なぜフリーレンは号泣したのか?今見ると感じ方が変わってくる、クールな魔法使いが流した大粒の涙の意味
2024年11月26日(火)21時30分 ABEMA TIMES
現在一挙配信中のアニメ「葬送のフリーレン」は、1話目にして「こんなんもうエンディングじゃん」「物語の始まりがこのスタートだったから好きになった作品」と感動の声が相次いだことが放送当時話題となった。1000年以上生きる種族であるエルフのフリーレン(CV:種崎敦美)が、人間の死に何を感じたのか。改めて振り返ってみよう。
フリーレンは、魔王を倒した勇者パーティーの一員だった魔法使い。“長命種”であるエルフであるため、人間とは時間の感覚が大きく異なる。エルフ自体数が少なく、またエルフと比べ圧倒的に寿命が短い人間のことも「すぐ死ぬ」生き物という認識で、他者に対する興味も薄い。
そのため、ともに魔王を倒した勇者ヒンメル(CV:岡本信彦)、僧侶ハイター(CV:東地宏樹)ほか仲間たちに対してもクールでドライな部分があった。
魔王討伐から50年後、ヒンメルは老いて安らかにこの世を去る。多くの人が参列したヒンメルの葬列でもやはりフリーレンは涙を流すこともなく、「悲しい顔ひとつしないなんて薄情だねえ」などという心無い陰口も聞こえてきた。葬儀を終え、ヒンメルの棺が埋葬されるなか、フリーレンは「だって私、この人のこと何も知らないし」とつぶやきながらも思うところがあったよう。
ヒンメルとの冒険の思い出が胸に去来したフリーレンは「たった10年、共に旅しただけだし」と言いながらも涙が頬を伝う。そして最後には「人間の寿命は短いってわかっていたのに、なんでもっと知ろうと思わなかったんだろう」と嗚咽したのだった。
放送直後も「皆を送る側ってのは苦しいなぁ」「エルフの運命か」「こんなん泣く…」「1話で感動させるんじゃないよ」「1話のはずなのに何この最終回感……」「こんなんもうエンディングじゃん」「物語の始まりがこのスタートだったから好きになった作品だよ」といった反響が相次いだ第1話。
この後フリーレンは「もう少し人を知ろうと思う」と新たな旅に出るのだが、その間も先の10年の冒険でのヒンメルとのエピソードや、彼から受け取った数々の優しさを思い返すことになる。ヒンメルはフリーレンにとって明らかに特別な存在であり、大きな影響を受けた人間だった。ヒンメルだったからこそ、フリーレンは涙を流したのだ。
またこのときの悔恨からか、その後共に旅をすることになる弟子の魔法使いフェルン(CV:市ノ瀬加那)らに対し、フリーレンは彼らのことを理解しようと努力もし始める。そんなこと知ったうえで振り返ると、なお一層胸に迫るものがある第1話だ。
アニメ「葬送のフリーレン」は、「週刊少年サンデー」で連載中の原作・山田鐘人氏、作画・アベツカサ氏による同名漫画が原作。魔王が討伐された“その後”の世界が舞台という斬新な設定のファンタジーで、数々の賞を受賞するなど絶大な支持と評価を得ている原作コミックスは既刊13巻現在で累計発行部数2200万部を超えている。
2023年9月から2024年3月にかけて放送されたTVアニメは、毎話放送後関連ワードがいくつもXでトレンド入りするほどの盛り上がりを見せ大ヒット作となった。アニメ第2期の制作も発表されている。
※種崎敦美の「崎」は、正式には“たつさき”
(C) 山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会