祝・岡田将生&高畑充希結婚! ドラマ『1122 いいふうふ』5つの魅力から「この2人なら大丈夫」と思えた理由
2024年11月22日(金)20時35分 All About
ドラマ『1122 いいふうふ』の5つの魅力と、結婚を発表した岡田将生&高畑充希が「きっとこの先も大丈夫」だと思えた理由を語りましょう。併せて、「クズだと思ったら憎めない」魅力を放つ岡田将生が主演の最新映画も紹介します。(サムネイル画像出典:Amazonプライムビデオ公式Xより)
このタイミングで『1122 いいふうふ』を一気見してどハマりした筆者が、作品の魅力を5つに分けて紹介すると共に、劇中の物語とリンクするように(あるいは正反対の要素をもって?)現実の2人の結婚生活を想像したくなる理由、そして共通する要素を持つ岡田将生主演の最新映画を紹介しましょう。
2024年は映画『ゴールド・ボーイ』『ラストマイル』に続き、岡田将生の俳優としての力がはっきりと分かる、エンタメ性抜群かつ社会派の一面もある作品が続々と世に送りだされていることを知ってほしいのです。
1:「公認不倫」をしている夫婦の物語
『1122 いいふうふ』の主人公2人は、友達のように何でも話せて仲のいい夫婦でありながら、秘密を抱えています。それは「毎月第3木曜日の夜、夫が恋人と過ごすことを許可している」ということ。つまりは「公認不倫」であり、それだけ取り上げるとギョッとして拒否反応を覚えてしまう人もいるかもしれません。性的な話題も多く、かなり大人向けの内容でもあります。しかしながら、その公認不倫について互いに「ルール」や「正当性」を会話で示し、時には「矛盾」や「罪悪感」をモノローグで語る場面もしっかりあるため、過度の嫌悪感を抱かず、それどころか「その気持ち、分かる!」と(でも「客観的にはやっぱりよくないんじゃ……」とやや居心地の悪さも同時に覚えつつ)共感できるように、見事な調整がされている作品だと思えました。
2:主人公2人ともがチャーミングで憎めない
原作漫画を読むと、繊細な絵柄もあってか、全体的にはクールな印象なのが魅力的だったのですが、ドラマでは主演2人のチャーミングさのおかげで、原作からある会話やモノローグがより親しみやすいバランスに。やりとりを見ているだけで楽しい内容でした。例えば、高畑充希演じる「一子(いちこ)」は「切なげにロマンティックに(不倫を)語るよなあ、男は」などとシニカルな目線でいて、別の場面では「これが、ブーメラン(批判が自分に返ってくること)ってやつですか」「(風俗店に行って)若い女の子にデレデレしているおじさんをバカにしていたけど、ごめんなさい。わかりました」と思ったりもします。
それぞれの言葉選びはもちろん、高畑充希の演技や声のトーンの「斜に構えた」「サバサバした感じ」も含めて面白いのです。その赤裸々ぶりは女性からの共感を呼ぶでしょうし、男性が見れば「なるほど、そうかそうなのか……」とパートナーの心情を考えるきっかけになるでしょう。
一方で岡田将生演じる「二也(おとや)」は、基本的には一子を傷つけないように気遣っており、家事も含めて十分なサポートをしているよき夫のようにも見えますが、優柔不断なところが多く、そもそも公認不倫を提案されてあっさりと応じてしまっているなど、客観的には褒められたものではない立場です。
一子から「るんるんオーラダダ漏れ」と言われるのも納得な無邪気さが面白いのですが、とある場面で「えっ? あれ、もしかして俺、クズなのでは?」と気づく場面には「本当だよ!」と思いましたし、その後、物理的にも痛い目をみる様には思わず大笑いしてしまいました。岡田将生というその人のイメージはもちろん、演技も相まって原作漫画よりも「天然」かつどうしても憎めないキャラクターになっているのです。
3:対照的な西野七瀬と高良健吾の夫婦
