松たか子、『ロンバケ』が人生の分岐点に「自分自身の世界が広がった」 当時の心境やその後の変化を語る

2024年12月25日(水)7時30分 マイナビニュース


●「いろんな人の一言などに乗っかるか乗っからないかで人生は変わる」
女優の松たか子が主演を務めるTBSの新春スペシャルドラマ『スロウトレイン』が、2025年1月2日21時より放送される。脚本は先日最終回を迎えた日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』や大ヒットした映画『ラストマイル』の人気脚本家・野木亜紀子氏。野木作品に初出演した松が、本作の魅力と共に、自らの人生の分岐点となった作品について語ってくれた。
本作は、鎌倉に住む渋谷葉子(松たか子)、都子(多部未華子)、潮(松坂桃李)という全く性格の違う3姉弟が、 “人生”の岐路に遭遇し、それぞれに迷い、もがきながらも、真の幸せを模索していく物語で、鎌倉と韓国の釜山でロケを実施。様々な価値観が変貌していく時代において、家族のあり方を見つめ直す新時代のホームドラマとなっている。演出は、人気ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(16)、『カルテット』(17)、映画『花束みたいな恋をした』(21)などで知られる土井裕泰氏が務めた。
土井氏の演出したドラマ『カルテット』でも主演を務めた松は、今回のオファーを受けて心から喜んだと言う。
「TBSの連続ドラマで大変お世話になった土井さんの 卒業制作作品ということでお声をかけていただき、とてもうれしかったです。その後、脚本を読んで、すごく面白くて感動しました。同時に、自分の役が割りと地に足のついた人というか、しっかり生きている人なだと思ったので、そこに説得力を与えるのが難しいと感じたことを覚えています。特別に大きな事件や裏切り、大どんでん返しみたいなものがあるわけではないのですがとても感動し、こういうドラマに参加できること自体がとても幸せだなと思いました」
劇中では、3姉弟にとっての人生における分岐点が描かれるが、松の女優人生においてターニングポイントとなった作品について尋ねると、松は少し考えたあとで、民放の連続ドラマに初めてレギュラー出演したという木村拓哉山口智子主演のドラマ『ロングバケーション』(96)を挙げた。
松が18歳の時に出演し、撮影中に19歳の誕生日を迎えたと言う。「そのお話をいただいた時、私自身は舞台に出ることを目標にこのお仕事をしてきていて、もう舞台に出るチャンスはいただいていたので、どうしようと思ったんです。それで、連続ドラマに出演することも1つのチャンスだよと言ってもらった中で、『じゃあ、やらせていただきます』と思って出たのが『ロングバケーション』でした」
そこでの出会いについて「皆さんのことを尊敬できたというか、これはすごいなと思うことが多かったです。あの経験ができたことで、その後、自分でも思ってもみなかったことが良いことも悪いことも含めていっぱい起きたし、結局はそれらって自分が選んだことだと思いながらやってきました。自分で選んだ以上は、覚悟を持ってやること。『これをやります。頑張ります』と言った決断には責任も伴いますし。『ロングバケーション』はそういうきっかけになった作品だと思います」と語る。
続けて松は「ちょうど大学に入った年でしたが、そこから忙しくなってしまい、その結果、大学を辞めることになりましたが、その選択をしたのも自分だなと思います」と述懐。その後、主演の木村とは『ラブジェネレーション』(97)でも共演することとなる。
『ロングバケーション』について松は「あの時、あのドラマに出ていなかったら、また違うお芝居の道があったのかもしれないけど、あのドラマがあったおかげで、自分自身の世界が広がったというか、ほぐれた部分もあるので、分岐点というか、分れ道だったなとも思います。それらは自分の考えだけで決まるもんじゃないし、いろんな人の一言などに乗っかるか乗っからないかで、人生は変わるなとも思っています」と語り、「本当にチャンスをいただけた方のおかげだなと」と心から感謝している。
その後、多数の映像作品に出演してきた松。今回、本作で松が演じた渋谷葉子役は、野木氏が松に当て書きして作り出した登場人物である。
「読み合わせをした時、野木さんに初めてお会いして、『当て書きですから』と言われました。ということは、そのままやればいいってこと? と思いつつ、何か重なるところを探っていきました。葉子さんは、兄弟や周りの職場仲間から見れば、いろいろ背負っていて大変ね! という女性ですが、そんなことは100も承知の上で、今日をどう生きようかと考えていく人。迷路の壁にあちこちぶち当たりながら、今日なり明日なりを生きようとする人なので、そこはすごく共感できました。そんな彼女にも、話を聞いてくれる人がいて、そういうところは素敵だなと思いました」
●多部未華子・松坂桃李と“3姉弟”に「最高の妹であり、最高の弟だった」
