You Ishii

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老若男女を虜にしている「ONE PIECE」待望の劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』が公開される。TVアニメ放送20周年記念作品となる本作では、ルフィ率いる麦わらの一味が集結するほか、原作者・尾田栄一郎デザインによる映画オリジナルキャラクター、「あのときに出てきた、あの…!」という懐かしのキャラクターまで一堂に会するから、永年のファンにとっては垂涎ものとなりそうだ。

前作の、劇場版『ONE PIECE FILM GOLD』から3年ぶりとなる最新作、劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』では、海賊のための世界一の祭典・海賊万博が描かれる。「祭り屋」と呼ばれる万博の主催者ブエナ・フェスタからの招待状を手にしたルフィたち麦わらの一味が会場に着くと、そこには“最悪の世代”キッドやベッジ、ホーキンスにボニー、バルトロメオ、キャベンディッシュの姿があった。全員の目的は万博の目玉「海賊王(ロジャー)の遺した宝探し」で、予測不能の大混乱へと陥っていく。


本作のゲスト声優には、芸能界の中でも「ONE PIECE」好きで知られるユースケ・サンタマリア指原莉乃山里亮太が名を連ねた。今回インタビューを敢行する指原さんは絶世の歌姫アン役、山里さんは海賊万博の司会者ドナルド・モデラート役として、実力を存分に発揮。

大好きな「ONE PIECE」の世界に入り込めるのは当然「夢のよう」ではあるが、同時に大きなプレッシャーも感じていたとインタビューで話したふたり。そこには「してほしいことをするのが仕事なので、ただ一生懸命やるだけ」という求められたことに応える、プロ意識以外の何物でもない仕事観が刻まれている。「ONE PIECE」愛とともに、現在の引く手あまたのふたりのキャリアについてまで、多いに語ってもらった。


——おふたりとも「ONE PIECE」の大ファンですよね。オファーを受けて、いかがでしたか?

山里:もちろんすごくうれしい気持ちはあるんですけど、大好きなぶん、その世界を自分の声が壊してしまったらどうしよう…という怖さを最初、感じました。「いいんだろうか、僕が世界に入って」と、とにかくプレッシャーでしたね。
指原:本当にそうですね…! 一番最初は「やったあ!」とは、なれなかったです。もちろん声をかけていただいたことは本当にうれしいですし、完成作を観るのも楽しみ(※取材日時点で未完成)ですけど、そんなことより…という感じでした。
山里:声優さんは、すごいお仕事じゃないですか。声だけで命を与えていく人たちのすごさをわかっているからこそ、そこに自分が入ることは、プレッシャーでしかないんです。


——となると、初日に声を出すときはかなり緊張されました?

山里:初日、第一声、怖かったです!
指原:本当に(笑)! しゃべり出すのがめっちゃ怖かったです。
山里:「あ〜、それじゃないんですよね…」と言われたらどうしよう…って。ただ、今回事前準備のために、『ONE PIECE』のアフレコに望む上での心得を説明された紙をいただいたんです。収録の日までに「このように過ごしてくれ」ということまで、事細かにびっしり書いてあったので。
指原:はい、ゲスト声優に共通でありましたね! 何から何までわからなかったので、そうやって紙でいただいたことがありがたかったし、うれしかったです。


次のページ:緊張と興奮が混ざった初めての経験

——紙には具体的に何が書いてあるんですか?

山里:「前日は声をできるだけ使わないで臨んでください」とか、「何パターンか声のバリエーションを探してみてください」とか、でした。声は高いのか、低いのか、抑揚があるのか、平坦なのか、とか。いろいろと自分で探して練習してきて当日見せてください、という内容でした。

——実際、何パターンくらい用意された?

山里:声だけでパターンは…難しかったんですけど、ありがたいことに、さっしーはアイドル、僕は司会者という役どころなので、現実の仕事からそんなにかけ離れていないものだったんです。意外と自分の(持ち味)を誇張すれば大丈夫かな、という思いでキャラクター作りをしていきました。
指原:まったく同じです。けど、私は地声が低いんですよ。アンは高い声を出さなきゃいけないかなと思っていたので、家でめちゃめちゃ高い声を練習しました。…私の声に、うちの猫がしばらく引いていました。
山里:(笑)。


——実際に声入れ中、ブースの向こうでスタッフさんたちが話していると、気になったりしませんでしたか?

山里:それ、本当にそうです! 「はい、OKです」となった後に、しばらく何も声がけがないと、「あいつを起用したの失敗したな…」とか言われていたら…と思うんですよね…。「なんか違うんだけど、もう1回やっても変わらないから仕方ないか。じゃあ、はい、OKで〜す」とかなってたら…って、「OK」と言われる前の間の台詞を考えちゃうんですよ(笑)。
指原:めちゃめちゃわかります! 表情とかも見ちゃいます。自分としては本当に精いっぱいだし、一生懸命だし、ちゃんとやっているつもり…ですけど、「合っています…?」みたいな感じでした。
山里:最後に、「自分の声を聞いてみてどうですか? 僕たちはOKですけど、もし録り直したいところがあったら全然言ってください」と言われるんです。でも「録り直したい」と言えるほどわからないし、「大丈夫です」と言うのも調子に乗ってると思われるんじゃないか…って。


——すごく気を遣われるおふたりの性格が出ていますね(笑)。声入れ終了後は、どんな思いでしたか?