さらには、二也の不倫相手「美月」(西野七瀬)と、その夫である「志朗」(高良健吾)との対比も重要です。志朗は発達障害の傾向がある息子の世話を美月に任せっきりにしていることをはじめ、「妻と夫の役割」を明確に分けることが当然だという考えを持っていて、はっきりモラハラをしている場面もあります。友達のように接する一子と二也とはまったく異なる夫婦関係の冷たさがある2人ですが、その関係がどのように変わっていくのか。それぞれの人間としての成長が、西野七瀬と高良健吾という俳優2人の演技から伝わることも大きな魅力になっています。
ちなみに、2024年に高良健吾は歌手の田原可南子(田原俊彦の長女)と、西野七瀬は俳優の山田裕貴との結婚を発表するなど、やはり『1122 いいふうふ』の“縁”もまた話題になっていました。
4:夫婦それぞれの適切な距離感や価値観を改めて考えられる
そもそも、「公認不倫」の発端となるひどい言動をしたのは一子ですが、彼女の言葉には正当性もあるし、二也のほうは誠実な言動をしているかと思いきや、言葉の端々に欺瞞(ぎまん)を感じるところがあったりします。前述した美月と志朗も含めて、「夫婦のどちらにも問題もある、だけどどちらの言い分にもまともなところがある」こと、「どちらが悪で善だとか、断定できない」というのも『1122 いいふうふ』の魅力であり、受け手にも「考えさせる」作品だと思えました。それを、俳優の力および映像作品の表現でもって作り上げている点が素晴らしいのです。
有り体に言えば「めんどくさい夫婦関係」を描いた作品でもあるのですが、そこには不倫やセックスレス、さらに母親との確執、不妊治療、育児など、現実の夫婦間にある縮図が反映されています。だからこそ、あらゆる夫婦(あるいは独身でも)が「自分ごと」として捉えることができるのでしょう。
そもそも、「夫婦関係をどのような距離感で続けていくか」の答えはそれぞれで異なります。「一般論としては間違っている」と思えることだって、夫婦の当事者が一緒に考えて、導き出した結論であれば、それでいいのではないか……。物語を通してみて、そのことを(第6話のラストの衝撃的な言葉さえも)肯定していいと思えたのです。
正直に言って、独身者としては「結婚、怖い」と思った部分もありますが……一子の言う「弱ったりとか痛いときに、自分をよく知っている人が一緒にいるのって、こんなにも心強いものなんだね」という言葉に代表されるように、「結婚っていいなあ」とストレートに思えたのもまた事実。自身の価値観や感情を揺さぶられる経験もまた楽しいものです。
5:今泉力哉&かおり夫妻という最高の人選
そんな“めんどくさい夫婦関係”を描く作品の実写ドラマ版の監督が、『愛がなんだ』『窓辺にて』などでまさに“めんどくさい恋愛”を描く名手の今泉力哉監督。さらに脚本を妻の今泉かおりが執筆したというのは、「最高の人選」としか言いようがありません。「CINEMORE」のインタビューで、今泉監督は「僕からは、こうしたいとか、ああしたいとか特に何の指示もしてないです。まず好きに書いてもらって、そこから調整していく感じ」と語っており、今泉かおりも「セリフにはこだわりがあると前々から言っていたので、語尾とかはそっちで好きに調整して、と伝えました」とコメント。「対立しない」脚本と映像化のアプローチは、夫婦という間柄ならではの自然なやりとりであると思えましたし、それは劇中の夫婦の関係にもリンクしているようでした。
それでいて、今泉かおりは「(原作者の)渡辺ペコ先生もセリフにすごくこだわりのある方だと思ったので、あまり原作から変えずに書き進めました」と語っており、今泉監督も「他の脚本家さんとやるときも、手を入れさせてもらえるかどうかは最初にちゃんと許可を取ります」と、原作への誠実な姿勢とリスペクトを汲み取ることができましたし、それはできあがった本編からも感じられました。ある程度の自由さがある尺で、丁寧に描けた配信ドラマだからこそ、満足度と完成度の高い内容になったのでしょう。
