コロナ拡大に怯える中国の脱北者、身分証なくワクチン接種できず

2023年1月16日(月)6時2分 デイリーNKジャパン

厳しいゼロコロナ政策の撤廃後に、未曾有の感染拡大に見舞われている中国。一日の新規感染者数は数百万人に達しているようだが、保健当局による正式発表が行われなくなったため、正確な数字はわかっていない。


そんな中で、ワクチン接種もできず怯えて暮らしているのは、中国に住む脱北者たちだ。


中国のデイリーNK情報筋によると、都市や農村問わず全国的にコロナ感染が拡大しているが、脱北者は身分証を持っていないため、一度たりともワクチン接種を受けられていない。


都市部では抗原検査キットが販売されており、それを利用する脱北者もいるが、農村では検査キットの存在そのものを知らない脱北者も多いという。


中国在住のある脱北者は、デイリーNKの取材に「私たち(脱北者)はコロナにかかっても検査を受けられず風邪薬を飲むくらい」「ワクチン接種証明がないので、出歩くこともできず、身分証がないためワクチンを接種するんなんて考えもできない」と答えた。


別の脱北者は、「中国に来て10年以上、子どもを生み育てているが、未だに身分証がない」「過去3年間、一度もワクチン接種を受けられず、コロナになっても家で苦しむしかない」と答えた。


ワクチンを一度も接種していないため、コロナにかかると症状が重くなり、亡くなる人も出ている。あっけなく死に至る姿を見た他の脱北者は、自分たちの置かれた立場にため息をつくばかりだという。


このような状況から脱するために、韓国行きを目指す脱北者が増えているが、公安当局に逮捕され、未だに釈放されていない人もいるとのことだ。


中には「身分証のないつらさを骨身にしみて感じている」「こんな暮らしをするなら死んだほうがマシ」だと絶望を口にする人すらいると、情報筋は伝えている。


一部地域では、脱北女性の登録事業が行われたと伝えられているが、依然として身分証なしで暮らす脱北者が多いようだ。なお、中国では長距離列車やバスでの移動など、生活の様々な面において、身分証の提示が求められる。


デイリーNKジャパン

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