山里:クッタクタでした…。終わった後は、もう1文字も出ないってくらい。かなりハイテンションな役なこともあり、ぐったりでした。監督たちが、自分の意思では搾り出せないくらいの精魂を出せる空気を作ってくださったからこそ、できたと思います。
指原:そうですね。私も終わった後、酸欠のようになったというか、唇がしびれるような感じさえして。緊張と興奮と、全部が混ざって、初めての経験でした。


——ここまで愛される『ONE PIECE』について、特にどこに魅力を感じていますか?

山里:喜怒哀楽の感情がすべてマックスになる瞬間があるところだと思います。本当に喜ぶし、悲しくて泣けるときもある。こんなに凝縮しているのに押し付けがましくなく、感情が動かされまくることってないと思うんですよね。尾田さんがキャラクターに「何ていい台詞を言わせているんだろう」というほど、すごく刺さる台詞があったりしますし、「確かに、いま努力できていないな…」と自分に照らし合わせて思うときもあります。シンプルにエンターテインメントとしてめちゃくちゃ面白いというベースの上に、その要素が乗っかってくるところが魅力です。

指原:私は年齢層の幅広いグループにいたので、小学生や中学生の子ともしゃべる機会があったんですけど、自分の世代のものの話をすると「それ、何ですか?」と言われちゃうんです。けど、ONE PIECE」は常に全員の最先端で、古い部分が一瞬もないのがすごいと思っています。「全員と同じ話ができることなんて、ないと思うので。
山里:そうだよね。そういえば、僕、「ONE PIECE」が好きすぎて、ジャンプの連載が開始されて単行本が発売されるまで、ジャンプの誌面を切り取って自分で単行本を作っていたんですよ。


次のページ:準備の量が多いと、緊張も減る…2人の仕事論

——それくらい大好きなんですね! 「ONE PIECE」はアニメーションでは20年、コミックでは22年と長く愛されていますが、この先の20年で言うと、おふたりはどうなっていきたいですか?

指原:20年!? 山里さん、何歳ですか?
山里:俺、60だ…(笑)。いまみたいなことをずっとやれていたら幸せだな、と思います。ライブをやって、テレビやラジオのお仕事をさせてもらって、皆さんに「面白いな」と言ってもらえているのが20年ずっとできたら、こんな幸せな人生はないと思います。
指原:そうですよね。20年後、私は46歳。私は楽しいことが好きなので、芸能のお仕事ではなくても、そのときに楽しく生きていられたらいいかなと思います。…20年って、想像できないですね。考えられないことを、尾田先生はやっているので改めてすごいです!



——ちなみに、現在引っ張りだこのおふたりですが、普段、MCをされたりゲストで番組に出演される際、どんなことに気をつけてお仕事をしているんですか?

指原:ああ、山里さんの、聞きたいです!
山里:何だろう!? 一生懸命頑張ること…しかないんですよね。呼んでもらったんだから頑張るというスタンスです。たくさん(タレントが)いる中で、自分をわざわざ呼んでくれているんだから、感謝の気持ちでやっていれば台本だってしっかり丁寧に読み込めますし、してほしいことをするのが仕事なので、ただ一生懸命やるだけです。僕は天才型で臨機応変に何でもできるタイプではないので、準備をしていくんですよね。準備の量が多いと、緊張も減りますし。


指原:私は、でも…そうだな。もちろんその場に応じてちゃんとやるのもあるんですけど、一時期、考えすぎて何もできなくなっちゃったとき時があったんです。なので、「収録を面白いと思えればいい」という風に考え方を変えました。あまり考えすぎちゃうと何もできなくなってしまうので、もしもその番組で自分が何もできなかったとしても、番組が「面白かった」と思えるようにしようと思ってからは、めっちゃ楽で、何でもしゃべれるようになりました。「何かしなきゃ」と焦っている時期、アイドルオタクっぽい言葉で言うと「爪跡を残す」と思っていたときは何もできなかったんですけど、そうなってからは楽しく自分もしゃべれるようになりましたね。


——「楽しむ」というのは共通するワードになってきそうですね。

山里:「楽しい」というのは、やっぱりありますね。
指原:私は笑い過ぎるといつも泣いちゃうんですけど(笑)、それが仕事ってすごいなと思うんです。
山里:最高だよね。
指原:特に私はボケたりとかもあまりなく、芸人さんたちに面白くしていただいて、笑って泣いて仕事が終わっているので、毎日がすごく楽しいです。

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