妹の都子役の多部とは昨年舞台『兎、波を走る』で共演していて、弟の潮役の松坂とは初共演となった。
「本当に最高の妹であり、最高の弟だったので、 撮影中も3人で『この場面どうしよう!』と話した記憶がないくらいです。まったく話す必要がないぐらい、 お二人ともただ一緒にいることのできる俳優さんたちだったので、とても居心地が良くて楽しかったです」
編集者である葉子が担当していた人気作家・百目鬼見(もめきけん)役で、星野源も出演している。
「星野さんとは、いつも年末に他局の“某アワード”でお会いしていましたが、お芝居をするのは初めてでした。知っていたようで知らない方だったので、今回ご一緒できて楽しかったです。その百目鬼先生とのやり取りでは、この2人ってものすごく相性がいいんじゃないかと思えるくらい、感覚や物の見方が似ていました。会話のテンポも弾み、キャッチボールが楽しい関係だったのですが、まさかの『そっちかい!』と思いました(笑)」
星野は野木脚本の『逃げるは恥だが役に立つ』(16) や『MIU404』(20)などにも出演しているため「星野さんはきっと、野木さんのドラマのムードをよくわかってらっしゃる感じがしたので、私としてはそこに応えていくというか、会話をしていけばたぶんいい感じになるんだろうなと思い、とても安心感がありました」と話す。
また、演出の土井監督についても、全幅の信頼を寄せて臨んだという松。「常に見守ってくれるし、役者のお芝居をよく見ている監督さんです。そして誰も傷つけず、 かといって何も言わないわけではなくて。それは我々俳優に限らず、若いスタッフの方たちにもそうで、本当は自分でやった方が早いということも一生懸命教えてくれたりします」と感心しきり。「今回、土井さんの下に集まったスタッフも多かったのですが、いろんな世代の方を土井さん自身も頼りにしているということがわかり、そういう優しさを改めて感じられる現場でした」と語った。
鎌倉と釜山でロケを敢行し、日韓両国のスタッフが手掛けた本作。釜山ロケについて松は「現場のスタッフの印象は日本と全然変わらなかったです。皆さん元気だし、日本語の台詞がわからない中で、リハーサルを集中してみてくれて、とても熱心な方が多かったです。自然な画作りや照明作りができていたし、大事だなと思うシーンは、言葉を超えて皆さんがそこを感じてくださり、とても協力的でした。最後の日に、私は参加できなかったのですが、日本チームと韓国チームとの打ち上げがホテルの近くの サムギョプサル屋さんであったそうで、そこも同じだなと(笑)。今後も彼らと交流があるといいなと思います」と振り返る。
また、都子と出会う青年オ・ユンス役を、韓国の人気ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』(22)などで知られるチュ・ジョンヒョクが好演している。彼は日本のドラマ初出演にして日本語セリフに初挑戦した。
「ジョンヒョクさんは初めて日本語をしゃべるということで、もちろん全然わかってないで言っているところもあったと思いますが、本当にいつも明るくて。その前向きさにとても救われたなと思いました。スマホを使って私たちにインタビューをしてくれるのですが、そういう機能を私は知らなかったので、教えてくれました」
12月ということで、2024年を振り返りつつ、来たる2025年の目標についても聞いた。
「近年、私は舞台をやってきたのですが、今年は1本もなくて、ドラマと映画を撮っていた1年でした。それぞれに良い出会いがあり、楽しかったのですが、1つ作品が終わると、また舞台をやりたいなと思うことを確認した年でもありました。来年は舞台をやる予定なので、それまで元気に過ごせればいいなと思います。来年は年女で、ちなみに多部ちゃんも年女です。だから何かをということではないのですが、やはり元気でいたいですし、健やかにお仕事をしたいです。来年後半の舞台にも元気に臨めたらいいなと思っています」
■松たか子
1977年6月10日生まれ、東京都出身。1993年に歌舞伎座『人情噺文七元結」で初舞台を踏み、その後、様々な舞台、映画、ドラマに出演。1994年に大河ドラマ『花の乱』(NHK)でテレビドラマ初出演、1997年に『東京日和』で映画デビューし、同年「明日、春がきたら」で歌手デビュー。1998年に『四月物語』で映画初主演。2009年に『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』で第33回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。2014年以降、ディズニー映画『アナと雪の女王』シリーズの日本語吹替え版・エルサ役と劇中歌を担当。映画『ファーストキス 1ST KISS』が2025年2月7日より公開。
(C)TBS

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