乗客はマフィアや違法労働者…撮影禁止!違法鉱山エリアを走る“デストロッコ”に密着
2024年12月24日(火)12時0分 ABEMA TIMES
ライフル銃やナタなどを持った屈強な男たちを乗せ、南米のジャングルを走る物々しいトロッコ。違法鉱山で働く出稼ぎ労働者や、マフィアの通勤列車としても利用されている危険なトロッコの実態を取材した。
12月21日、東野幸治とあのちゃんがMCを務める新番組『国境デスロード』#3が、ABEMAにて放送された。『国境デスロード』は、世界各国にある国境を命がけで越える人々の生活に密着する、ドキュメントバラエティ。本番組の企画・総合演出を手がけるのは、『不夜城はなぜ回る』(TBS系)で知られる、大前プジョルジョ健太ディレクター(以下、プジョルジョD)。プジョルジョDが各国の国境地帯に赴き、なぜ人々は危険を冒しながらも国境を越えなければいけないのか、その真実に体当たりで迫る番組だ。
今回プジョルジョDが訪れたのは、コロンビアとの国境近くに位置するエクアドル北部の村・アルトタンボ。密林地帯にあるこの村でプジョルジョDは、ライフル銃やナタなどを持った男たちが、次々とトロッコに乗り込む様子を目撃する。取材を進めていくと、このトロッコは地元の青年たちによって手作りされたもので、廃線となった線路を走っていることが明らかに。なお、エクアドルの鉄道は政府が運営しているが、経営難などにより、各地で多くの路線が廃線となっている。鉄道に代わる交通手段として活躍していたのが、この手作りトロッコだったのだ。
トロッコはガソリンを燃料として動き、最高速度は約60キロ。ブレーキはついておらず、止まる時にはギアを調整してエンジンを切る必要がある。そんなトロッコが走るのは、うっそうとしたジャングルの中。一歩間違えれば命を落としかねない、危険な場所も点在している。プジョルジョDは、この危険な“デストロッコ”の運営者・ジュセさん(32)に取材を申し込み、トロッコに乗せてもらうことになった。
やがてトロッコは、多くの乗客で満員状態に。彼らに話を聞くと、利用者の多くはコロンビアから金を求めてやって来た鉱山労働者だと判明した。しかし鉱山に近づくと、「カメラを止めろ」と指示が。トロッコが進む先には1台のショベルカーが停まっており、数人の男たちの姿があった。彼らを見た通訳は「ヤバいやつ。笑ってないでしょ顔」と忠告。ジュセさんからは、撮影を中止させた理由について「彼らが降りる鉱山は撮るなと言ったろ?違法鉱山労働者だから」と説明があった。
トロッコの線路沿いには、水俣条約によって国際的に禁止されている水銀を使用し、金を産出する違法鉱山が密集。エクアドルではマフィアが労働者を雇い、いたるところで違法に金を産出しているのだそうだ。なお、トロッコの乗客はマフィアや違法労働者ばかりではない。地元の住人たちが畑や街へ行く際にも利用されており、「トロッコがないと買い物に行くのに歩いて3時間以上かかる」とのこと。違法鉱山への通勤手段である一方、地元住人の貴重な足でもあるトロッコは、善悪表裏一体の存在のようだ。