まとめ:現実の岡田将生と高畑充希も、きっと大丈夫
『1122 いいふうふ』は、穏当で理想的とは言い難い、夫婦のいざこざも描かれている作品なだけに、現実の岡田将生と高畑充希も同じような感じになってしまったらどうしよう……とよからぬ想像もしてしまうのですが(ごめんなさい)、同時に「この作品を通して2人が交際を始めたのなら、きっと大丈夫!」と心から安心するところもありました。何しろ、『1122 いいふうふ』は「どんな経験や感情や選択も、自分の糧(かて)になる」ことを教えてくれる作品でもあるからです。この作品の視聴者も、もちろん作品に真剣に向き合った主演の岡田将生と高畑充希の2人も、そのことを踏まえれば、この先にどんなことがあっても前向きに生きていける……そんな希望も得られるでしょうから。
まさに万人向けな『アングリースクワッド』の魅力
ドラマ『1122 いいふうふ』にどハマりしたため、そちらの話が長くなってしまいましたが、岡田将生が主演を務めた映画の最新作も激推しします。それが、くしくも11月22日(いい夫婦の日)より劇場公開中の『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』です。注目は『カメラを止めるな!』で一世を風靡(ふうび)し、現在はTikTokのショートドラマでも話題を集める上田慎一郎監督最新作であること。
韓国ドラマ『元カレは天才詐欺師 38師機動隊』の前半6話あたりまでを下敷きにした「原作あり」の作品でありながらも、クセが強めなキャラクターの掛け合いなど、上田監督らしい作家性が生かされた映画に。さらに、上田監督が大好きな映画『オーシャンズ11』や『スティング』のようなケイパー(チーム強奪)ものの面白さがテンポよく詰まっており、かつ意外な展開への説得力も大いにあります。このジャンルの中でもトップレベルに面白いと断言できる、万人に文句なしにおすすめできる内容になっていました。
また、(やっていることは詐欺という犯罪でも)極めて真っ当に「権力を盾にした不正への怒り」を描いた作品でもあります。昨今の世界や日本にある問題に対しての徒労感を覚えた人は多いでしょうが、「そんなものは間違っている!」と怒りを持って強烈な「カウンター」を繰り出したことに、単なる荒唐無稽なエンタメ以上の意義も感じるのです。
やはり「クズかと思ったら憎めない」岡田将生
そんな『アングリースクワッド』で岡田将生が演じるのは、初めこそひょうひょうとした印象がある詐欺師でありながらも、後半の言葉の端々からその内面が見えてくる、という役柄です。『1122 いいふうふ』にも通ずる、「表面的にはクズともいっていいはずなのに、どこかチャーミングで憎めない」印象は、やはり岡田将生というその人のイメージおよび演技も大きく関わっているなのだと改めて思い知らされました。もう1人の主人公、税務署に務める真面目で気弱な中間管理職の公務員を演じるのは内野聖陽。詐欺などしたことがないはずの彼がチームの一員として努力をし、だます立場として成長していく様が面白く、岡田将生との掛け合いと関係は、ドライなようでいて特別なものに見えてきて、なんとも見ていて気持ちがよいのです。
そんな風に「岡田将生とパートナーになり共に成長していく」ことが共通している『1122 いいふうふ』と『アングリースクワッド』はぜひセットでご覧いただきたいですし、やっぱり「こいつ、クズかと思っていたけど、憎めないな!」という気持ちも含めて、ぜひ岡田将生という俳優(演じるキャラクター)の魅力を味わい尽くしてほしいです。
この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「マグミクス」「NiEW(ニュー)」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。
(文:ヒナタカ)